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安室side
今日も彼女はポアロに来ていた。
以前までは警戒していたので、無意識に視線がそっちに行ってしまう。
今日はコナンくんも来ていた。
警戒の対象から外そう、という話をしたのにも関わらず、彼は莉心さんに鋭い視線を向けている。
その視線の先では、彼女が気に入ったらしい当店のメニュー、ハムサンドを食べている莉心さん。
考えるのもバカバカしくなった僕は、気持ちを切り替えてポアロの仕事を再開した。
少し経つと、莉心さんの携帯に着信が入る。
メッセージ音だったようで、莉心さんが食べかけのサンドイッチを置いて携帯を覗く。
…すると、彼女は思わず声を漏らした。
「…はぁ?任務?」
その言葉を僕とコナンくんは聞き逃さなかった。
コナンくんの視線は明らかにさっきよりも鋭くなっている。
僕は自分自身のことなので見ることは出来ないが、恐らくコナンくんと似たような表情をしているだろう。
そして僕とコナンくんは、次の言葉も聞き逃さなかった。
「なんでこんな、やりたくもないことを…」
だいたい察した。彼女は組織にいたくていているわけじゃない。少なくても人を殺めることに抵抗がある。
彼女は組織に潜入しているんじゃないか。
そう考えるのが手っ取り早かった。
僕の方を見てきたコナンくんに合図代わりに頷くと、コナンくんは何やらメモ用紙に書いて、
「ご馳走様でした!美味しかったよ!」
という言葉と一緒にそれを渡してくる。
そこにはたった一言、
『今日の16時、工藤邸で。』
と書かれていた。
ポアロでの仕事が終わって、梓さんに後片付けを任せ、急いで工藤家に向かう。
ったく…コナンくんも無茶な指示を出してくれる。
僕がこの後仕事の予定があったらどうしてたんだ。
ピンポーン
「…はーい!」
「遅れてごめんね。」
「ううん、全然!僕こそ無理に予定押し付けてごめんなさい…。」
…わかってるじゃないか、という言葉は、コナンくんのしゅんとした可愛さに負けて出てこなくなる。
「全然。それより沖矢昴もいるのか?」
「いいや。今日は赤井さんがいるんだ。…まあとりあえず入って。」
「…おじゃまします。」
工藤邸に沖矢昴がいなくて赤井がいるって…コナンくん、もう隠す気ないんじゃないか?
というのは一旦置いておく。それどころではない。
リビングまで歩くと、赤井がなにやらパソコンを弄っていた。
「…坊や。と、…降谷零君か。」
「久しぶりだな、赤井秀一…」
「赤井さん。出てきた?」
「いや…どうやらFBIの人間では無いようだ。」
「こちらも確認してみますね。」
電話をかける。公安の上司に。
なぜハッキングをしなかったのかと言うと…まあ、公安の情報には偽のが混じっていることが多いからだ。漏れを防ぐために。
📞…
「…もしもし。」
『どうしたんだ?』
「あの…公安に、銀髪のショートの女性はいますか?」
『名前はわからんのか?』
「聞きましたが…おそらく偽名かと。」
『それでもいい。』
「水篠莉心です。」
『…いない。』
「そうですか、ありがとうございました。」
「いないよ、公安には。」
「あと思いつくのは…CIA、MI6…」
「組織に人員を送り込んでいそうなのはその辺か。」
だが。
そのどちらにもいなくて、念の為パソコンで公安の方にハッキングしてみたが、それらしい人物は見当たらなかった。
「どういうこと…?」
「さあ…さっぱり分からん。」
「潜入捜査じゃないとすると…脅されてやっている一般人とか…」
「もうもはやそれくらいしか考えられんな…」
とりあえず、明日は朝早くから公安の仕事があったので、一旦切り上げて帰った。