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『春の桜に恋焦がれ』
〜その姿に…恋に落ちた〜
第四舞 「過剰体温」
旅行から帰って数日後――
『はぁ、はぁ……。熱い…。』
原因不明の高熱です。
『38.5…。辛いですね…。解熱剤を飲みましょう。他に症状はありますか?』
『特には…ただ、身体が熱くて……。』
『なるほど…。』
ルカスは首を横に傾げた。
『はい、解熱剤です。』
『ありがとう…。』
『…高熱が出たのは旅行が終わった後ですよね?もしかして、ベリアンと何か――』
『ごふっ。な、ななな、なにいってんの、べ、ベリアンとなんて、ななななな、なにも……』
(分かりやすいなぁ……。)
主様は顔を赤くして否定する。
(ふむ……これはベリアンにも聞いてみた方が良さそうだな。もし熱の原因がベリアンなら…何とかしないと。)
『さて、解熱剤も飲んだことですから早く治すために寝ましょう。』
『う、うん。』
ルカスは何かを察したように部屋を出ていく。
一方その頃――
『……。』
私は何をしてしまったのでしょう……。
この気持ちは主様には隠し通すと決めていたのに…唇に…キスしてしまうだなんて…。
『でも…。』
止められなかった。私とて男。想いを抱いてる人にあんな顔をされては…止められません。
回想
『帰りたくない…。』
『……っ。』
気付けば――その愛しい唇に触れていた。
お互いに甘い唇に想いをぶつけるように。
『『……。』』
その後は言葉を発することなく、宿へ帰りました。
『…ただいま戻りました。』
『あ、ベリアンさん、主様。おかえりなさい。』
『夜桜は見れましたか?』
『……。』
『主様?』
『っ、え、と…わ、私もう、寝るね…っ。』
『え?』
主様は顔を背けて部屋へ戻ってしまった。
『これは…』
『何かあったね…確実に。』
その場ではみなさん何も聞きませんでしたが
恐らく勘づいているでしょう。尋問される前に私から……。
ガチャッ。
『ここにいたんだね、ベリアン。』
『る、ルカスさん…。』
『ふふ、私がここにいるのが不都合みたいな顔をしてるね。』
『そ、そんなことは…。』
『主様が高熱を出して部屋で寝込んでいるんだ。その原因は恐らく……。』
ルカスさんは私を見つめた。
『…!』
『ふふっ。ここじゃあれだし、場所を移そうか。』
『は、はい……。』
コンサバトリー
『……。』
『それで、あの日何があったか教えてくれるかい?』
『い、いや、後ろめたいことは…。』
『ベリアン。』
『っ…。』
『桜陽祭から帰ってきた夜…。主様とベリアンの反応はおかしかった。主様は颯爽と部屋へ戻るし、君も顔を赤くして何も言わないし。
君と何年一緒にいると思ってるのかな。バレバレだよ。』
『っ……。』
『友人の悩みは聞いてあげたいんだ。それが主様絡みなら尚更ね。』
『…分かりました。話しましょう。実は…。』
私はあの日あったことを全て話した。
『なるほど。主様とキスを…君から…』
『するつもりはなかったんです。ただ…
止められなくて。主様のあんな顔を見たら…私も気持ちを抑えられなくて…。あまつさえ……自惚れてしまいました。』
『自惚れる…?』
『はい。主様も…私のことを好きなんじゃないかって。そんなこと、あるわけないのに。』
『……。』
ベリアン…君と主様は両想いなんだよ。
どうして気付かないんだ…お互いがそうなることを望んでるのに。もうひとつの可能性を全力で否定するなんて……似た者同士だね。
『主様は君とのキスが原因なのかは断言できないけど、恐らくそれが理由だけど、高熱を出してる。今君がいっても逆効果かもしれないけど、謝った方がいいかもね。いきなりそんなことされて驚いてるだろうし。』
『そう、ですね…。分かりました。
責任はしっかり取りましょう。』
『熱…少しは下がったかな。熱い…。』
私は起き上がってベットの横にある水を飲む。
コンコンコンっ。
『誰だろ…。開いてるよ。』
ガチャッ。
『あ、主様…。』
『……ベリアン!?』
(嘘、今寝巻きだし、こんなカッコ……。)
『あの、ルカスさんから聞いて……高熱を出されたんですよね…?申し訳ございません。私のせいで……。』
ベリアンは深々と頭を下げた。
『い、いや、別にベリアンのせいじゃ…』
『ですが……』
『っ、初めて、だったから…』
『え?』
『キス……されたの、初めてだったの。』
(それはつまり、主様の初めてのキスを私が……。)
『『……///』』
お互いに顔を赤くする。
『それは、尚更申し訳ございません…。』
ベリアンは再び深々と頭を下げた。
『女性の主様にとってそういうのは大切にしたいものなのに軽率に私は…』
『そんなこと…ない、けど…。嬉しかったから…。』
『嬉しい……?』
私はクッションをぎゅっと抱きしめる。
『ベリアンにキスされたの…嬉しかった、から。』
『っ…!』
なんてずるいんだろう。こんなの…好きだと伝えてるようなものなのに。
でも、どうか気付かないで。この私の気持ちに。…なんて、今更もう遅い。
『それは、良かった…です。』
『うん…。』
『…あの、その……元気になったらまたどこか出かけましょう。』
『う、うん。』
『では、ゆっくりお休み下さい。』
『うん……。』
(熱上がったな…絶対。)
(顔が熱いです…。)
どうか気付かれないで。この主従関係が壊れてしまうから。伝えてしまえばもう…戻れない。
次回
第五舞「独占逢瀬」
#ベリアン・クライアン
ぷち
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コメント
1件
えー、ベリアンからキスした側なのに「初めてだったから」って言われて余計に照れるの良すぎる…!ルカスにあっさりバレて尋問コースになる流れも含めて、この主従のじれったい距離感がたまらん。主様の「嬉しかった」発言でベリアンの顔が真っ赤になったの、こっちまで照れるわ。次回「独占逢瀬」絶対読む。