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🖤さん視点
頭の回る❤️さんです。かっこいい🖤さんがいると思わないでください。
「ッはははははっ!まじすか!?何やってんの兄貴!」
「っるせぇ…!」
夜更けに自身の家では通りに通る笑い声に愚痴る俺がいた。
ビール缶を片手にぐいと喉を潤せば慣れた苦味が舌に広がる。何やってんの。ほんとにその通りだろう
まさか自分で切り捨てるような事するなんて思いもしないだろ。
「で?おかめは?いまなにしてんだろうね??」
「しらねぇよ…」
「つーか、今日隈取もセットで来ると思ったわ。」
ただでさえニコイチなこいつら、絶対に来ると思ったがそんなこともないらしい。
阿形が手に持ったチューハイの缶を揺らしてちゃぷちゃぷ鳴らしながら口を開く
「兄貴に呼ばれたーって言ったら面倒臭いからパスらしいですよ」
「まじかよ。」
「いい気配持ってるよね。俺まんまと引っかかったし」
「俺がめんどくせぇってか??」
「うん。」
傷付いちゃうよ?俺
でも塩対応がちょうどいいのは確かにそうだ。女々しい部分が多い故威張ることも多いからな。
正直感心、いや、悲しいけど
「でもさー」
「あん?」
笑ってふざけあったのも束の間、阿形は真剣なトーンで明後日の方向を見ながら問い掛けるように言葉を紡ぐ。
「本気で取られるよ?狐に」
「…は?」
あれ、知らないの?そう言われて、頭が真っ白になる。
え?アイツが?おかめを?そんな考えばかりしかなくて胸の奥がキュッと縮まる。
「同じジャンルで距離も近い、この前も予告の時抱き着かれてたでしょ…きっつん。
さて兄貴は勝てるかなぁ。」
煽る様に笑う阿形が憎らしい。いや、俺が悪いのだが
にしても、意外…いや、そう思いたかっただけかもしれない。
「……俺のが付き合い長いのに」
「案外さ、友人同士が長いと無理だよ。俺それで振られてきてるし!」
「いやっ、でも!おれはあいつと」
「あのねぇ…セフレなだけで大事にされてるなんて思わないでしょ。女々しい心を理解しなさんな。」
なんでこいつはこういう時に頼れるんだよ。
鋭さに悶絶しそうな心を抑え頭を抱ればふははと笑い声が聞こえる。
「いい加減な兄貴すぎんだろ!」
「うるせぇ…」
「話し合えばいいよ。気が済むまで」
その言葉に不思議に体が反応する。
分からんでもない。だって、必要だもんなと思いかけたが、行けるかわかんないだろと頭の悪魔が釘を刺す
めんどくさくなりビール缶を飲み干すとまた苦味が口に広がる。
「げほっえほっ!?」
「あーほら!一気に飲むからだ!」
「のどいてぇっ、びびった」
「それそんな飲み進めてねーじゃん。そりゃきついっすわ」
アルコールによる喉焼け、オフモードだからかいつもサワーの俺からしたら正直きつい。
げほげほと出る唾を袖で抑えれば阿形は爆笑しながら指を指す。
「はぁッ……ほんとよくねぇ、」
「あひゃひゃひゃっ!!」
「ぁーもぉ、おかめの事どーしよ!」
叫べば笑っていた阿形はキョトンとして目を丸くした。
え?俺おかしいこと言った?
思いながら見つめれば困惑したように自身の顎を指で撫で上を向いていた
「え、話し合うんじゃないの?」
「……え?」
「え、今の流れで話し合わないことある?頭おかしいんすか?」
思わずそんな辛辣を刺してくる位には困惑されているらしい。
俺をそんな踏ん切りいい男だと思うなよ?言い逃れは多くあるんだなんて思っても届いていないようで何言ってんだこいつという視線が頭をぶっ刺してくる。
「はぁ……待ってて兄貴」
そう言いながらそそくさとスマホを取り出しなにか操作をしている。
数秒後LINEの発信音が部屋に響き渡りその音は少し部屋に留まり次の瞬間パチリと止んだ。
誰に電話を繋げたんだ。くだらぬ疑問を浮かべながら眺める。
「ん、あぎょ…?」
「あれ。元気ないすか」
「色々あってねぇ。今公園で酒飲んでる」
「あーら…」
おかめじゃねぇか。わざわざスピーカーにしているのですぐ分かった。
当たり前のように会話をしてることに何故か不思議な感覚になってしまい、メンバーだろうと頭を立て直す。
「今からこっちこない?酒飲もうよ!友達もいるから、愚痴大会でもしよ?」
「はっ、?!」
「え、いや。もうしわけな」
「きまりねぇ♪飲みもんとおつまみ買ってきて」
ぴろんと聞きなれた通話終了音が耳に入る。
いやそれ所ではない。
立て続けにスマホをぽちぽちと押す阿形に対して憎みしか出てこない自分が子供なのか?
「あぎょお!何してくれてんだ!!!」
「うるせっ、」
「いやっ、こっちにだってペースがな?!」
「君らが気まずいままで苦労すんのは兄貴達だけじゃないんだよ。来てくれるらしいからちゃんと話し合ってね」
真面目な顔で覗き込み珍しい君という言葉が何故かとても切ない。確かにその通りだが、なんだか腑に落ちなくてデカめの溜め息が出る
「はぁあぁあ……」
「んじゃ、兄貴俺アイス買ってくるね」
「はっ!?」
皆の分かってくるからーとニコニコでジャンパーを羽織り出ていった阿形…
いつおかめが来てもおかしくない状況で出ていかれるとは思わず床を叩く。ドンッと鈍い音がなり拳が痛くなった。
「マジで言ってんのかよ…」
あれからすいすいと時間は進みTikTokのコメントを見ていたら20分経っていた。
あいつのことだ、散歩がてら遠めのコンビニでも行ってるのだろうと言い訳する事にした。俺の特技はそういう想像なのだから。
適当な思考を巡らせていればポーウッ!とマイケル・ジャクソンの声と共にインターホンのカメラが映る。
「何であいつはインターホン音マイケルなんだよ。あほか。」
俺は阿形ということを祈りながら一応声を低くしてはーいと通話開始ボタンを押す。
「あ、阿形のお友達ですか?お呼ばれしたおかめです」
「……ぅす…」
さて、どうする?いや出るしかないのだが、兎に角。開けよう。
近くにあった自身のパーカーを羽織りフードを深く掛けてドアを押す。
玄関の床は冷たく冷えていて裸足にはきつい。
「……はぃ。」
「…?あの、お名前は…」
聞かれたくなかったいや答えるしかないのは知ってる。嘘をついたところでバレるのでもうやめにした。諦めも肝心である。
「「はんにゃ…」」
おかめと声が被る。
あは。対戦ありがとうございました
…はぁ。
続く