jmside
抱きすくめられた相手の性がαだと聞いた瞬間、途切れ途切れになっていた自分の意識が、
一瞬引き戻って背筋がすっと冷えた
でもそれは本当に一瞬であって、ヒートの苦しさに耐えられず、このまま項を噛まれてしまうのではと怖さもありながら、αの男性に自分の大事な所を預けてしまった
なのに
ヒート中のΩなど、いくらでも好き勝手にして、連れ去ることだってできたはずなのに、
僕は今無事で、彼の腕に抱かれたまま、自分の中で生き物が荒れ狂うようだった乱暴なヒートが、少しずつ落ち着いてくるのを感じていた
ずっと朦朧としていた意識が、はっきりしてきて、揺らいでいた目の焦点がようやく揃う
静かな息遣いが耳の後ろから聞こえてきていて、その呼吸に合わせるようにすると、みるみるうちに荒れていた息が落ち着いた
今更気づくが、ズボンもしっかり履いていて、出したはずの精液も、目の前のコンクリートが少し湿った色をしている以外、何も見当たらない。
こんなしっかり処理してくれて、胸の上の辺りをずっと優しくさすってくれている、
後ろの男性が不思議だった
もぞもぞと身動ぎすると、後ろの彼が僕を抱いたまま座り直した
🐰「ちょっとは落ち着きましたか?
動けそう?」
🐣「は、、はい、、」
急に話しかけられて、ビクッと跳ねる
彼の腕をそっと解いて、壁にもたれている彼と向き合うように座る
顔を見ると、すごく綺麗で整った顔の青年だった
🐣「あの、なんで、、襲わなかった、、?」
目の前の彼は気まずそうに少し俯く
🐰「Ωの気持ちも想像できますけど、、、でも、αが全員、欲のままに動くと思っちゃだめですよ、、少なくとも僕は違います。
ただ、、フェロモンに惹かれてしまうのはそうなので、倒れているあなたを見つけれたんです、」
🐰「あなたのフェロモンは強すぎて、かなりくらっときましたけどね、驚きました、、」
Ωを襲っても誰にも咎められないこの世界で、ただ僕を助けるだけで留まってくれた彼に感謝でいっぱいになった
🐣「あ、、ありがとうございます、、、本当に」
素直にお礼を言うと、不安そうだった彼が
ちょっと笑った
🐰「落ち着いてくれたならそれでいいんですよ。
言うこと聞かなくなる身体を持つなんて本当に危ないですよね、何もなくてよかった」
本当によかった、というように優しく微笑みながら身を起こし、僕の乱れた髪を治すように梳きながら言う
労わってくれるαなんて初めてだった
🐣「あの、名前は?」
🐰「グクです。ジョングク。そちらは?」
🐣「グクさん、、ジミンです。」
🐰「失礼ですが、お年は、、?」
🐣「今年で26です」
🐰「うわ、、2つ上だ、、しかも初対面なのに、、こんな色々しちゃって、、すみませんっ、、」
そう言いながら落ち着かない様子で、傍に置いてあった僕の水を押し付けるように返した
🐰「あのっ、、全部忘れますから、ねっ
あなたがΩなんて絶対に言いませんから。」
あぁ、こんな優しい子に助けて貰えた僕は幸運だ、
思わず微笑む
🐣「いや、、助けてくれたんだから謝らないでよ、グクくんに見つけてもらえてよかった」
🐰「そう言って下さるなら良かった、、あ、
そろそろ帰りましょ。まだ不安だから送りますよ。」
そう言って立ち上がり、僕に向かって手を差し出してきた
反射でその手を握ると、くいっと引っ張って立ち上がらせてくれる
僕の身体をまだ心配してくれてるのだろう
大事にしてもらえている感じが、心地よくてくすぐったかった
言葉に甘えて他愛もない話をしながら並んで帰っている間、
僕より少し背が高くて、体つきもがっしりとした彼は横にいてくれるだけで頼もしい
いつも乱暴なαやβに襲われないかとびくびくしながら帰るのとは大違いで、
しかも僕と対等で話してくれるから楽しくて、あっという間に家に着く
🐰「素敵な家ですね、」
優秀な血筋のαなんだからもっと大きな家に住んでいるだろうに、
こじんまりした僕の小さなマンションを見て褒めてくれる
🐣「グクくん、お礼になんか食べてく?」
🐰「いえ、もう遅いですし、帰ります。
て、てか!ジミンさん!発情期なのにαなんか家にあげちゃだめですよ、、ほんと会ったばっかなのに危なっかしいことばっかり、、」
呆れたようにこっちを見るグクくんに笑いが溢れる
🐣「心配してくれてありがとうㅎ
そっか、、じゃあ、、ね」
恥ずかしくて、エントランスに駆け込んでしまってから気づく、
あ、、連絡先、、
慌てて戻ったけど、もうグクくんはいなかった
がくりと肩を落として気づく
あれ、僕、彼に惚れたのかな、、
番なんて怖くて考えたこともなかったけど、、グクくんならいい、、かも、、
そんな思考を慌てて振り切って部屋に戻る
助けてもらっただけ、そう、それだけ!
それでもやっぱり
🐣「また会えるかな、、」
無意識にぽつりと呟いた言葉に、僕は少し頬を赤らめた
コメント
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早く続きがみたいです! 最高にいいです!
今回のも最高でした!