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しろニキ
ほんのりエープリルフールネタ
随分とあっさりとしたプロポーズ
しろせんせー視点
「ニキ」
「なーにー」
「もうエープリルフールも終わってまうな」
ソファでスマホを弄っている彼は興味無さそうにあっそう、と素っ気ない返事が返ってきた。全くもって可愛くない。
チラリと時計を見ればもう午前は過ぎ去り、正午になっていた。『エープリルフールは午前中だけ』そんなルールがあったような気がする。彼がそれを知っているかどうかは分からないが少し悪戯をしてみたくなった。
「この関係ももう終わりにしよか」
「…ぇ?」
俺のこの言葉に彼は脊髄反射で声が漏れていた。エープリルフールでしょ?と声を震わせながら冗談交じりに聞いてくる。もう午前は過ぎたで、とそのまま伝えれば、彼は間髪入れずにどうして、何が悪かったの、と疑問を伝えてくる。今にでも泣きそうな目で俺に縋り付いてくる彼に流石にやり過ぎたと懺悔する。
「もうちっとカッコつけたかったんやけどなぁ…笑」
「…ッ」
俺の先程の言葉を巻き返すべく、ポリポリと頭を搔きながら、立ち上がって机の上にひっそりと置いていた小さい箱を手に取り、彼の前に跪いて箱を開ける。
「形だけでも結婚しよう」
こんな雰囲気で言う羽目になるとは思わなかったが目の前の彼にプロポーズをした。目の前には以前彼が欲しいと言っていた指輪。正直な話めちゃくちゃ高かった。3ヶ月分の収入じゃ足りないくらいには…。優しく彼の左手を引き、薬指に指輪を嵌める。
「…っ、ぅぅ”〜〜〜」
数秒間フリーズしていた彼もようやく現状を理解したらしく、驚きながらも別れないという安堵から涙を流していた。嬉し泣きをさせるつもりだったのだが、変に含んだ言い方をしてしまったせいで勘違いさせてしまい、別の意味で泣かせたのが申し訳なくなった。
「ばか…ッ!あほ、もうしないで…」
「もうせんよ」
勢い良く俺に抱き着いてきた彼は、俺の腕の中で泣きじゃくりながら小学生レベルの暴言を吐かれる。もうしないで、なんて言われて彼を泣かせたい訳でも、彼と離れたい訳でも無い事は確かである以上、二度としないと心に誓った。
「…返事は?」
「もちろん、これからもおねがいします…」
まだ貰っていないプロポーズの返事を問えば、当たり前だと言われた返事が返ってきて、心が暖かくなった。
よくよく考えてみれば、彼が今泣きじゃくっているということは、彼が俺と別れる気が無いのがよく分かる。しかも、自身の悪い所を改善してまだ俺に縋ってくる辺り何だかんだ愛されてんなと思いつつ、俺の愛おしい恋人…ではなく意地らしく、可愛らしい愛人の髪にそっとキスをした。
「…すき、だいすき」
「俺は愛しとんで」
「ぉれ、も…」
彼のデレに驚きながらも好き以上の愛を伝えれば俺も、と返してくれる。嗚呼、本当に可愛らしい。どこまでも彼に溺れていく感覚に心地良さを覚えながら、今の時間を大切に、忘れないように心に刻んだ。