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柘榴とAI

130
「ッ、、、はぁっやっと出来た、♡」
荒い息と共に研究室の静寂が破られた
「う、、、ん、、え?」
「やぁAくんおはよう♪」
目を覚ますと目の前にはAが家族だと思っている人物の死体。
そして、その傍らには頭が火の玉で出来ている何かがAを見ていた
「まっ、、これ、、う”ッ」
視界が揺らぎ、胃の奥から込み上げてくる尋常ではない吐き気。
それに耐えきれずAはふらつき、そのまま椅子から崩れ落ちた
「Aくんそれはどんな感情なんだい?恐怖?驚き?嫌悪?それとも、、それ以外のなにか、、?」
目の前のAにただ疑問をぶつけてくる何かは興奮と喜びが混ざった歪な表情をしている
「う”っ、、お”ぇッッ」
目の前の光景、鼻を刺すような匂い。
目の前にあるものが現実だと理解するほど、胃の奥がひっくり返るようだった
「あ、吐いちゃった」
何かは少し困った表情で首を傾ける
「これはやりすぎたかも、、セノス!」
誰かの名前を呼ぶと研究室のドアが開き
女性が部屋に入ってきてAを見るや否や
「はぁ、、博士これはどうかと思います」
こんな光景を目の前にして、どうしてそんなに冷静でいられるのか、Aには分からなかった
「なぁ、ッお前はこの光景が、、おかしいとは思わないのか?」
必死に絞り出した一言がそれだけだった。今はただ、彼女が味方だと思いたかった
「この状況はおかしいとは思いません、でもあれは頭がおかしいです」
冷たい声だった。それでもAは、その声のどこかに暖かさを感じ気が抜けたのか、そのまま意識を手放した。
「あー、、気絶しちゃった?」
悪気が少しはありそうな声色で尋ねてくる。セノスは博士をすこし睨みながら
「私はこんな事をする為にあのシステムを作ったわけではないんですよ!!!」
突然の怒声に、博士は少し目を見開いた。
けれどすぐにいつもの調子へ戻ると
「何故そんなに怒っているのだい?今回は良い収穫があったセノスのお陰だよ」
軽く言いながら血濡れた床を拭き始め、何事もなかったかのように死体を袋詰めにする博士にセノスは何と言えば良いのか分からなかった
「セノスくん君には才能があるよ」
博士は楽しそうに続ける
「私の研究を手伝ってはくれないかい?いやぁ〜あのプログラムは私も思いつかなかったよ。まさか”ありもしない記憶を植え付けれらる”ことが出来るなんて」
淡々とそれを言う博士にさっきのような悪びれた様子は、もうなかった
「私はあんな、、残酷なことに使われるなんて思わなくて、、っ!!」
セノスは拳を握りしめた
「作られる前の記憶を作って、もっと人間らしい性格に――」
「セノス」
「、、そろそろ鬱陶しいのだけど」
空気が凍りついた、さっきまでのヘラヘラした雰囲気が一瞬で消える、動けない。
こんな博士を、彼女は知らなかった。
「想定よりもトラウマになってそうだね」
博士は再びいつもの調子に戻った
「セノス、Aくんの記憶の改ざんを」
この空気で断ることなど出来なかったセノスは渋々了承した
「、、、分かった」
断れる訳がないだってこうなったのは私のせいでもあるのだから、、──
──しばらくして
目が覚めるとAはベッドの上で眠っていた
「んぅ、、、、、ッッッ⁈⁉︎」
勢いよく起き上がるとそこは、さっきとは違う場所何かもいなかったから少しだけ安心した、でも気は抜けない。部屋を見渡すと机の上に一杯の紅茶が置いてあった
「誰が入れたんだろう、、」
ふわりと漂う香りに、Aは少しだけ肩の力を抜いた
「いい香りだな」
ガチャッ
ドアが開き人が入ってきた
「?!っ、誰だ?俺に近づかないでくれ」
部屋に入ってきた彼女は少し驚いた様子で
「あの、さっきは申し訳なかったです博士のせいで。私はセノスと言います、、」
軽く頭を下げる彼女からは謝罪の色が見えた。それと罪悪感を感じ取れた
「あはは、、こっちこそすみません動揺してたみたいで大丈夫です。びっくりはしましたけど、、」
気まずい、とても気まずい。セノスも何か言おうとしているようだったが、結局口を開くことはなかったAも同じだった。何を話せばいいのか分からない。
ただ、妙に静かな時間だけが流れていた。
「えっと、、あのセノスさん一緒に紅茶でも飲みませんか?ほら話したいことも色々ありますし」
申し訳なさそうにセノスは椅子に座った。
コメント
1件
うわ、いきなりすごい再会だったね…。博士のあのヘラヘラした口調と、やることのギャップが怖すぎる。記憶を植え付けるプログラムとか、この世界の設定がちゃんと動き出してて、SFホラーとしてすごく引き込まれた。セノスの苦い立場も気になるし、Aのこれからが本当に心配になる2話だったよ。