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暴力表現あり。
苦手な方ブラウザバック。
本人様一切関係ありません。
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机と椅子が少し歪んだ配置で並び、他の生徒たちは距離を置くように
わざと視線を逸らしている。
その輪の中、唯一近くに立っているのが
すちだった。
だが、彼は何もしていなかった。
腕を組み、無表情でただ見下ろす。
こさめが腹を押さえて蹲るそのすぐ横に
立ちながら、助けるでも、
止めるでもなく。
ー
「すっちー……たすけ……」
か細い声がこさめの唇から漏れる。
その声は震え、必死に縋りつこうとして
いるのが誰の耳にも分かった。
すちは一瞬、目を細めた。
だが、その視線はすぐに逸らされる。
「……」
代わりに返ってきたのは、
何の意味も持たない沈黙。
なつがそのやり取りを見てニヤリと
笑った。
「お前、誰も守ってくれねぇじゃん。」
こさめの顔色が一気に青ざめる。
それでもなお、彼は最後の希望を
失いたくなくて、
すちに視線を向けたままだった。
ー
その隣では、らんがまだいるまに
襟を
掴まれている。
「……すち、お前……」
らんは息を切らしながら、
すちを見据える。
しかし返事はない。
「らん、あきらめろよ」
いるまが低い声で笑い、らんを机に
押し付ける。
「そいつは見てるだけだ。
お前のことなんかどうでもいい」
ドンッ!!
机が揺れ、上に置かれていた
筆箱やノートが床に散らばった。
みことがその音にビクリと肩を震わせる。
ー
「なぁ、みこと」
なつが今度はみことの前に立ち、
腰をかがめて目線を合わせる。
「お前、罪悪感でいっぱいなんだろ?
全部自分のせいだって」
みことは唇を噛み、何も言えない。
「だったらさぁ……」
なつの右手がゆっくりとみことの頬に
伸び、指先で皮膚をなぞる。
「泣きながら、らんに謝ってみろよ。
“俺が悪かったです、
殴られて当然です” ってな」
「やめろ!!」
らんが叫ぶが、いるまの腕が首元を
押さえ、声を詰まらせる。
「黙れって言ってんだよ」
低く響く声に、らんの背中が震える。
ー
すちはその光景を見ている。
目の奥に何か思うところはあるように
見えるが、一歩も動かない。
「……なんで」
こさめの口が微かに動く。
声はほとんど空気に消えてしまい、
誰にも届かない。
それでも、その問いは確かにすちに
向けられていた。
“なんで助けないの?”
“なんで見てるだけなの?”
その瞬間、こさめの目から光が消えた。
もう誰も助けてくれない——
その事実が、深く、深く突き刺さる。
なつが満足そうに立ち上がり、
「ほらな、簡単に折れたじゃん」
と笑い声を上げた。
いるまも口の端を上げ、らんの襟を放す。
らんは床に崩れ落ち、みこととこさめが
その横に倒れる。
三人の肩が小さく震える音だけが、
静まり返った教室に響いていた。
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色々本当にごめんなさい。
これからもっと
ドロドロになっていきます。
→600♡