テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
【アラスターside】
ハスク「・・・アラスター」
廊下を歩く私に、後ろから声が掛けられる。
声の主などわかりきっていている。あえて振り向かないまま足だけを止めた。
ハスク「本当に何もなかったのか?」
ハスク「〇〇に・・・何かあったんじゃないのか」
ふと、走り去る間際の彼女の顔が頭をよぎる。
アラスター「同じ事を言うつもりはありませんよ」
ハスク「アイツはアンタを信頼しているように見えた」
ハスク「アンタになら、何か話したんじゃ―――」
アラスター「――――まだ言うか?」
何故、こんなにもイライラするのか。
アラスター「最後にもう一度忠告する」
アラスター「これ以上の詮索は不要だ。分かったな」
ギロリ、とハスクを睨みつけると、その身体がカタカタと震え出す。
ハスク「わ、分かった・・・悪かったよ」
アラスター「えぇ、お利口です。・・・・・・では失礼」
一度落ち着くようにコートの襟を直し、再び彼に背を向けた。
更に廊下を進んでいくと、無意識のうちにあの部屋の前で足が止まった。
数日前まで〇〇が使用していたあの部屋。
なんとなく扉を開けて中に入ると、もぬけの殻となった部屋で静けさに包まれた。
アラスター「・・・・・・・・・」
あの別れ際の彼女の笑顔が、どうにも頭に焼き付いて離れない。
〇〇『“・・・・・・ッそれでも”』
〇〇『“それだけ、アラスターとの時間が・・・・・・貴方が、大切だった”』
そう言ってこちらを見つめるその笑顔には、堪えきれていない涙が滲んでいた。
つい先程のやりとりが、頭の中で延々と繰り返されている。