テラーノベル
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いやあ、むずかしいなあ。
ダメだこりゃ。
メスの蚊が動物の血を吸うのは、産卵に必要なタンパク質やら栄養やらを吸収するためだから、と、
以前、誰かから教わったことがある。
蚊の体内に吸収された血はアミノ酸に分解され、卵を作るための栄養素になるそうだ。
初めてその話をされた時、その私利私欲さに心底気味悪さを覚えた。
そして、
黄/…っ、ふ、⸝⸝⸝♡
翠/……っ、゛
今、必死に俺の首筋に噛みついているこいつもまた、
欲望のままに人間の血を吸って生きる、醜い吸血鬼。
黄/っ、ぷは、…、♡
翠/…っ、、ん、
何分、この体勢でいたのか。
彼の歯が外れると同時に、全身を巡っていた緊張の糸が少しほぐれる。
噛んでいたであろう場所に吐息が当たると、痛みを感じて妙な気分になる。
逃がすまいと力強くシャツを押さえつけていた手の力が緩み、ようやく体を離した。
違和感を感じる首筋に手を当てながら、満足そうに舌で弧を描く彼をじっと睨むように見つめる。
黄/…んふふっ、⸝⸝
黄/ほんとに甘い、♡
何度見ても気に入らない、しっとりした笑み。
翠/満足.ᐣ
彼の態度に淡泊に聞いてみれば、
黄/…おれね、
黄/すちくんのお腹、食べてみたいの、⸝⸝
今度は違う要求をして、俺の上に馬乗りしようと再びこっちに迫ってくる。
主導権を握られる前に、乱れたシーツに手を伸ばしてそのまま彼の頭を覆い隠した。
黄/………へ、ぇ、.ᐣ.ᐣ
突然のことで動けなくなっているうちに、抵抗しないよう両手を掴み押し倒す。
逃げないよう、暴れる前に彼の上に馬乗りした。
黄/ちょっ、なに…っ.ᐣ
服の隙間から、彼の白い鎖骨が覗く。
自らこいつを襲い返してやりたいなんていう願望は1ミリも持ち合わせていない。
ただ、俺はこの吸血鬼に仕返しができればいいだけ。
両手は決して離さずに、その鎖骨に歯を立てる。
俺は吸血鬼じゃないから、鋭い牙もないし、人間の血を美味しいとも思わない。
だから、肌を噛み千切る勢いで口を閉じた。
黄/あ゛、.ᐟ.ᐣ…〜〜〜っ⸝⸝⸝♡
彼の体がびくんと震えた。
シーツに隠れて、彼の表情は一切見えない。
一度口を離すと、そこには歯型が綺麗に残っていた。
もう一回同じところを噛めば、肌が切れそうだ。
黄/ちょ、ゃめ、っ……⸝⸝⸝
彼が拒むのも聞かず、再度同じところを思いっきり噛み締める。
黄/ひ゛っ、ぁ……っ゛.ᐟ.ᐣ♡
現世くるり ◤ ペア画なう ◢
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黄/ぃ゛たっ……いたぃ、っぁ、⸝⸝⸝
苦しそうに声を汚して、痛みを紛らわせようとしているのか。
黄/ゃだ、っすちく…
黄/見えないの、っやだ、……っ⸝⸝⸝
繋がった手を意地でも解こうと暴れるのを、離れないように握り直す。
翠/見なくていいよ
翠/見たら、もっと痛み感じちゃうでしょ
刹那、舌先に鉄の味が広がった。
噛みついていたところを見ると、真っ赤な血が薄っすらと流れ落ちている。
軽く傷の周りを指で押すと、さらに血液が垂れてきた。
シーツを少しずらして、口元が見えるように開く。
翠/……俺の血、美味しいんだよね
翠/吸血鬼って、自分の血は美味しいって感じんの.ᐣ
さっきと違い、力を込めてそこを押す。
溢れた血を指先でそっと掬い、口の中へ運んだ。
黄/ぅあ、っ……、.ᐣ♡⸝⸝⸝
口の中に指が入ると、息ができなくなって苦しそうに見える。
唇をはくはくと震わせて、それでも頑張って俺が突っ込んだ指を必死に受け入れようとしているのは伝わってくる。
翠/…舐めて、
翠/教えてよ
上顎をなぞったり、少し爪を立ててみたり。
その度に俺の指の動きを感じて、舌で一生懸命に追いかけている。
黄/っふ、…んぅ、⸝⸝⸝
特有の八重歯に指を引っ掛けた時、彼の口が閉じようとして微かに動いた。
翠/……今、俺の指噛んだら、
翠/ズボン脱がして、太もも噛むかもよ
指を持ち上げ、彼の顎を無理やり上げる。
黄/……っ、ぁ、⸝⸝⸝♡
散々躊躇った末に、彼は弱々しく俺の指を甘噛みした。
翠/………、
ただ、全部こいつの思い通りにさせてあげるほど俺は馬鹿じゃないから。
繋いでいた手は離し、馬乗りもやめる。
顔に覆い被せていたシーツも乱暴に捲り、俺はベッドから立ち上がる。
黄/…っ、へ、.ᐣ⸝⸝⸝
背中から間抜けな声が聞こえ、振り返ると、案の定、彼は不思議そうな眼をこちらに向けていた。
その頬はわかりやすく紅潮している。
翠/なに、
黄/っ、…噛まんの、.ᐣ
わざと意識をしているのか、不満そうに眉をひそめ、上目遣いに猫撫で声で俺にそう訴えかけてくる。
翠/噛むかもよって言っただけだしね
翠/俺、恋愛対象に男なんて興味ないし
さも当然だと言うような態度で言葉を返せば、彼は何か言い返そうにも言葉が詰まり、黙り込んだ。
黄/……っ、
期待を裏切られて悔しそうな顔、不服そうな表情を見た時、初めて心の底から笑えるような気がした。
翠/……じゃあね、ビッチ吸血鬼、
翠/もう会いに来ないでよ、
優しく微笑んで見せて、ホテルの部屋を後にした。
コメント
1件
うわあ…冒頭の蚊の話から、もう一気に引き込まれちゃったよ。 「女の蚊が血を吸うのは産卵のため」っていう知識、こんな耽美でちょっと歪な関係の比喩に使うのか…。きんちゃんさんのセンス、本当に好きです。 黄の「すちくんのお腹食べてみたい」って台詞、もう完全に本能で動いてる感じがして、こっちまでドキドキする。でも翠の方は全然飲まれないで、むしろ仕返しとして噛み返すのが…滾る。 吸血鬼ものって「血を吸う=愛情」みたいなイメージが定番だけど、この作品は「噛む」っていう行為そのものに支配と屈服のニュアンスが詰まってて、すごく新鮮でした。 まだ1話だけど、続きが気になって仕方ないです…🌙