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꒰ঌ甘咲ぬな໒꒱🍭
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2.静寂の檻一時間後。ルイは震える身体を縮め、滑り込んできた司の車の助手席でひたすら身を潜めていた。
車の窓ガラスはスモークがかかっているが、それでも外を通り過ぎる通行人の視線が自分に向けられているような気がして、ルイは自分の膝をきつく抱え込むしかなかった。
司は無言でハンドルを握り、夜の都心を滑るように走らせていく。その横顔はいつものように冷徹で、何を考えているのか全く読めない。ルイは助手席のシートに深く深く背中を預け、ただ自分の罪の重さに潰されそうになっていた。
たどり着いたのは、都心の最上階に近い、セキュリティが何重にも施された高級タワーマンションの一室。
重厚な大理石のドアが閉まった瞬間、外の世界の耳障りな喧騒が、嘘のように完全な静寂へと消え去った。
部屋の中は、司のアルファとしてのフェロモンが微かに漂っている。冷たくて、どこか心がすうっと落ち着くような、針葉樹を思わせるウッド系の気配。その香りに触れた瞬間、ルイの緊張していた身体の芯が、わずかに弛緩するのが分かった。同時に、自分がオメガであるという現実を突きつけられるようで、胸の奥がキュッと締め付けられる。
ルイは広いリビングのソファの端に、居場所を失った迷子のように小さくなって腰掛けた。爪が皮膚に食い込むほど指先をきつく握り締め、じっと床の木目を見つめる。
「司……本当にごめんなさい」
静寂に耐えかねて、ルイはぽつりと声を漏らした。
「俺、もう配信者を辞めるよ。リスナーを騙してたのは事実だし、診断書のことだって言い訳できない。何より、俺のせいで、これまで一緒にやってきた司のイメージまで悪くなったら、俺……本当に生きていけない」
ルイが俯き、大粒の涙をポロポロと床に零した、その瞬間だった。
ドン、とソファのクッションに強い衝撃が走った。逃げる間も、驚く隙すらもなかった。司がルイの身体をソファへと押し倒し、その上に完全に覆いかぶさってきたのだ。視界が一転し、目の前には司の端正な、けれど底知れない暗い熱を孕んだ瞳が、至近距離でルイを射抜いていた。
「誰が辞めてええって言うたん?」
司の低い声が、ルイの耳元ではなく、脳髄に直接響くような確執を覚える。
「つ、かさ……っ?」
「リスナーの反応なんか、俺にはどうでもええわ。お前と並んで配信してたん、なんでか分かってへんの? ――お前が好きやからや。お前がアルファやからでも、配信の数字が取れるからでもない。ルイ、お前自身が好きやから隣におったんや」
「え……」
あまりの衝撃的な告白に、ルイの思考が完全にフリーズする。
「お前のリスナーも、配信アカウントも、これからは全部俺が管理したる。誰にもお前を傷つけさせへんし、お前のすべてを俺が守る」
「な、にを言って……っ。そんなことしたら、司まで炎上しちゃうよ! 司のファンにまで嫌われたら、本当に、俺の居場所がなくなって……!」
ルイは必死になって司の頑丈な胸元を両手で押し返そうとした。しかし、アルファとオメガの絶対的な体格差、筋力の差を前に、その抵抗は虚しく霧散する。それどころか、司がフッと冷たい不敵な笑みを浮かべた瞬間、部屋の空気が一変した。
司の身体から、圧倒的な質量を持ったアルファのフェロモンが、一気に牙を剥くように溢れ出してきたのだ。
「あ……っ、は、あ……」
これまで必死に強力な抑制剤を大量摂取して押さえつけていた、ルイのオメガとしての本能が、その強大で、けれど狂おしいほど心地よい香りに一瞬で屈服させられる。身体の芯からドクドクと熱い蜜が湧き上がり、脳が快感で白く染まっていく。指先の力が完全に抜け、司の胸元に置いていた手は、いつの間にか彼のシャツを縋るように握り締めていた。
「これからは、ディスコの通話相手も俺だけや。お前が声を聴かせる相手も、俺だけ。……分かったな、ルイ」
首筋に落ちてくる、熱く、すべてを支配するような口づけ。ネットの世界から完全に隔離され、配信者としてのルイが死んだその日。ルイは同時に、司という名の甘く危険な檻に、一生囚われる契約を本能で結んでしまった。
◇◇◇
【翌日・SNSのタイムライン(女リスナーたちの反応)】
@umi_tsukaえ、ちょっと待って……司くんのゲリラ配信、聞き間違いじゃないよね???「ルイは俺の番(つがい)だから叩いてる奴全員ブロックする」ってガチで言った???
@choko_p嘘でしょ……ルイがオメガだったのもショックだけど、司くんがそれを庇うどころか「俺のモノ」宣言するなんて聞いてない……!!女リスナー完全に置いてけぼりじゃん😭
@__rei_game配信中の司くん、今まで見たことないくらい独占欲全開のアルファの顔してた……。ルイくんを完全に後ろに隠して守りモード全開じゃん。炎上すら利用して番にするの、スパダリすぎて無理、頭追いつかない。
@xxx_li女リスナー大発狂で草。でもあの二人の空気感、ガチの「アルファとオメガ」で正直最高だったわ……もう付き合っちゃえよ(泣いてる)
◇◇◇
コメント
1件
わあ……第2話、めちゃくちゃ熱い展開でしたね。司がルイを押し倒して「お前が好きやから」って告白するシーン、あまりの衝撃に息を止めて読んじゃいました。冷徹そうだった司の内側にこんな独占欲が隠れてたなんて。最後のSNSの反応で読者のざわめきも見えたのが面白かったです。二人のこれからが気になりすぎます…!