俺は、兄貴が好きだ。
そう確信したのは、久しぶりに兄貴と話した時だった。メガネをあげる仕草とか、仏頂面で表情の起伏が少ないけど口調から優しさが読み取れて、それがものすごく嬉しくて。
まぁそんなこと、本人には到底言えない。
俺の兄貴はオーター・マドル、魔法局魔力管理局の管理者で砂の神覚者。
そんな兄貴は俺の憧れで好きな人だった。
「ワース」
「!、兄貴!?」
昼休み、ボケーっと散歩をしていたら兄貴が話しかけてきた。なんでいるんだよ。
「なんでいんだよ、仕事は? 」
「少し時間が出来たからな、渡すものがあって来たんだ。」
「渡すもの…?」
まさか、プレゼント!?
なんて大袈裟すぎるかもしれないが、内心嬉しくて仕方がない、顔ニヤけてねぇかな、やばい、顔緩んでるかも…
「どうぞ」
「あ、ありがと…開けてもいいか?」
「もちろん」
紙袋に入ったそれは、とても高そうなものだった。紙袋から丁寧に取り出して、綺麗な箱を開ける。中から出てきたのはとても美しい羽根ペンだった。
「羽根ペン…?」
「あぁ、今日は…お前の誕生日だろう?」
「…っえ、覚えててくれてんの?」
「?、弟の誕生日を知らない兄がいると思うか?」
なんて、この人はいつも欲しい言葉をくれるんだろう。
最初は嫌いだった、何もかもが気に食わなかったのに、今じゃ姿を見るだけで心が踊るようになってしまった。
自分が不思議で仕方がない。
…欲しい、羽根ペンなんかじゃなく、兄が、
今の俺は俺じゃない。けど、今まで我慢してきたんだ。
振られたとしても、気持ちを伝えるくらいなら、バチは当たらないだろう。
「…なぁ兄貴」
「どうした」
「俺さ…これより欲しいのあるんだけど…」
「…そうか、何がいい、なんでもやる」
「…..き」
「ん?」
「兄貴…が、ほし…い///」
「…!」
…引いただろうか、俺たちは兄弟だ、本来はこんな気持ちを抱いちゃいけないことくらいはわかる。
…だが、抱いてしまったものは仕方がないのだ。
「…..私…か、それは、私のことが家族としてではなく、1人の男として好き…ということか?」
「っ、そう…だよ、やっぱキモイよな…ごめん、忘れて」
まずい、泣きそうだ。
分かってたのに、こんな反応になるのは当然なのに、兄貴の前で泣きたくない。
…..帰ろうか。
「…良かった」
「…え?」
「お前も、私と同じ気持ちで良かったと言ってるんだ」
「え、え?ま、まて、引いたりしねぇの?」
「?、引かないし嬉しい」
…..マジか、そんなことが帰ってくるなんて思ってもなかった。
…心の準備が…できてない。
やっぱ帰ろう、そうしよう。
「っ俺、そろそろ帰る!///」
「まて、先に帰るのはずるいと思うが」
「っるせぇな!離せって…!///」
「ワース」
「っ!///」
「今日の午後の授業、休め」
「は!?」
「授業より大事だ、学校には私が言っておく」
「いや、ちょっ待てって!おい!?」
…..俺はそのまま兄貴の家に連れてかれた。
まぁ…その後のことは見てるお前らの想像におまかせする。
[END]
コメント
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ま、まじが…天才かよッ