テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
👻🔪×🍱🦖です。
nmmnが分からないお方は見ないでください。
この世の全てに関係ないです
視点主は前半🐙🌟、後半👻🔪です。
「…ん?」
ふんわりと感じる匂い。
それと同時に違和感。
匂いの発生源と考えられる彼を見、もう一度嗅いでみる。
「ん~~?」
「…?どしたのるべしょー」
先程まで話していた相手が急に無言になり匂いを嗅ぐ様子に困惑した彼がこちらを見やる。
ぽかん、とした顔で俺を伺う彼に気になることを投げかけてみる。
「ニキ…」
「なんか、匂いいつもと違いますね?」
「匂い…?」
さらにぽかん、とした顔になり頭の上にハテナを浮かべてる様子に苦笑する。
ただし何度嗅いでみても結果は変わらない。
なんだかいつもと違う匂いがする。
彼の匂いはこちらがぽかぽかするようなお日様のような匂いだったんだが今日はなんだか夜にいるような…。
「なぁんか違うんですよねぇ…」
彼に顔を近づけてみても変わらない。
どちらかというとより匂いを感じられるようになった。
「ちょ、るべしょう、近いな!?」
「あ、ごめん」
ついつい気になりすぎて前のめりになってしまった。
彼はそんな俺の前に離れろと言うように両手を顔の前につきだす。
その様子に謝罪の言葉を述べながら顔を離す。
「何?犬??」
「蛸じゃなくて犬だったりする?」
「いや全然蛸」
こちらを呆れたような顔で見る彼。
匂いを嗅ぐ様子に犬のようだと言われるが全然蛸である。正真正銘。
…あれ?もしかして同期の匂いを何度も嗅ぐって気持ち悪いか?
「いやまあどっちでもいいんだけど」
「どっちでもいいんだ…」
ニキはもうちょっと他人に興味を持った方がいいと思う。
まあでもそこもニキのいいとこだよな。
「急に匂い嗅がないでよぉ」
「変態じゃねぇか」
「あ!言うと思った!」
予想通りの言葉に反応をする。
予想通りとはいえ不名誉なので不服そうな顔は忘れずに。
ただ匂いが違うのは事実だ。
はてさて、彼は日常的に香水をつけるタイプだっただろうか。
どこかで嗅いだことあるような…。
「うお、また近いな?」
「匂いの謎が知りたくて…」
またもや顔を近づけ嗅いでみる。
今度の彼は諦めたようで抵抗なんて皆無。
なんだっけ、この匂い。
出てくるようで出てこない感覚がうざったい。
判明させるためにさらに顔を近づけ…___
「近すぎ」
「!小柳くん、」
「あれ、ロウきゅんじゃぁん」
ぱっ、と間に挟まる手と不機嫌さを隠さない声。
驚きながらも乱入者の方を見、名前を呼ぶ。
「おい星導、早く離れろ」
「はあい」
その言葉に抵抗する意味もないので素直に引き下がる。
顔を離すとするりと俺とニキの間に入ってこちらを睨みつける。
別に、取ろうとした訳では無いのだが…。
少し面白くなりニヤニヤしていたら先程よりも濃い匂いがするのに気づく。
「…この匂い、」
その匂いが先程まで顔を近付けていた男ではなく、今目の前にいる男からすることに気がつくと、つい顔を顰める。
あーそういうことか…。
わざわざマーキングまでして、ご苦労なこった。
「あ、てかお前ロウきゅんって言ったよな?」
「え?言ってない!」
「あーまあまあまあ、そうだよな?」
「やめろ?言ってねえから!被害妄想だからそれ!」
「被害妄想マジか」
毒占欲が強い男に引いていると彼らは戯れ始める。
きっと、渦中の人物は気付いていないのだろう。
その男の独占欲に。
「あー…俺用事思い出したので帰りますね。」
「え?帰っちゃうの?そっかあ、残念…」
「ニキと離れるのは名残惜しいけど、鑑定士の仕事もあるし」
「おう、あと1ヶ月くらい仕事し続けてもいいぞ」
「んな予定ねえよ」
これ以上この場にいたらオオカミに噛まれそうだと思い虚言を吐く。
少し眉を下げた彼に納得しやすい理由を作ると原因の男が少し口角を上げてそう言ってくる。
どんだけふたりっきりがいいんだこいつ。
今度からかってやろう、と思いながら帰るために踵を返す。
「またねえるべしょー」
「じゃあな」
「はい、さよなら」
ま、強く生きてくれ。
そう思いながら彼らに手を降った。
「…はあ」
「あれ、お疲れ気味?どーしたあ?」
ため息をつくと隣にいる男から心配の声がかけられる。
首を傾げこちらを気遣うような視線についつい本音が漏れそうである。
人知れずにいけないいけない、と自分を制し彼の近くに寄る。
「え、なに」
くんくん、と彼の匂いを嗅ぐ。
いつもの優しい匂いに被さるような夜の匂い。
…それと、少し不思議の匂い。
「…くせぇ」
「はあ?」
頭に出た文字を思わず口に出すとしかめっ面で非難の声が上がる。
でも、くさいものはくさい。
「るべしょうもなんか匂いの話してたし…」
「僕、今日変な匂いでもつけたかあ?」
自分の腕を顔前に持っていき嗅いでみてもよくわからないようで顔を傾げる。
星導と俺は思っていることが違うだろう。
まあ、こいつは知る由もないのだが。
「ウェン」
「んー?どした、の…」
「えっ!?!?なになにっ!?」
声をかけ彼が顔を上げたタイミングで抱きつく。
驚いた彼が暴れようとするがそれを押さえつけながら頭を彼の体に擦り付ける。
匂いを染み込ませるように。
くさい、くさいのだ。
彼特有の匂いと、俺の匂い以外認めない。
先程あいつが近づいたタイミングで少しだけついた匂いも見逃してなんかやらない。
こいつは、俺だけのものだ。
「なんなのぉ…離してよロウ~…」
「あと10分くらい待て」
「10分っ!?」
自由が好きな彼にとっては身動きが取れないことが苦しいのか、弱々しい声を出す。
ただし残念だがその声に絆されてなんかやらない。
完全にこの匂いを消すまでは。
………いや、まあ10分とは言わずいつまでも抱きついてはいたいけどな。