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郵便配達をしていると、ふと目に入った公園の光景に僕は唖然とした。

2mほどの大男が小学生ぐらいの男の子と一緒にベンチに座っているのだ。犯罪か?と思い、目を凝らすと、大男は知人だった。


「あ、レター!」


僕の名前を元気に呼ぶ男の子も、面識があった。


「やあ、ルーレットくん。」


何度も彼からお手紙を預かったことがある。

弱視の知人はゆっくりこちらを向くと、片方の目を一生懸命細めてどうにか僕にピントを合わせ認識しようとする。そしてようやく口を開くのだ。


「おう、レターか。」

「…プルート…何してんの」


友達なの?と問うルーレットくんに、そうだよ、と返すプルート。そんなわけないだろ、こんなやつ。


「何してたの、犯罪?ついに暴力以外にも手を出したの?」


違えよ、とプルートはけらけら笑う。


「この坊やが一人で寂しそうだったからな。キャンディをあげてたんだ。お前も食うか?」

「はあ?いらないよ。子供扱いしないで、バカなんじゃないの?」


僕はルーレットくんの前に立って訊いた。


「この人に何かされなかった?」


ルーレットくんは手に持っていたロリポップを見せつけて、


「飴ちゃんくれたの!!」


と嬉しそうに叫ぶ。

どうやら本当にただ飴をもらっただけのようだ。僕は安堵した。

プルートはそんな僕の首根っこを掴んで軽々しく持ち上げ、ルーレットくんの隣に座らせた。


「ねえ僕仕事あるんだけど…」

「もう少しだけいてくれるよな?」

「…」

「おねがーい!」

「…全くもう…わがままなんだから…」


嬉しそうにきゃっきゃと笑う少年は撫でて、僕の仕事を邪魔した自分勝手な大男にはデコピンをくらわせてやった。ちょっと背伸びしたけど。



「側から見たら、怪しいと思う。」


あ?と反応するプルートを見て、僕は続ける。


「君って図体デカくて不気味でおまけに暴力的じゃん?」

「めちゃくちゃ言うな」

「でも当たってるでしょ。君に比べて僕らはどうだ?側から見たら幼い子供だよ。まあ僕は大人だけど。」


プルートは少し考えて言った。


「俺が不審者だと?」


僕は頷いた。彼は顔を顰めた。ルーレットくんはぺろぺろとロリポップを舐めていた。


腕時計を見て、さすがに時間がヤバいと思い、ベンチから降りた。


「もう行っちゃうの?」


ルーレットくんは少し悲しそうに言った。


「お仕事あるから。」


そう返し、歩き出そうとすると、プルートが突然僕のカバンに手紙を入れてきた。


「弟に届けてくれ。な。」


僕は彼を睨んでから、その場を去った。





レターさん:エリオット狂(のどあめでもなめてろ)さん宅の子

ルーレットさん:Mnahikoさん宅の子

うちの子及びうちよそ及びよそ様

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う"ッ…なんだか急に心臓が…鼻から赤い滝がァ…ぐはぁ…

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