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・照月
・学園もの
「なあ、いいだろ?」
「や、やめてよ。」
最近クラスで問題が起こり始めてている。不良グループによるいじめだ。
ここ数日はそのことに気を回していたので、今日はどこかぼんやりした気分だ。
注意しないと、そう立ち上がろうとしたがフッと力が抜ける。
次の瞬間。私は床に倒れ込んだ。
「ーー世の中すべて自分の思い通りにはいかない」
どこかで聞いたことがあるような言葉だ。
「照がやられる理由はないのだから、もうやめなさい。」
そうだ。
あの時。私の中で母が「正義」ではなくなった時だ。
その言葉が終わると、視界は少しづつ暗くなっていった。
「魅上君大丈夫?30分ぐらい寝てたみたい。」
保健室の先生が鼻にかかった声で言う。
そんなに寝ていたのか…
ぼんやりとした意識の中で記憶をさかのぼる。
確か、夜神君に肩を貸してもらってここまで来たんだ。そこまでは少しは意識があった。
「一旦熱測ってみようか。」
言われて測ると38.1度と出た。
体調が悪いと思っていたが、ここまでとは…
「今日はもう早退しようね」と言われ、私は帰る準備をした。
「頭が…痛い……」
自分の枯れた声でようやく目が覚める。
あの後私は昼頃に家に着き、食欲も出ないのでスポーツドリンクとどんぷく薬を飲んでずっと寝ていた。
スマホを見ると「16:18」と数字が出てくる。だいぶ寝たな…。
薬を飲もうと鉛のような体を起き上がらせ立ち上がる。
頭がズキズキと痛いが、何とかキッチンまでたどり着いた。
薬を飲んで、熱を測る。
すると38.2度で、なかなか熱が下がらない。でも家に帰った時は38.7だったので、良くはなってきた。
そこから動けずにぼーっとしている時、インターホンが鳴った。
誰だろうと画面に近づく。
そこにいたのは夜神君だった。
「はい」
「あ…魅上。今日のプリントを持ってきた。というか熱は大丈夫か?」
「まだ下がらないんですけど、寝たら調子が良くなりました。」
「そうか。無理するなよ」
「はい。あ、今開けます」
制服姿の彼が入る。その手には袋が握られていた。
「家近いしプリント持ってきた。あと、はい。スポドリも一応。」
「…いいんですか?」
「ああ、一人で住んでんだろ?心配だったから」
私は母が亡くなってから、親戚の家で暮らしていたが、高校からは一人暮らしをしている。
二年生となった今では慣れたものだが、体調が悪いと不便だ。
「ありがとうございます。買い出しに行けなかったので助かりました。」
「よかった。困ったらいつでも連絡してこい。すぐにとはいかないが何か買いに行くよ。」
「だ、大丈夫ですよ」
「いや、家も近いし遠慮するな。」
「少し掛けていいか?」と言われ食卓へ案内する。
「…きれいな家だな。学校もあって家事をするの大変だろ」
「最近は慣れてきましたので」
「あっ」と声を出す。
「風邪を移すかもしれないのでそろそろ…」
ああ、と彼は言うと、ふと何かを考えるように顎に手をあてる。
「嫌だ…って言ったらどうする?」
そうイタズラっぽく笑った。