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#ブラフラ
なみゃ
72
skbn
11
て ぃ あ ら 。
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8
午後一時。手術室に向かう廊下はいつも以上に慌ただしい。
モニターを運ぶスタッフ、器械の最終確認を行う看護師、海外大学から来日した医師たちの英語が飛び交う。
「はぁ…。」
ため息交じりに白衣の襟を直しつつ、一週間前に届いた院内通達を思い出す。
【各診療科の代表医師は公開手術へ出席してください。】
今回は海外大学との医療連携事業の一環として行われる公開手術。
病院の技術だけでなく、教育体制や各診療科の取り組みまで紹介することが目的らしい。
そのため、外科だけではなく内科や小児科、精神科など、各科の代表医師にも参加が求められていた。
正直、精神科医が脳外科の公開手術を見学したところで、メスを握るわけでもない。
それでも病院としては、「各科のトップが集まる大学病院」という姿を海外へ示したいのだろう。
「You’re Professor Shirafuji, right? It’s an honor to meet you.」
(白藤先生ですね? お会いできて光栄です。)
会場へ足を踏み入れた途端、海外大学の教授が笑みを浮かべて歩み寄ってきた。
あまりにも突然の出来事に、一瞬だけ思考が止まる。
「Yes… I’m Shirafuji. Nice to meet you, too.」
(はい、白藤です。こちらこそ、お会いできて光栄です。)
教授は嬉しそうに頷く。
「I’ve read your paper on dissociative identity disorder. It was fascinating.」
(先生の解離性同一性障害に関する論文を拝読しました。非常に興味深い内容でした。)
思わず瞬きをする。
「……ありがとうございます。」
まさか、理解してほしいと書き始めた論文が、海を越えて誰かの目に留まる日が来るとは思ってもみなかった。
「Your perspective was different from anything we’ve read before.」
(先生の視点は、これまで読んできたどの論文とも違いました。)
教授はそう言って、胸ポケットから折り目の付いた論文を取り出した。
所々に付箋が貼られ、余白には細かな文字がびっしりと書き込まれている。
何度も読み返した跡だった。
「Especially this sentence.」
(特に、この一文です。)
教授は一節を指でなぞる。
“Every personality has a story that deserves to be heard.”
(すべての人格には、耳を傾けるべき物語がある。)
「This changed how I think about DID.」
(この一文で、私は解離性同一性障害の見方が変わりました。)
私は言葉を失う。
自分自身のみに起きていることを他者に理解してほしい。
「人格」ではなく、「一人の人間」として見てほしかった。
そう思って書いた文章がこうも人を動かすとは。
「Professor, we’re about to begin.」
(教授、そろそろ開始時刻です。)
スタッフの声が響き、二人は手術室へ視線を向けた。
「Shall we?」
(行きましょうか。)
「Yes.」
コメント
1件
ああ、このエピソードめっちゃ良かった…!白藤先生の論文が海越えて誰かの心を動かしてるの、じわじわくるわ。特に「すべての人格には、耳を傾けるべき物語がある」って一文、確かに強烈だよね。精神科医が手術見学に呼ばれる意味って、そういう視点の広がりなんだなって思った。先生のちょっと戸惑いながらも嬉しそうな感じ、すごく伝わってきた🔥