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主様報われてくれ~
『痛みを負った心には愛の癒しを』〜愛情は特効薬〜
第16錠 優しく上品な佇まい
『いやぁ!!』
私は叫び声を上げてベットから起き上がる。
『はぁ、はぁ……っ!』
(ゆ、夢…っ?)
『はぁ、はぁ…。みんなが、私に優しくするのは…つけ込んで油断させる、為……?』
(違う、違う。あの笑顔は本当の優しさだもん…っ。みんなのこと信じたいのに…っ。)
一方その頃。
『主様はそろそろ起きたでしょうか…。』
私は別邸から本邸に主様に会いに来ていた。
『あ、ユーハンさん。おはようございます。主様に会いに行くんですか?』
『ベリアンさん。はい。』
『そしたらこちらのモーニングティーを主様に渡してください。きっと喜びますから。』
『かしこまりました。』
私は紅茶をベリアンさんから受け取り主様の部屋へ向かう。
『ベリアン、ベリアン…っ。』
私は部屋を出て壁を伝いながらフラフラと歩く。
『まだねみぃな…。』
『また後でハーブティー淹れてあげるっすよ。』
『シャキッとしろボスキ。主様に会う前にそんな顔してたら許さないぞ。』
『まぁまぁ…。』
『ん?あれ、主様じゃないか?』
『なんかふらついてる…。』
『頭、痛い……。』
グラッ…。ドサッ!
『『主様!!』』
俺達は主様に駆け寄る。
『大丈夫っすか!?』
『!すごい熱だ…っ。』
『紅茶が冷める前にお持ちしなければ…。』
主様の部屋に行こうとしたら主様が倒れていた。
『主様!』
『ユーハン、それベリアンさんの……』
『はい、紅茶を持ってくように頼まれたのです。今日は私が担当で…』
『わかった。ユーハンは主様をベットに運んでくれ。フェネス、ルカスさんを呼んできてくれ。』
『わかった!』
私は主様を抱き抱える。
『はぁ、はぁ…』
『主様…。』
『…この世界に来て日が浅いから疲れが出たんだろう。大丈夫。そこまで症状は酷くないよ。』
『そうですか…。良かったです。』
『ユーハン君、今日は君が初めて主様に会う日だったね。私はベリアンに症状を話してくるから主様をお願いできるかな?』
『は、はい。』
パタンっ。
『可哀想に…お辛いですよね…。』
『はぁ、はぁ…。』
私はゆっくりと目を開ける。
『貴方は……?』
『初めまして、私はシノノメ・ユーハンです。』
『ユーハン……?』
『はい。具合は如何ですか?』
『……。悪夢を見たの。』
『悪夢?』
『うん、元の世界で、私に叩いたり蹴ったり酷いことをする人が夢に出てきたの。そしてこう言ったの。みんなが私に優しくするのはつけ込んで油断させるためだって…。』
『……。』
『みんなは違うよね…?』
『…確かに、弱いものにつけ込んで優しくして油断させて来る悪い人は確かにいますね。』
『…!』
『ですが…。』
私はベット脇に立て膝をついて主様の手を握る。
『私は…ここにいる皆さんはそんなこといたしません。貴方をただ守りたくて優しくしているのですよ。』
『私を……。守る…。』
『えぇ。我々が貴方を必ずお守りします。ですから安心してください。』
『うん…ありがとう…。』
主様は安心したのか目を閉じて再び眠ってしまった。
『まるで幼子のような寝顔ですね…。
おやすみなさいませ、主様。』
次回
第17錠 ラッキーと眩しい笑顔