教会の鐘が町中に鳴り響く時、罪人はただ…何を思うだろうか。
「…シャルル・ウツー…お前は何故、罪を犯した?」
酷く鋭く、感情を持たない声は自身の心を酷く苦しめる。
『…罪を犯す理由なんて、…君たちなら分かると思うけれどね。』
自分の首に繋がれた首輪を、ガシッと捕まれガシャンッ!大きな音がする。
「真面目に応えろ。…これは、遊びなどではないんだ。シャルル・ウツー」
赤く跡が残りそうだな、…
『痛いやんか、…もっと優しくしてくれてもええやん?』
「……もっと痛くされるぞ?…次は無いシャルル・ウツー、発言には気おつけろ」
『…はぁい、すみませぇん。』
「…何故、お前は罪を犯した?」
なんで、震える声でそう言うの?その問いかけには答えてくれなかった。
『そう、…やね。…何故と問われると何とも言えないけれど僕的には、……』
そう、…僕的には…この答えしか出来ない。、
『…残り少ないこの命を、あの子らと一緒に過ごしたいと…心から思ったからあとは、…そうだね。それがあの子の望みだったから』
そういうと、その目の前の看守様は少し、不器用に笑って見せてくれた。
「…そうか。」
『それじゃあ、…僕を殺してくれる?』
『///。』
「………あぁ、」
【 あ り が と う 】
その言葉も伝えられないまま
その瞬間、僕は斬られた。
僕は、とても幸せな人生を全う出来ました。
優しく、ゆっくりと瞳を閉じる。
優しい声が聞こえた。
「起きてや。なぁ、…」
優しく揺さぶられる。
『…ん、……?』
瞳をあけると、優しい瞳がこちらを向いていた
「お、起きてくれたな。」
『…誰や?』
「………俺は、…そぉやなぁ。…..ブラック・…ベルベット…、ベルとでも、読んでぇや。」
パタパタと綺麗な天使の羽根を羽ばたく姿はとても綺麗だった。
『…ベル、…ベルかぁ…綺麗な名前やね。僕は…』
「お前の名前はもう知っとるよ。」
「俺は、お前に聞きたいことがあってん。」
『…ん?』
「お前は、…お前はさ、…この人生楽しかった?」
『どんな人生よりも最高だった』
「……そうか、それなら…良かった。」
「お前の記憶と感情だけ、俺が食べてあげる。」
『ベル…?何言って……、』
「……そしたら、きっともっと彼奴らと一緒に居れるはずやから。」
またね、そう笑ってベルは僕の額に手をおいて、パクリ。1口食べた。
『……ん、』
瞳をあける。ここは何処だ?…治療器具が揃っており薬や、消毒の匂いが充満する白い部屋。病院?…辺りを見渡しても、見えるのはカーテンと白い天井だけだった。
俺は、…何か体が悪かったんか?…それとも、俺は……って、…俺は、……誰だ?
足を動かそうとするが、足が動かない。鎖で繋がれているようで足を動かそうとするとガシャンガシャンと音がする。
その音を聞いてなのか…分からないがこの部屋の扉が開いたような音がして、水色の和服に白い白衣を来た神と書かれた人が入ってきた。
「だい、…せんせい?…よかった。…良かったッ!目覚めたんや。」
こっちに寄ってこようとする、その人。その人の姿を見て俺は恐怖した。
『……、』
「大先生…いきなりで悪いんやけど検査するね。…色々あんな事があった後やし、…ほんま、ごめんな。」
その人は手をこっちに伸ばしてくる。悪意のない行動だと思っていても怖いのだ。そのまま俺は、彼の手を弾く。
「……ぇ、…大先生?」
困惑した表情をする彼に一言。
『……、勝手に触らないでもらえる?…』
『…そもそもとして、…お前は誰?』
「ッ……、自分の事は…分かる?」
『知らないね、そもそもとして此処が何処かも、君が誰なのかも俺は知らないね。』
「……此処は軍だよ。そして僕はここの軍医のしんぺい神。君はここの軍で情報管理隊長をしていた。」
淡々と此処のことを言われる。生憎何故かここのことを心底どうでもいいそう思ってしまう為、そうなんだ。程度の感情しかわかない。
軍と言っているがそれが本当かも分からない。こいつに確信をもてないしな。
「君の名前は、……鬱。皆からは鬱先生や大先生って呼ばれてる。」
『…そう。』
そもそもとして、こいつを信用しようって気にならない。まずだ。軍医といいつつその仮面はなんなんだ?そして、俺の足にされてる鎖。この軍の幹部にする行動とは思えないな。
『……軍医、俺の今置かれている状況は何?』
「…それはどっちの意味?」
どっちの意味…この記憶喪失か、それともこの軍での状況か…そう言いたいんだろう。
『そう、…どちらの意味でも聞いてるけど』
「君の症状だけど、正直検査しないと詳しい所は分からないし、…君の置かれている状況だけど、それも幹部と話し合ってみないと分からないかな。」
『……そう。』
ふと、きまづい空間が流れているとゆっくりと扉が開けられる。
「しんぺい神、会議の時間なのに来ないから呼びに来たよ。」
日本軍か…、海軍かのどちらかであろう白い軍服に包まれた服。背負っている刀、瞳は赤色。……何軍かは分からないが…きっと、此処は軍なのだなと確信した瞬間、走る音がして…、
「…なんでこいつが居るの?」
俺の首に白いふくの男の刀がついていた。…赤色鮮血はゆーったりと、首筋を通って垂れていく。
「あッ!…ちょ!!ひとらん!!?」
慌てて軍医が止めようとするがその刀はビクともしない。
『……痛いんだけど、辞めてもらえる?』
「…お前が言える状況じゃないことぐらいその能無しの脳で考えられるだろ?」
赤い瞳がこちらを見つめてくる。ゆっくりと、その刀は俺の首にくいこんでいく。
「しんぺい神、なんで此処にこいつがいるのって聞いてるんだけど」
「…それは」
扉が再び開けられる。酷く煙草の匂いがする紫色のマフラーをした人が入ってくる。
「ひとらん、…それはグルッペンがそう命令したからや。」
「……グルッペンが?」
食いこんでいた刀はゆっくりと、力が抜けていくのが分かる。
「あぁ、…あとその刀を鞘にしまえ」
首に当てられた刀はゆっくりと、鞘にしまわれて行く。
「…………兄さんが言うなら。」
「取り敢えず、お前らは会議に行ってこいや。俺が鬱の事見とくから。」
分かったと一言二言言ってから2人はこの部屋から出ていく。
『…あんたは誰なの?』
無機質な瞳がこちらを向く、
「…俺か?俺は……兄さんって言うんや」
兄さん…偽名か。
『…なんであんたらはそう正体を隠すんや』
さっきのしんぺい神と名乗っていた人もそうだった。きっと、俺の鬱。という名前も偽名だろう。
「……さぁな、…本名が分かるのはグルッペン。…ここの総統ぐらいだな。」
「他の人間は此処の軍に来た時に、本名を封印される。その代わりに新しい名を貰える。」
「本名を知ってるのは自分と、グルッペンだけや。やから、」
「お前の本当の名前も、…俺らは分からんよ。」
『…変な軍だな』
「その軍にお前は幹部として務めていたんだ。どっちもどっちだと思うけどな」
こいつは、抜けているところをつくのが本当に上手いな。
『……お前の吸ってる煙草は?』
「…煙草か?…主にマールボロを吸っとるよ」
『…マールボロ。…マールとでもお前のこと呼ぶよ。』
「さっきから思っていたんやけど、…お前名前で呼ぼうとせんな」
『…馴染みたくないから。こんな頭可笑しい軍に馴染みたくないから名前で呼ばない。仲良くもなりたくないし』
「…そうか、…まぁ、別にそれでもええんやない?…」
『…なんで、そういう反応が取れるの?』
「…やって、この軍はなにをするにも自由。この軍では我々は主役やから。」
本当にこの軍は頭が可笑しい。睨みつけると、ニヤニヤと笑ってお前にもわかる時がくる。と行ってくる。
『…自由人。』
「……www、自由人なんて、鬱に言われるとは思ってなかったなぁ…、」
昔の俺は、自由人だったのか……。
「…あ、鬱。もう、隣の病室の話はされたか?」
『…隣の病室?』
「知らないようやな、………、ここの決まりや、絶対に守って欲しい。…絶対、隣の病室には入るな。」
『………分かった…。誰がいるんだ?』
「…分かってくれて嬉しいわ。そんじゃ、また」
そういうと彼は、ゆっくりと目の前から姿を消した。…話をわざと逸らしたな…、
すると、扉から2人中へと入ってくる。
「…っ、…はぁ、…大先生!!!」
『…だれ』
言葉は無造作にゆっくりと、口から零れでる
「……、ごめん、…ごめん、だいせんせ、おれ、…おれ。」
黄緑色の瞳からポロポロ涙が落ちていく。
「……お前ら、此奴記憶ないんやぞ。それに此奴は大先生じゃない。…彼奴はもう居ないんや」
「おらんくなんか無いッ!!!」
「俺があの時殺したやろ?…だから、彼奴はもう居ない。少しは分かれや。ゾム」
「………大先生」
黄緑色の瞳は、こっちを見る
『……、』
「…俺、…ゾム。……大先生が付けてくれた名前やで?……覚えて…ない、……?」
黄緑色の瞳は涙を沢山目に貯めていた
『……分からんな。』
「…やから、言ったやろ。無駄やって…、此奴はもう記憶ないんやって」
一度も目を合わせようとしない金髪。
「…ごめん、。俺…もう耐えられそうにないわ。……一旦、落ち着いてくる」
落ち着いてくる、そう目を抑えながら窓から飛び降りていく彼。
「……俺も、書類やらなあかんし、…」
最後の最後まで目を合わせへんかったな。こいつ…、なんて思いながら、その金髪が歩いていくのを見守る。見守っているとふと、金髪が一言言う
「…俺、コネシマや。…なぁ、鬱。俺、お前に言いたいことあってん。」
そういう瞳を見て、少し考える。でも、やっぱり
『……、知らんな。』
「……、大先生。お前は覚えてないかもしれないけど…俺の独り言として…聞いて欲しいねん、」
「…なんで、…なんでお前はッ!!……裏切ったん」
その言葉を聞いて、…俺は裏切ったんか?…裏切ったなら俺はなんで、ここに?
どういう事?頭は良くくるくると回る。
【/”・…–…-………-|/-】
頭に浮かんだその言葉をゆっくりと、話す。
『…彼奴らともっと居りたいから…やな』
俺じゃない喋り方だった。…いや、元々の俺はこんな喋り方だったのかは分からないが…、でも、…このしゃべり方はとても喋りやすかった。
「……うつ?」
初めてコネシマはこちらを向いた。
俺、…鬱という人間…。記憶のなくなってしまったこの俺という人格が無くなってしまいそうな気がして…、俺は何も話せなかった。
彼は足早にその場から去っていった。
『……おれって、…何者なんだろ。』
【sn】
ひとらんと一緒に会議室に向かうと会議が始まる。
「…それで、しんぺい神。遅れた理由があるそうだな。…どうしたんだ?」
『…、大先生が目を覚ましたんだ、』
「大先生がッ!!?」
チーノが勢いよく立ち上がる。
『……まぁ、目を覚ますことは予想出来ていたんやけどね、…記憶が飛んでるんよ。』
『…それも、人に対する思いやりが全くない。…どこか、抜け落ちてるような感じでね。』
「…別に、元々の彼奴がそうだっただけやろ。」
冷たく心無くコネシマが言い放つ。
「……コネシマ。やめろ。」
それをグルッペンがすぐさま止める。
『……、皆会いにくるのはやめた方がいいかも。』
「…そもそもとして、あんな奴の元に行くわけないやろ」
オスマンの発言にショッピくんが少し怒りつつ言い出す。
「…そういう発言はやめた方がいいんじゃないですか?」
「…ショッピ、そういう問題やないんや。彼奴がやったのは…、」
「裏切り行為や。」
そう、裏切り者は徹底的に無くす。それが我々のルール、それは分かってる。分かってるけれど。
『…でも、……、それでも、…言ったらダメやで。』
「………収集がつかない。今日は解散。」
グルッペンがそういうと、走ってゾムが医務室の方に行く。それを止めるようにコネシマが走っていく。
『……ほんとうに、……1つの行動だけでみんな変わっちゃうんだね。悲しいわ。』
「……ほんと、…ですね。」
レパロウくんは、優しくこちらに来てくれる。
「…俺らは……、何なんでしょうか…、」
「私たちは、……どうすることも出来ないんじゃないですかね。…これは大先生たちの問題ですから。」
『……ほんと、どうしたらいいんだろうね。』
一日が経過し、朝起きると目の前には赤い瞳の人がこちらを覗き込んでいた。
『…誰?』
自分が思うより冷たく言葉が出る。その人は起きるとは思っていなかったのか…視線を落としてから早足で病室から出ていってしまった。
その後、早歩きで4人の足音が聞こえてくる。…この軍のひとらは皆早歩きか走ることしか知らんのか…?そう疑問に思うほど皆この病室に来る時は早歩きでくる。
扉が開かれると、やけに色素の薄い瞳と、紫のやる気の無さそうな瞳、何処か俺を恨んでそうな夕日の瞳、綺麗な翡翠の瞳の人がこちらを見ていた。
「…、失礼します。」
色素の薄い人は、礼儀の正しそうだな。
『……』
「…こんな大人数で一気にきてしまいすみません。…一度顔合わせした方がいいかと思いまして…自己紹介しても宜しいですか?」
『………別に。』
「…肯定と捉えさせてもらいますね、私はエーミールと申します。資料室と、図書館の管理人を行っています。以後お見知りおきを」
頭を下げる彼は、大分俺に怒りを抱いているようで、……
『………。』
「…えー、…ショッピっす。後戦の隊長っす。」
やけに短いな…、やる気のなさげの瞳から見れるけれど、…俺とはあまり関わりが無かったんかな…、
「…え?終わり?ほら、ショッピくんもっと、…ね?」
「……この人は、俺の尊敬してる兄さんや無いんで、…俺、謝ってもらうまで許さないってあの人と約束したんですよ。……だから、…ッ………俺、一度部屋戻りますね。…すみません。」
その兄さんの話をし始めた時、…彼の無表情が崩れた…あぁ、そういうことか…、
この人は興味のない人には、とことん興味が無いがその代わり、興味のある人には、興味があるってことだな。
「あ、…ショッピさん………。」
「………俺、チーノって言います!書記長の補佐してます!鬱”さん”の後輩です!記憶が無いかもしれませんが宜しくお願いします!!」
……猫かぶりなぁ…、全員闇がふけぇな。…なんなんだよ、こいつら。
「俺も、ショッピのとこ追いかけなあかんので!悲しいですけど!また会いましょ!」
早足で出ていく、……こいつらほんまに、急いでるなぁ…、ずっと、…そんなに俺が嫌なら早く俺を殺せばいいのに。昨日の…金髪の人。コネシマが言ってたけど、俺は、多分この軍で裏切り者なんじゃないか…?…いや、でもその考えなら…、俺がここで囚われている意味が…、…鎖があるって事だし、囚われている…?……分からないな。
「……俺は、レパロウです。まだ、…幹部にはなれてません。幹部補佐です。…貴方の事…ずっと、信じてますから。」
そう言って走っていく。本当になんなんだ、こいつら。
「…あ、……皆さん行ってしまいましたね…、…鬱さん、レパロウくんも言ってましたが…私も言わせていただきます。……私たちは信じてますから」
そう言って、目を伏せて歩いていってしまう。本当にこいつらは、俺の前からさっさとどこかへ行ってしまう。…
『……朝からなんなんだあいつら。』
相変わらず、鎖に繋がれた足。
『………………ねむいな、…』
本当に、…色んな事が有りすぎるんだ…、軽く伸びていると、音もなしに部屋に入ってくる人がいた。
『…誰』
「え〜、……マンちゃんのこと忘れたん?…ひどいめぅ〜、」
クルクルと綺麗な茶髪に、翡翠の瞳、トルコの方の人間を思い出す服装。
「…オスマンって言うで。大先生…俺は、外交官や。」
『……そう。……外交官。』
「…一緒にお茶会せんか?」
『……お茶会?…なにいってるんだ?俺はここから動けないんだ。』
「…そんなんこうすりゃいいめぅ〜!」
パギッ!なってはいけない音が病室に響き、足枷が2つ真っ二つに割れる。
『…ここの人間は全員脳筋なのか?』
「脳筋じゃないわ!!」
怒ってるのかも分からないが、ポコポコと自身の体を殴ってくる。
ゆっくりと、ベッドから降りる。
『…あるけた。』
「歩けないと思ってたんか?」
『……ずっと眠ってたんだろ?…普通は、足が固まって動けない。』
「……まぁ、その事に関してはお茶会で話そぉや。な?…大先生。」
グイグイと背中を押されて、庭みたいな場所に案内されお茶会用のテーブル、椅子に座らされ目の前に紅茶とマカロンを置かれる。
「食べてみ?」
1口食べてみると、美味しいチョコの味が口の中に広がる
『……うまい。』
「…でしょ〜。大先生、前から好きやってん。ソの紅茶も前から好きなやつやったから…、口に合うと思うで」
その言葉を信じて紅茶も飲むととても美味しい。
『それで、……俺が歩けるのはなんでなんだ、…?』
「…まだ、覚えとったか…、」
『教えられないのか?』
「…いや、まぁ…そんなことないんやけどさ、…ひとつ答えるんやったら…、」
「…、お前には良い後輩達がおったから。」
『良い後輩?』
「さっきすれ違ったから、医務室に来たと思うんやけど、…ショッピくんとチーノ、レパロウくんね、…泣きじゃくってたから大先生が泣かせたんだと思ってたんやけど、」
アイツらが?…なんで、…急に?
『…別に、そんなことしてないと思うけれど』
「…まぁ、…別に。大先生…、いや、記憶のあるお前が泣かせたんやな」
『………、』
「……昨日は、凄く新月が綺麗で、ブラックベルベットが美味しい夜やったから。」
急に何の話だ?…どういう意味なんだ、…
『……どういう意味だ。』
「……さぁ?w……、……でも、とある神話だけ教えようか。」
「とある罪人がいた。罪人は、罪を犯した。その罪は、優しい罪だった。でも、人間たちは罪は罪だと言って彼に罰を与えようとした。天使はそれを見て、それは違うと言いたかったが…天使は姿を表せなかった。彼をどうしても救いたかった天使は、彼の感情を食べてしまった。」
『…その話と今の話はなんの関係があるんだ?』
「……もう、昼ごはんの時間や。こんな連れ回ってると怒られちゃうから帰るで。」
話をそらされる。…この人は、人の話をさいぎったり、ふわふわと話したりするなこいつは、…
『……はぁ、……今度は話をしろよ。外交官』
「まずはその呼び方をやめて欲しいかな。」
『……仲良くする気がないからな、生憎だが無理そうだ。』
「…ふーん、…言うねぇw…大先生?」
『……ではな。』
別れた後、医務室にはいると軍医になんで!!?と怒られたが理由を説明すると、にやっと笑ってあいつのケツ…、ええな。なんて言ってたな。
その後は、新しい足枷がされて、昼ごはんを食べて夜ご飯を食べて……そして、…窓の外をただ眺めるだけになった。
『ふわぁ、……ねみぃな。』
「………なぁ、」
夜の成り立て。隣から声がして、そちらに視線を向けると天と書かれたチビがいる。
『……誰。…子供か?迷子…?』
「誰が迷子や!!!?俺は司令官で、情報部副会長ロボロや!!!」
情報部ってことは、……俺の部下……?
「お前より、1個下ゾムと同い年や。」
ゾム……?ゾムは、大体20代前半ぐらいだったな…。
『………そうか。』
「…さっき、勝手に逃げ出したんやって?…なんで?」
『………外交官が連れ去った』
「オスマンが……?…それはおかしくないか?…やって、彼奴は……、」
「……まぁ、ええわ。……大先生は何処まで記憶があるん?」
『……、何もない。……強いて言うなら、……』
そう、俺が一つだけ唯一ある記憶、……
『…天使様の記憶はある。』
「…天使さん?…なに急にメルヘンなこと言ってるんや?」
『……、綺麗な羽根持ってる黄色の瞳の天使。』
「……その天使とやらとどうしたんや?」
『…彼奴は、……何かを食べてあげるって言ってた。…その発言に俺が何言ったかまでは覚えてない。…でも、天使の発言は覚えてる』
…何か、さっきオスマンの言ってた話と似てるような………、。
「……ふーん、……。」
「……まぁええわ。…あ、あと大先生。」
『…、』
「……トントンには関わんなよ。」
『…とんとん?』
「…まぁ、そのうち分かるで。」
「…今日は、満月やな、」
満月がこちらを見て、…少し笑った気がした。
『…、満月…。』
「…また来るわ。」
司令官が居なくなるのを見て、…ふと、眠いため目を閉じる。
今日も、昨日も本当に色々とあった。もう、…今日は疲れたんだ。
夢の中、どんどんと自身は海へと沈んでいく。
口から空気は無くなっていく。
声にならない声が、助けてと手を伸ばす。
「…何やってるんやw…此処は苦しくないで」
『……誰…?』
「……俺の事忘れたん?」
目を逸らすと、天使のような翼が綺麗についていた。
『………あ、……ベル…?』
「…そぉやで、俺はベル。」
「…そぉやなぁ、…なぁ、罪人さんや。」
『…罪人って呼ばれると凄く不快なんだけど』
「…、君は、食べられてしまってん。」
『…食べられた?…何を?』
俺の言葉に反応せず、目の前の人は話し続ける
「君の感情をや。」
『……は?』
「……前のお前は、……人を…、想ったから死んだんや」
『……何言ってんの、…?』
「……なんでもないで。感情を戻したきゃいってや、…ブラックベルベットが飲またくなるような月の日にまた会おうや。」
「ブラックベルベットが飲みたくなるような…?…どういう事なの、…?」
そのまま意識が遠くなっていく。まだ、説明して欲しいことがあるんだ。そう手を伸ばしたがその手にその天使様の手が触れることはなかった。
『………、……ん”ー、…ねっむ。』
眠い目を擦る。朝起きると、また目の前に赤色の瞳がいた。ナイフをこちらに向けている。
「……、また殺せんかった。」
そう言って赤い瞳の人は、去ろうとする。
『……誰なの、…お前は』
赤い瞳がこちらを見つめた。…、無言の空間が過ぎていく。向けられたナイフは、キラキラと光り輝く。
「…俺は、……お前に罰を与えなきゃいけないんや。…やから、…やから。」
「……、すまん。…だいせんせ、」
ナイフをそのまま俺に向けてくる、…あぁ、俺死ぬんだ。
「…トントン、辞めろ。」
そう、もう1人の赤色の金髪の人が入ってくる。
…トントンと呼ばれた赤い瞳の人は、辛そうな顔をする。この人が司令官が言っていたトントンか。
「……なんでや、…俺は、こいつに罰を与えなきゃならないんや…、グルさんの頼みでもそれは聞けへん。」
色んな感情が混ざった表情をする彼、。グルさん…、この人が総統閣下か、…
「……もう、罰を与えなくていい。こいつにはもう、罰は与えられただろう?」
「…いや、…でも、…鬱がッ!!」
俺が……?
「…あの時の約束は、俺らはもう、、守ったんだ…」
「…そう、…やな。……ごめん。」
ゆっくりと、ナイフをもった手を降ろす。赤色の瞳のひと。
「……トントン、鬱…今日は、きっと、…新月だ。」
「……あぁ、そう、…やな。」
『…お前らは、なんなんだ、……?』
「…俺は、トントン書記長や。」
赤いマフラーがふわりとまう。
「…俺はグルッペン・フューラー。この国の総統であり、15人の幹部をまとめる軍の指導者だ。」
軍の指導者…、15人……?今会ってるのは13人だ。そのうちの1人は、俺だ…、もう1人は…誰なんだ…、?
『……そうか、……総統、書記長…質問があるんだ。』
「…なんだ?」
『……なぁ、………俺は、一体何者なんだ?』
その問いには、2人は答えてくれなかった。
「……きっと、いつか分かるさ……、あぁ、そうだ。鬱」
『…?』
「…今日は、隣の部屋に行ってもいい。」
『…隣の部屋に?何故?』
「……まぁ、行きたくないなら行かなくてもいいさ…。」
夜になり、外を眺める…今日は新月と、彼らは言っていたが…新月などではなく、子望月だった。
『…結局、あの二人は何言ってるのか分からなかったな……、』
約束とはなんなのか、…書記長が俺を殺そうとしたのはなんなのか…、それすら分からないな…、
『……隣の病室……か。』
あの流れで言ったのが分からない……、もしかしたら…、…そこに俺の正体を表す物があるのかもしれない。
歩いて向かうと、扉がある。…知ってる。この扉…何故か知ってる。…いつもは閉まっていた。…はずなのに、今はガチャリと開く。
………なんで、いつもは閉まっていたと知ってるんだ?
………、まぁいい、早く中に…。
『……ふぅ、…』
何故か震える右手、……右手を左手で抑えて、ゆっくりと開ける。
そこには、…1人の人が居た。
『……、え、…、』
座っているのかと思ったが…、ベッドがその人を座らせるみたいに上がっているだけだった。
何故か足が進んで、その人の目の前で足がとまる。窓が開けてあり、風が舞い込みカーテンが風にのってふわりと浮く。浮いたカーテンの隙間から月明かりが差し込まれた。
『……、あ、……、』
その月明かりは、とても綺麗で…その人の背に羽根が生えているみたいに錯覚した。
『………天使、…様?』
その時、はっきりと天使様の姿を思い出した。
そう、…そうだった。ボブみたいな髪の長さで、優しく笑う。暖かい黄色の瞳。
天使様、その自分が発した声で起きたのか、瞳を開けた。
「……、」
綺麗な瞳がこちらを見ていた。
『……きれい。』
「………やっと、…来てくれたんやね。」
『…しゃおちゃん?』
何故か、言葉にでたその言葉。
「……、今日は新月、ブラックベルベットを飲むのにいい日やね、」
『…ブラックベルベット…、』
「…その言葉の通り、俺を忘れないでくれてありがとう。大先生…、…、いやぁ、…俺の事に関する記憶も食べたつもりやったんけどなぁ…、食べきれなかったっぽいわ。…やっぱ、俺、…少食やん?」
『……どういう事?』
「…やっぱ、標準語のお前見てるとちょっと違和感凄いわw…それに、…大先生も何も分かってないっぽいし、……そろそろ答え合わせしようや。大先生」
『……、』
「お前がここに来たのは、…、お前がお前のことを知りたかったからやろ?……、お前には、記憶を戻してもらう。…、」
『…あぁ、』
「………お前は何も悪くないからな。」
そう言って、俺の頭を撫でた。…その瞬間自分の視界は暗転した。
「…ごめん。」
最後に聞こえたのは、その謝罪の言葉だった。
目を覚ます。綺麗な景色が広がっていた、自身の体は自分の言う通りには動かなかった、…あぁ、これは記憶が無くなる前の記憶、…思い出を疑似体験しているのだなと分かる。
総統様の前で、自分は膝を着いていた。
『…グルッペン・フューラー。』
「……お前、名をシャルル・ウツーと言ったな」
『えぇ、』
「…お前をこの軍に引き入れよう。」
『宜しいのですか!!?』
「…だが、条件がある。」
『…何でしょうか?』
「この軍で名を述べる時は自分を鬱と呼べ。」
『…鬱…、ですか?』
「あぁ、そうだ」
これが…ポーロの言っていたやつ…だな。これは、ここに初めて来た時の記憶か…、視界は暗転する。
明転すると目の前では、…司令官と、天使様が戦っていた。
『おぉ!!?ロボロこれ勝てるんちゃうか!!?』
「おい!!シャオロン!!!前線部隊背負って戦ってるんやからな!!?ぜってぇ負けるなよ!!?」
「お前らうるさいねん!!集中させろや!!」
こっちを見る天使様。それに詰めるように司令官が刀を振る。
…が、天使様が思い切り刀を蹴り、司令官が手から刀を落としてしまう。そこに畳み掛けるように天使様が司令官にスコップを向けた。
「勝者!!シャオロン!!!」
すると、勝敗がついた事を大きな声で書記長が言う。すると、2人がこちらに歩いてくる
「……あぁ!!…負けてもうた…。」
「うぃー、雑魚乙〜」
『シャオチャン…おめでと♡』
「…うわぁ、きっしょ、………」
「そんなあなたはSAN値チェックです。」
「大先生〜、コネシマ〜!そろそろ、試合やから行け〜。」
『ん〜、…分かった。』
自分がゆったり歩くのに対し、シッマは駆け足でいく。さすが前線部隊隊長。
………、俺は、今何を考えた?………記憶が戻りつつあるのか…。だから、その時の気持ちがわかるんや。
「本気だせよ、…大先生?」
『…、…それは約束出来んな。』
自分は、短剣だけ持っているようだった。隊長は、酷く磨かれた大剣。
「両者ついたな、…それじゃあ」
「初め!!!!」
その合図に合わせ、自分と前の隊長は動き出す。
短剣と、大剣で弾き合い、一気に力を込められる。…短剣と大剣なので、勿論短剣が負ける。それも、僕とシッマやしね。でも、…僕はずる賢いんよなぁ〜。…自分の腰に入っていた拳銃を取り出して、そのまま勢いよくシッマの頭にあてる。
「…勝者!!!鬱!!」
『ほら、本気出してやったで?』
「…騙しかよ。」
『ごめんて、そんな不貞腐れんとってや!!』
視界は暗転する。
ゆっくりと記憶が戻っていく、
楽しい記憶。
そうだ、…そうだった。僕は、…鬱。この軍で情報部として、…この軍に務めていた。そう、…、なら、なんで僕は記憶を失ったんだ…?考えていると世界は明転する
『……はぁ、』
1月22日。そう書かれているカレンダーを撫でる僕。
『結局、…僕の誕生日…ダメやったなぁ』
皆祝ってくれなかった。…そう、その時は祝ってくれなかったんだ。
すると、ガチャリ扉が開いてシッマがこちらを向いていた。
「なぁに、やってるんや大先生!!食堂来て言うたやんか!!」
『え、…僕、…そんなん知らへんよ?』
「………ゾム…言い忘れたんやな…。」
「まぁええわ、行くで!大先生!!」
『ちょ、…ちょっとぉぉおお!!?』
手を引っ張られてそのまま食堂に向かわされる。
食堂につくと、バンックラッカーを鳴らされる。
『え、』
「なぁに、とぼけた顔しとんねん!!ww」
「鬱の誕生日だからな。」
そう言って皆が誕生日プレゼントくれたっけ、……今も大事に箱にしまってあるよ、本当…ありがとうね、皆。世界は暗転する
そんな優しい記憶、…
そしてまた、世界は明転する。
………あぁ、これは……そうだ。僕が裏切った記憶や。手に広がる綺麗な刃パソコンに書かれたシャオロンを殺害しろのメッセージ。
『……。』
彼を殺さなければ、…この軍は壊れてしまうんやって、…爆発されてまうんやって、…だから、…ぼくは、…僕は、…、震える手でナイフをもってシャオロンの部屋に向かった。
扉を開けると、こちらを見ていたシャオロン。
「………気づいてた、お前が最近ずっと挙動不審やから、…パソコン見たんや。…だから、お前がスパイやって、…いや、仲間思いな優しい奴やって分かってた。」
わざと、…パソコンを開いたまま部屋から出たんや。助けて欲しかったから…、見つけて気づいてほしかったから、…
『……、』
「…俺を殺せば軍は助かるんやろ?…、…俺からもお願いや。俺を殺してや。」
きらり、…月明かりはシャオロンを照らしている
『…でも、…、それはッ!!』
「…もう、ここに来てナイフを握ってるお前がいる時点でお前の中では決心ついてるんやろ?…なぁ、…だいせんせ、」
手に持たれたブラックベルベット。
「なぁ、…だいせんせ、…俺殺してもいいんやけどさ…絶対忘れないでや、…俺の事」
ブラックベルベット…そのカクテル言葉は…、
忘れないで
『…わすれる、…訳ないやんか、…、しゃおちゃんのこと。』
「、…、ありがと、……だいせんせ、」
怖いほど綺麗なその声に、…僕の手はもっと震えた。その時、侵入者が入ってきたことを知らせるベルが鳴り響く。
「…どういうことや、…?これって、…いや、もしかしてお前ッ!!」
『…僕が自分で鳴らすように設定した。そしたら、そろそろこの部屋に来るはずや。グルちゃんの部屋に手紙を置いてたからね。』
幹部シャオロンを暗殺するそう大きくかかれた紙
「…そんなんしたらッ!!バレちゃうやんか!!」
『…やって、そうやないと…ダメやんか。』
「…っ、…」
『僕がやった行為は、…裏切り行為や。』
『それにどんな理由があろうと、…罰せられる。』
幹部1人を殺すんだ。そりゃあ、その罰は死刑しかない。
「……、かなしいなぁ、…」
何人もの足音がこちらに向かってくる。
『…ごめんね、シャオちゃん』
「…んーん、だいせんせ、それが軍に対する最高の態度や。」
『……ありがとう。』
そして、僕が犯した罪の記憶。
震えた手で僕はシャオロンの腹をさした。
その時大きな声で言われる。シャオロンを殺すな!!鬱!!その情報は!!!デマだ!!!
『………は?』
扉が開けられる。手に血がついていて、…血まみれのシャオロンを抱き上げている自分。
それをみんなは、見つめてた。
そう、…だ、
『………、そうだ。』
そうだった。
『………、…ぼくは、……』
『裏切り者やったんや』
病室に冷たく響き渡る、
「…大先生、…それはちゃうよ。…それはちゃう。」
『何が違うんや…?…だって、僕は!!あの時!!』
『お前を殺したんや。』
僕は、ゆっくりと立ち上がりそのまま歩いていく。お前を殺したんや、そう言うと…シャオロンは意識を失ってしまう。否、先程まで見たのは僕の幻覚のシャオロンだ。
だって、シャオロンはもう、この世に居ないのだから。
会議室とネームプレートがある部屋の扉を開ける。そこには、皆が座ってた
『なぁ、とんとん、……なんで僕を殺してくれなかったん?』
「…だい、…せんせ?記憶がもどって、……?」
『…質問に答えてや、…とんとん、…』
「……殺したくなかった。やって、お前はッ!!騙されてたんやで!!!?」
『…騙されていたとしても、やっては行けへんことやったやんかッ!!僕はッ!!!』
「それは理由があったからやろ!!?」
その時、シッマがこっちに歩いてくる。
「………、そんなに殺してほしかったら、俺が殺してやるよ、大先生。」
『…しっま、』
こっちへと、歩き終わったシッマは俺に大剣を向ける。あと少しで刺さりそうだ。
僕は覚悟を決めたさ、……、その時、何かが大剣を弾いた。
『……え?』
【sha】
真っ暗な部屋の中、月明かりが照らしている。俺は、…………俺の事はいいんや。
アイツが…あいつが、…彼奴に言わなきゃいけないことがあるんや。
ベッドから降りようとするも、足が少しふらふらとしてしまう。…まぁ、足がフラフラする程度ですんでるのは、アイツらのおかげやと思うけど…
壁伝いで、頑張って会議室に向かう、きっと、…彼奴は会議室に行ったはずなんや。シャベルも、頑張って持ち上げて、どうにか歩いていく。
『ッ…はぁ、…い”ッ…、』
ズルズルと引きづりながら、歩いていく。会議室と書かれた扉を思いっきりあける。
目の前で、行われそうになっている殺人。俺はそれを今出せる最高威力で止めた。
「………え?」
『…やめろ、…やぁッ!!』
【鬱】
「…やめろ、…やぁッ!!」
シャオロンが、シャベルをもって大剣をおしあげていた。
『…シャオ、……ちゃ?』
「シャオロンッ!!?…いや、でも、…こいつはッ!!」
「…コネシマ、やめろ、」
グルッペンに命令された途端、シッマの大剣は下ろされる。
『…いや、…でも!僕は!!』
「…俺は生きてるんや!!もうええやろ?」
シャオちゃんは、生きてる…分かってる、分かってるさ
「…お前一人がそんなに苦しむ理由はないんや。」
…苦しまないと、…それでも苦しまないと。
「げどちゃんも、マンちゃんも、…シッマも…、大先生は悪くないって分かってるけど…、でも、その気持ちを何処にもおけなくて、そうなってるだけやろ?」
でも、…そんな優しい君たちがそう言って笑ってくれたとしても…僕は。
そんな、優しい君に殺す気で差し掛かったという罪を抱えなきゃいけないんや。
『…、…でも、…ぼくは、』
「鬱。」
その時、重圧感のある赤色の瞳がこちらを見つめた。
「話をしよう。」
『…僕には話す価値さえない』
「シャルル・ウツー、話を聞け」
『………、』
「…あの時、お前がシャオロンを刺してしまった時我々が入ってきたな。その時、お前が言った言葉はなんだった、思い出せ」
『僕が…言った言葉…、』
「……はぁ、………本当にごめんって、言ったんだ。軍の為にやったとしても、これはダメやって、…そう言ったんだ。そのあと、トントンに向かって僕を殺してとも言っていたな。」
「……俺は、国のルールの為、…軍の規則の為、…お前を罰せねばいかんかった。」
「……………トントンに断罪人を任せた、」
「その時もお前は、みんなと一緒にいたいから。彼の願いだからそう笑ったな。」
「…そんなお前を見たトントンは、お前を殺せなかった。」
「トントンは、殺そうと向けた静粛剣を落としてしまったんだ。」
「……それを見たゾムは、…お前を無理やり連れていったんだ。」
『…連れていった?』
「…そうだ。シャオロンの所に連れていかれたお前は、…悲しそうにシャオロンの元に居たさ」
「シャオロンの元に連れて行かれたお前は、何故かシャオロンの前で気絶した。」
「その後は、お前の知っての通りだ。」
「起きたら、記憶が無くなり…感情も無くなっていたお前が生まれた。」
「…お前は一体…、どうしたんだ?」
『…俺は、…』
「それは、俺が答えさせてもらうわ。」
シャオロンは、話し出す。
「……、俺、……1回死んだんよ」
『………え?』
「…死んだんや、…その時、鬱を見てな。大先生は、…どうしても、…たすけたかってん。」
「……、大先生を助けるためには、どうしたらいいんか考えたんよ。」
「…やっぱ、ゾムが連れてきてくれた時にも思ったんやけど大先生は、ずっと自分を悔いてるやんか…。そのまま生きさせたとしても…きっと、大先生はダメやと俺思ったんよ、」
「…やからな、…俺大先生の記憶を食べたんや」
『…記憶を。』
「…記憶と、人を思いやる心を。…人を思いやる心がなきゃ、…きっと、俺を悔いることも無くなるかと思ってん」
「…でも、無理やった。俺がこの場所から居なくなる事が嫌やった。」
「…だから、俺……神様にお願いして戻ったんや」
「…この体に。」
『…………、でも、僕は』
「…今ここにいる皆、お前のことを誰も嫌いになっていない。」
「ひとらんも、コネシマも…2人とも何も出来なかった自分を悔いて…お前に当たってるだけだ。」
「は!!?…ちょ、何勝手な事」
「…ひとらん、…俺ら。もうええと思うんや。」
「…国のためやない、軍の為やない…俺は、こいつをみたい。」
「……そう、…だね。……ごめんね、大ちゃん。」
『………僕が悪いんよ、…ほんま、……僕が…』
「……、大先生がまだ自分の事あーだこーだ言ってて面倒くさいので、コネシマさんが1発芸やってくれるらしいでーす。よろしくおねがいしまーす。」
「はぁぁ!!?何言ってんねんシャオロン!!?」
「さーん、」
「にー!!」
「いーち…?」
「ゴホンッ、…これはね、俺の”・・|_-_-」
「ど下ネタやないかい!!やめんかい!!」
『んふ、…あははははwwww』
耐えていたのに…、罰を受けなきゃいけないのに…僕はもう、…いっか、…そんな気持ちになって笑ってしまった。
「なぁんや、…だいせんせ、…もう笑えるやんか」
「さっきまで、鬱々しい感じ出てたんに…www」
すると、シャオちゃんはこっちに近づいてきていきなり俺の顔にデコピンをした。
『いったッ!!』
「まぁた、晴れない顔しやがって……、もういいやんか。…もう過ぎたことやん。…誰1人気にしとらん」
「…あ、罰が欲しい欲しい言ってたからデコピンの刑やで!!?」
そう言って精一杯とても良い天使のような笑顔で笑ってくれた。
『…しゃおちゃん、』
「なんや?」
『……ありがとう。』
そういった僕もとても、いい笑顔だったのかもしれない。
僕の天使様は、…僕の悔いを食べてくれた。僕の辛い気持ちを食べてくれる優しい天使様なんや。
【罪人は天使様に食べられた】~END~
コメント
9件
ut先生がshaちゃんののと「天使様」って呼んでるの最高に好きなんだが、ただでさえ推しが主人公ポジにいることで嬉しいのに、こんな感動作品見られたらもう耐えれんよォ、涙溢れてくる。コミケ組やはり良き。作品の中でのknさんの俺が56してやるの部分相棒感半端なく目好きすぎる。 相棒と介護がコンビでいっちゃん好きなんやけど(誰も聞いてない)そのふたつのコンビ要素入ってて嬉しすぎて爆発した((?))
めっちゃ残酷な(?)展開に進むのに結局最後は笑って終わらせてくれるとこほんと好きですわ… 個人的にd先生がshaさんを「天使様」って呼ぶとこが好きですね!! ( ? ) めっっっっっっっっちゃ感動しました!!!!!
うわ、好きすぎるって。やばすぎるって。(?) あい・らぶ・ゆー!!!