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キーンコーンカーンコーン
乾いた機械音が教室中に響いた瞬間、
なつは「おっと、時間だな」と鼻で笑い、
手を離す。
乱暴に掴まれていたこさめの髪がふわりと
揺れ、顔が下を向いたまま呼吸を
整えようと震える。
「続きはまた放課後でな」
なつが軽く肩を叩き、
机の列を抜けて自分の席へ向かう。
いるまもらんの襟を放し、何事もなかった
かのようにネクタイを整える。
「ほら、授業始まるぞ」
その声は、さっきまでの冷たい響きが
嘘のように平然としていた。
二人が席に腰を下ろし、椅子の脚が床を擦る音が**キィ…**と長く響く。
ー
残されたのは、こさめ、らん、みことの
三人。
体中が痛みで熱を持ち、呼吸はまだ浅い。
それでも、チャイムというただの時間の
合図が、一瞬だけ暴力を
止めてくれたことに、胸を撫で下ろす。
らんは額の汗を拭い、みことは
泣きそうな目で床を見つめ、
こさめは壁に背をつけたまま、
肩で荒く息をしていた。
誰も言葉を発しない。
静寂だけが、再びこの空間を
満たしていく。
だが、その静寂はさっきよりもずっと
重く、 “この時間が終われば、また始まる” という 予感だけが残っていた。
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短くてすいません。
力尽きました。
いいねもありがとう御座います。
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