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〔流石No.877。私達研究員が力を尽くして行ったこのプロジェクトの集大成…〕

『あはは…ありがとうございます…』

今日も国の為、人々の為、研究員の為にーーーーーー

〔今日から877の部屋に新しく4人来る。わかったか?〕

『はい、わかりました』

自分は人間に開発された人型アンドロイド。

この世界の…悪と勝手に決めつけられた者を倒す、という使命がある。

このプロジェクトは自分が作られる20年前からあったらしい。

そしてその中でも最も数値が高く、良好な個体だったのが、自分だった。

「お邪魔しまーす」

【どもーす!】

〈こんちゃっちゃ〜〉

《おっす〜》

これが…新しく部屋に来るのか…

訓練の足手纏いにならない事を祈るばかりである。

研究員は面倒臭そうに口を開く。

〔こいつらが左からドズル、ぼんじゅうる、おらふくん、おおはらMENだ〕

全員が口を揃えて仲良さげに挨拶をしてくる。

{よろしくお願いします‼︎}

『…よろしくお願いします(ニコッ』


なんでだろう。やっぱりおんりーは…

操られている。

直感でそう思った。大人の目の前では、愛想笑いをし、服従させられる。

やりたくもないし、地獄の様な物なのに。

アンドロイドでも、近年…まあ大体僕が製造された時あたりからアンドロイドすらも感情がプログラムされている。

それなのに。


僕達4人は13年前に別の研究所で作られた個体。おんりーとは別のプロジェクトで作られ、こっちに回されてきた。

「おんりー、よろしく‼︎」

『あ…よろしくお願いします(ニコッ』

君の愛想笑いなんて見たくない。心底笑ってほしい。そう思ってしまう。

まだ出会ってから5分なのに。


研究員は去っていった。思わず溜息を吐きたくなるが、この人達に言われたら…

殴られるか、訓練が過酷になる。それはごめんだ。

『…』

「おんりー?」

『なんですか?(ニコッ』

あ〜あ。面倒くさいな。

「ねぇ、愛想笑い…見たくない。だから、ありのままの表情がいい。これは僕からのお願い。」

愛想笑い…ね。バレちゃったか。やっぱ、見抜けられるのか。

『えっ…』

〈…愛想笑い…無理して笑わないほうが嬉しいな。〉

《俺も同感》

勘がいいんだから。

『……あ〜あ。』

『バレちゃった…か。』


もう…どうでもいいや。キャラを作るとか、ボロが出るもんだな。


【なんでこんな所で…頑張れるの?】

『国の為だから…みんなの為だから…』

当たり前だったし、造られてからずっとその様に教育されてきたから、そう答える。

当たり前なのに…胸の奥が冷えるのを感じた。

【君は…他人に尽くしてこの人生を棒に振るの⁉︎】

どうでもいいでしょ…この人達は俺と出会ってから少ししか時間が経っていないのに、恐れずズバズバと聞いてくる。

『だからなんだっていうんだよっ‼︎』

『俺は…そうじゃないと…それが使命だし…』

【使命…か】

ぼんさん…とかいう人は考え込んで、口を開いた。

【じゃあ君は…使命だけを考えて生きる…のか】

『でもっ…俺はっ…使命を果たせなかったら…ただのっ…失敗作なんだから…』

涙が出ない様に、堪えながら、俯きながら精一杯途切れ途切れに話す。

『任務を成功させられないなら…俺がいる意味なんて…ないんだっ…』

そう。自分は、国を救えなかったら無能と言われるのだ。ぎゅっと拳を握る。

『いいよね。お気楽でさ。』

思わず嫉妬の言葉が口から溢れる。止めたくても止められない、溜めていた愚痴が、川から水が溢れたかの様に、口から流れる様に出る。

『こっちは12年間苦しんで。造られた頃から「完璧」「集大成」「成功品」って言われ続けて。

辛い訓練も、泣いたら駄目。反抗すれば命が終わる。

失敗を少しするだけで「失敗品」って言われて。

「お前はこんな事もできないのか」って馬鹿にされる。蹴られる。殴られる。

毎日苦痛で。早く使命を果たして、今の施設を抜け出したい。って、思っちゃいけないのに、心の何処かで思っていた。』

『何にも分からない人がっ…簡単に「人生を棒に振る」とか言わないでっ‼︎』

思わず怒鳴ってしまう。場の空気がしんと静まり、沈黙が流れる。

「…じゃあさ、抜け出したらいいんじゃない?」

ドズルさんが場違いの様に明るい声で話す。全員が顔をあげた。


いぇい⭐︎

兵器の僕は (ノベルリメイク版)

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