テラーノベル
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「もうっ……やめッ”“……」
Lonelinessの演奏が進むなか、青年の「天才」という皮をゆっくりと剥がしていった。
あまりの衝撃に青年がその場で膝から崩れ落ちる。Lonelinessのアウトロが頭の中で響き続ける。
青年の心が砕けかけた頃、Lonelinessの演奏が終わったのもつかの間すぐさま藤澤のフルートの音が滑り込んで来た。
暗闇の中で輝き出した光が青年を照らすように。冷たくもあるが、艶美な音色。
藤澤が奏でる音色はLonelinessの音が切り刻んだ青年の心をやさしく撫でた。だか、それもす救いではない。『お前は孤独なままでいい。』と言わせるようで、残酷で高潔な肯定だった。
青年は泣いていた。悲しいからなのか悔しいからなのか。自分がどれほど誰にも届かない場所で泣き叫びたかったのかを思い出し、公園で転び大声を出して泣いている子供のように。
その時青年の目からこぼれた涙が床に触れる瞬間、「キィン」と硬質な音を立てた。
漆黒に輝いている、小さな原石。
大森がゆっくりと歩み寄り、その石をひとつ拾い上げた。
足元にこぼれた涙の数だけ散らばっている原石たち。
『いい傷跡だね……ようやくだよ。君の傷跡が原石として顔をだすことができた。』
大森は青年の耳元で囁く。
『磨き続けろ。この闇に輝きが出るまで。ずっと』
青年は気づくと路地裏の壁に寄りかかったまま眠っていた。
素早く立ち上がり、辺りを見回すが、何も変わっていない平凡な街だった。さっきの道などなく、地下へと繋がる階段も、The Black Loungeのドアもなかった。
なんだ、夢だったのか……、、?
そう思い、ポッケに手を入れながら帰ろうとした青年の手に、鈍く光る黒い石が握られていた。
さて、今回の客も満ちたね。どうしようか。明日はまた、新たなお客様が来る。
ほう。これも面白そうだ。
大森が持つファイルにはThe Black Loungeへと招待する客の情報が大まかに書かれている。
また。鐘がなる頃に。
NEXT…#略奪によって地位を得た者
ようこそ。皆様。ご覧になっていかがですか……?支配人の大森です。
誰にも見れない闇を原石に変え、送り出す。
綺麗でしょう。
私たちは明日、正午の鐘がなる頃にはまたThe White Loungeのドアを開けてきます。
この場所は、私たちと皆様とだけの秘密の部屋ということで……口外はせぬよう、お願いします。
それではまた。このラウンジでお待ちしています。
コメント
2件
ほんっっとうに神作品だね〜!!!にこたんのは! まうなさん感動(誰目線?)応援させてね〜!!!!