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え?天才ですか?
「ただいま〜…」
翔陽の声が家全体に鳴り響く。
「おかえり」
俺は自室から出て翔陽を出迎える。
帰ってくるのは…多分一週間ぶり。
なんだか一週間だけでも凄く懐かしく感じた。
一週間ぶりに家に帰ってきたけどあまり家の様子が変わっていない…。
洗濯物とかはちゃんとやってるんだけど…冷蔵庫の食材が減ってない。
「研磨!?お前ちゃんと飯食ってたか!?!?」
「あー…」
研磨の目が浮ついてる。
ぜってェ食ってないな…….。
「いいか!?強くなる為には沢山練習して沢山飯を食う!そうやって筋肉が出来るんだ!!」
「うるさい翔陽…後もう俺バレーしてないし…….」
あ、研磨はもうバレーしてないのかと我に返る。
…….今度バレー誘おう。
翔陽が夜ご飯を作ってくれるらしい。
昔はとりあえず料理を焦がしてた翔陽が今は俺の大好きなものまで美味しく作れるようになった。
翔陽が作ってくれる間、俺はキッチンに近いコタツに籠りながらスマホの暇つぶしゲームを起動する。
翔陽が料理する音
テレビのよく分からない番組の音
俺のゲームのタップ音
こんな音の重なりでさえ、翔陽といる事で幸せに感じる。
俺は何となく、コタツから抜け出した。
キッチンに居る翔陽に近付いて後ろから抱きしめた。
翔陽がブラジルにいた時についた日焼け後が見え隠れしている。
「も〜何〜?」
「何も無いよ」
本当に何も無い。
何となくコタツから出て
何となく翔陽を抱きしめたくなった
「猫はコタツで丸くなっててよ…」
猫って言われるけど翔陽も大型犬ぽいしあんまり大差ないよって言おうとしたけどこれ以上邪魔したら口を聞いて貰えなくなるかもしれないからやめておく。
翔陽と向かい合ってご飯を食べる。
正直、翔陽がいない間は1日に一食食べるかどうかだったから少し痩せた。
「明後日からまた行かなきゃだからごめん…」
「そっか」
翔陽が飛ぶのは好き。
決められた…….鳥籠の中で精一杯羽ばたくんじゃなくて翔陽は鳥籠を突き破って、自分の限界値を上げて飛んでる。
高校の烏野との公式戦でどうしても攻略したかった。
ゲームオーバー。
でも「楽しかった」
いつからか翔陽がここからも飛んでいってしまうのではないかと思ってしまう。
翔陽は世界を飛んで欲しい。
だから俺はスポンサーをしている。
「翔陽」
「ん?」
「飛んでね。世界を…飛んでね」
「沢山飛んで、飛んでその後は絶対にここに戻ってきてね」
「?…おう!」
多分意味は分かってないと思う。
けど今はそれでいい。
鳥籠はここなのかもしれない