テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
蓮
75
#リヴァイ兵長
さらん
4,937
あれ以来、あの新兵は
来なくなった。
他の兵科に異動願いを出したなら
もうじき俺のところにも
回ってくる頃だろう。
あいつはまだ何も知らない。
あの笑顔で壁外へ出れば
すぐに死ぬ。
知らないまま死なねぇ場所に行くなら
それが一番いい。
ふと、中庭を横切ろうとしたところで
金属の擦れる音が聞こえた。
…こんな時間に何だ。
目を向けるとそこに、
見覚えのある姿があった。
あの新兵だ。
1人で立体機動装置を身につけ、
何度も同じ動きを繰り返している。
…何をしてやがる。
一度、狙いを外した。
体が大きく傾き、そのまま地面に転がる。
そしてすぐに立ち上がった。
装備を確認する。
息を整える。
そしてまた同じ場所に戻った。
「……」
気づけば足を止めて眺めていたことに気づき、
俺は無言でその場を去った。
コメント
1件
新兵が一人で立体機動装置の訓練を繰り返す姿、すごく胸にきました。彼が何も知らないまま必死にやってるのが切なくて、それを見つめる主人公の「無言で去る」選択に、いろんな思いが詰まってる気がします。この距離感、すごく好きです。