人助けをして少し疲れたので、ベンチに座って休憩している。
特にやることも無く、暇なので夜空をぼーっと眺めていた。
「何してるんですか?
後ろから声をかけられたので振り向くと、そこにはフリッピー君がいた。
「ちょっと休憩だよ。君こそこんな時間に何してるんだい?」
「中々寝れなくて気分転換に散歩です」
そう言いながら僕の横に座った。そのまましばらく二人で何も言わずに星を見上げていると、フリッピー君が僕に話しかけてきた。
「月が綺麗ですね」
「えっ……それって……」
急にそんなことを言われて思わずドキッとした。僕は何か言おうと思ったけど言葉が出てこなかった。どうしようと思っているうちにこちらを見てくすりと笑われた。
「冗談ですよ。でもほんとに綺麗ですね」
彼は楽しそうな笑顔で言った。1番綺麗なのは君の笑顔だよ、とか言いたかったけど恥ずかしいからやめておく。代わりに彼の手を握ってみたら握り返してくれたので嬉しかった。
「……ロマンチックな告白って憧れますよね」
彼がぽつりと言った。確かにそうだねと言うと、じゃあやってみましょうよと言われた。突然そんなことを言われて戸惑っていると、「ほら早く!」と言われてしまったのでやるしかないと思い覚悟を決めた。まずは深呼吸してから彼に向き直り、緊張しながら口を開いた。
「えっと……僕にとって君は月のようなものだ。これからそばで僕を照らし続けてくれないか?」
我ながらダサいセリフだと自覚しているが仕方ないじゃないか。いきなりすぎて頭が回らなかったんだよ……。
多分引かれただろうなと思っていると、笑いを押し殺したような声で返事があった。
「す、すごい素敵な告白ですね……w 」
「自分でもダサいってことくらい分かってるから……」
顔が熱い。きっと真っ赤になっているに違いない。するとまたくすくす笑う声が聞こえてきた。今度はさっきよりも大きくなっていた。
「なら今度は君の番だよ」
と言い返すと、まだ笑って震えながらもなんとか答えてくれた。
「僕にとってはあなたこそが太陽です。どうか僕の全てを照らす光となってください」
「いやだいたい僕と一緒じゃんw しかも同じくらいダサいしw 」
二人ともおかしくなって同時に吹き出した。ひとしきりくすくすと笑った後、彼がぽつりと呟く。
「付き合ったらこうやって会う機会も無くなっちゃうのかな………」
その寂しげな表情を見た瞬間、考えるより先に体が動いていた。気がつくと彼を抱きしめていたのだ。驚いた様子だったがすぐに背中に手を伸ばしてきてぎゅっと抱きついてくる。
「僕と付き合えばずっと一緒にいられるよ」
「ふふ、それもちょっとダサいですよ」
そう言って微笑む彼を見ると胸がきゅんとなる感じがした。そして衝動的にキスしてしまった。一瞬だったけど柔らかい感触が残っている。唇を離すとお互いの顔を見つめあったまま黙ってしまった。
「………行動で表すのが1番かもしれませんね」
しばらくして彼がそう言うと今度は彼から顔を近づけてくる。目を閉じて待っていると軽く触れるだけの優しいキスをした。
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