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イギリスが、優しくて泣くかもよ
書斎は相変わらず重く、沈んだ空気が支配していた。
ナチスは膝に崩れ、頭を抱え、吐き気と罪悪感に耐えている。
ソ連は震える手で机の縁を握り、痛みと恐怖で荒い呼吸を続けていた。
その密室に、イギリスが静かに座る。
「もう、無理しなくて大丈夫さ」
どこか無理して明るく振る舞うその声に、二人は一瞬だけ視線を向けた。
その表情の裏に隠されたもの――
それは、彼自身が自分を悪役として無理して演じていること。
本当は誰よりも優しい紳士であるのに、二人の絶望に合わせるため、冷たく、威圧的な“悪役”の仮面をかぶっていた。
「…イギリス…?」
ソ連の声は小さく、震えていた。
その問いに、イギリスは微笑む――でもその笑顔はどこかぎこちなく、心からの安堵ではない。
「そう、少しだけ、休暇だ。」
言葉は優しいが、目の奥の疲労と罪悪感が、その優しさを曇らせる。
ナチスも目を細め、額の汗を拭いながら、何かを感じ取った。
「…あいつ…自分を押し殺して…」
イギリスはナチスやソ連を守ろうと、自分の本心を抑えている。
その事実が、二人の心に小さな衝撃と、同時に奇妙な温もりをもたらす。
ソ連は小さく頷き、震える手で机に置かれたイギリスの手をそっと握る。
「…ありがとう…」
その声に、イギリスの目がわずかに潤むが、すぐに冷静な表情に戻す。
「さあ、少し休もうか。二人とも」
血と吐き気、絶望の密室の中で、イギリスは自分を偽り続けながら、ナチスとソ連に微かな安堵の時間を提供する。
優しさを隠すその背中に、二人はまだ気づかない――
しかし、その気配だけでも、絶望の中に微かな光が差し込むのだった。