さとみver
莉犬が運ばれた。
そう、連絡が来た。
突然の事でびっくりしたが、きっとこの場で1番びっくりしているのはジェルやるぅとだろう。
俺は、早く帰ることを先生に伝え、その場を後にした。
莉犬が体が弱いことは知っている。
それでも救急車を呼ぶのは初めての事だ。
熱がまだ下がっていなかったたのだろうか。
それとは別に、何か原因があったのだろうか
俺には何も分からなかった。
病院に着くと、手術室の前の椅子で座り込み顔色の悪い2人がいた。
さとみ「2人とも。来たよ」
ジェル「兄ちゃッ…ポロポロ」
るぅと「さと兄ッ…ポロポロ」
るぅと「怖い、怖いよぉッ…ポロポロ」
さとみ「2人とも怖かったな、、」
さとみ「ころんとなな兄は?」
るぅと「ころちゃんは、忙しくてッポロ」
ジェル「なーくんは急いできてるってッポロ」
さとみ「そっかそっか」
さとみ「頑張ったなぁ」
さとみ「莉犬、どんなんだったんだ?」
さとみ「言える範囲でいいよ」
ジェル「帰ってきたらな…?ポロ」
ジェル「階段から滑った兄ちゃんがいたん…」
ジェル「頭からなぁ…?ポロポロ」
ジェル「血がッ…ポロポロ」
さとみ「そうだったんだな。」
るぅと「触ったら凄く熱くって…」
さとみ「熱、治ってなかったのか…」
気づかなかった。 いや。
気付かなかったんじゃない。
気付きたくなかったのかもしれない。
正直、莉犬のために何かをするのは少し疲れてしまった。
何故、他の人は出来るのに莉犬はできない。
何故、莉犬はすぐに人を頼る。
何故、すぐに人を困らす。
なんで、なんで、なんでッ…!!
そうやって。怒っていた。 嫌だった。
莉犬を特別扱いしなくちゃいけないのが、苦しかった。
もちろん、莉犬が嫌いなんじゃない。
大大大好きだ。
それでも、それでも、莉犬を羨んでしまう。
いつも大変そうなお兄ちゃん。
俺にとっては、世界で2人だけのお兄ちゃん。
俺は、莉犬よりも背が高い。
声だって低いし、顔も少し大人っぽい。
いつも疲れて帰ってくれるなな兄。
帰ってきても、莉犬にばっかりだ。
体調を心配するのも分かる。
それでも、1人置いてかれているような気がして寂しかった。
ななもり「3人とも。頑張ったね。」
ななもり「手術終わったよ。」
さとみ「兄ちゃん、?」
さとみ「いつから居たの?」
ななもり「ついさっきね」
ななもり「入院グッズ持ってきたの」
あぁ。また任せてしまった。
さとみ「マジか…」
さとみ「ごめん、気づかなかった。」
ななもり「いいよいいよ笑」
ななもり「2人のとこに先行っててくれて」
ななもり「良かった。ありがとね」
さとみ「ううん。」
医者「無事終わりましたよ」
医者「少し熱が高いのと、栄養失調。」
医者「そして、寝不足が関係してるのだと」
医者「思われます。」
ななもり「そうでしたか」
医者「1人になさってたんですか?」
ななもり「はい。」
医者「そうでしたか。」
医者「あまり目を離さないであげてください」
医者「ちゃんと、向き合ってあげなさい。」
ななもり「はい。ありがとうございます。」
4人で深々とお辞儀をした。
るぅととジェルは、安心したように泣いていた。さっきの顔色とは、段違いだ。
なな兄は、何かを考え込んでいるかのようだった。
医者「524号室です。」
ななもり「わかりました!」
ころんからLI〇Eが来た。
ころん「兄ちゃんごめん!」
ころん「部活で遅れるかも!」
ころん「どうしても離れられなくって…」
きっとすごく辛い判断だ。
いち早く、莉犬に会いたいだろう。
それを我慢してでも部活に行くころんは、俺が思ったよりも少し成長したのかもしれない。
コメント
1件
みんな、いろいろと我慢してるんやね… えっと元凶はあいつらっと… 今回も最高でした!!!