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美奈、「」
らん、『』
俺と美奈は、物心ついた頃からずっと一緒だった。
家は向かい同士。登校班も同じ。小学校も中学校も、そして今は同じ高校。
美奈:「おはよー、遅い」
らん:『美奈が早すぎるんだろ』
そんな会話を毎朝交わすのが当たり前で、特別だなんて思ったことはなかった。
一一つい最近までは。
高校二年の春、美奈は急に変わった。
前まで俺のジャージを勝手に借りてたくせに、今はちゃんと距離を取る。
話すときも、目を合わせない。
理由は分かってる。
美奈に、好きなやつができたって噂。
放課後の教室。夕焼けでオレンジ色に染まる中、美奈は窓際でスマホを見ていた。
俺は気づいたら、席を立っていた。
らん:『美奈』
名前を呼んだだけなのに、心臓がうるさい。
美奈:「なに? 」
らん:「最近、避けてない?」
一瞬、沈黙。
美奈はぎゅっとスマホを握って、ぽつりと言った。
美奈:「……避けてるんじゃない。変わりたかっただけ」
らん:『俺と?』
その言葉に、美奈は顔を上げた。目が潤んでいる。
美奈:「ずっと幼馴染でしょ?このままだったら、ずっとこの関係のままだと思って」
頭が真っ白になった。
でも同時に、妙に腑に落ちた。
らん:『じゃあさ』
俺は一歩、近づく。
らん:『変えてみる?』
美奈:「……なにを?」
らん:『俺と美奈の関係』
美奈は驚いた顔で俺を見て、それから困ったみたいな笑った。
美奈:「ずるい。そんなの…… 」
らん:『俺もさ』
言葉が勝手に出る。
らん:『幼馴染って言葉、最近ちょっと嫌いなんだ』
沈む夕日。
教室に二人きり。
美奈:「……じゃあ」
美奈は小さく息を吸って、
美奈:「明日からは、幼馴染じゃなくて」
らん:『うん?』
美奈:「……好きな人、で」
胸が、どうしようもなく熱くなった。
放課後、初めて手を繋いで帰った帰り道。
いつもと同じ景色なのに、全部が新しく見えた。