そして、私とザキアはお化け図書館で訓練を重ねた。一方的なしごきとも言うが、まぁ、私の実力が上がった事は事実なので文句は言えない。
特に私の氷魔法の上達は著しく、自分でも驚いていた。
そんなある日…
「第1課題が発表された。」
ザキアは私の氷魔法を炎魔法で相殺しながら、そう言った。
「え、何なの?
氷の協奏曲よ、響き渡れ!」
「アンタにはピッタリな内容さ。
訂正、|今《・》|の《・》アンタにはな。
灼熱の洞窟のファイアサキュバス討伐だとさ。
沈黙する炎よ、静かに氷を蝕め…」
ザキアは相変わらず私の氷魔法を軽々と打ち消してくる。
「なるほど!
灼熱の洞窟なら、私の氷魔法が役に立つかも!?」
「かもじゃない。
役に立ってもらう。
これは、課題という名の訓練だ。
そう思え。」
えらっそーに言うザキアに、一応私は頷いた。
♦︎♦︎♦︎
翌日の午後1時、私たちは灼熱の洞窟に居た。
ここ、エターナル・スカイは空島にもよるが基本的には一定の温度を保っている。
18度前後の気持ちのいい気候だ。
だが、一歩灼熱の洞窟に足を踏み入れると…
そこは、マグマが渦巻き、マグマの灼熱の蒸気が身体中に叩きつけられた。
氷魔法でガードしているものの、その熱は凄まじく、私たちは汗を吹き出しながら進まなければならなかった。
熱風が顔に当たって喉の奥まで熱をもった…
ファイアサキュバスの居る巣穴まではあと少しだが、灼熱の蒸気がそれを邪魔する。
ファイアベロが現れた。
火属性の蝙蝠の巨大版だ。
もうっ!
疲弊している時に限って!
しかし、これも課題…じゃない、訓練の一部なので、私は無詠唱で氷魔法をぶつけた。
一体のファイアベロが氷漬けにされ、落ちていく。
ザキアがトドメと言わんばかりに他の2体を氷の刃で斬りつけた。
「あと少しだ。
行くぞ。」
ザキアが言い、そして、ファイアサキュバスの巣穴に到着した。
巣穴から熱風の竜巻が巻き起こり、ファイアサキュバスが現れる。
派手な登場に、私は身構えた。
「とにかく氷魔法を喰らわせ続けて、援護しろ。
俺は氷の剣で突進する。」
「了解!
氷の精霊フラウよ、我に力を与えたまえ!
汝の力は絶対零度にして、最強!
氷のレクイエム!」
私は詠唱して、巨大な氷吹雪でファイアサキュバスを包んだ。
「上出来だ。」
『おのれぇぇえ!
こざかしい人間め!
我が怒りを知れ!
炎の淫紋!』
何かしらの魔法を発動するファイアサキュバス。
しかし、次の瞬間、ザキアの巨大な氷の剣がファイアサキュバスの胸を貫いた。
終わった…
終わったんだ…
その瞬間、ズクン!と下腹部が疼いた。
???
あまり気にせず、灼熱の洞窟から外の涼しい場所へ出たが…
何かがおかしい…