「あ、最悪。弁当忘れた…」
うっかり弁当を鞄に入れるのを忘れてしまった。しかもよりによって今日はいつも一緒にお昼を食べてる梨奈も休み。財布には…1000円ある。
「んー、今日は学食かな…」
いつもなら弁当抜きで1日やり過ごすのも選択肢にあるが今日は謎にお腹がすいている。3時間目の半ばからお腹が鳴りだして止まないのだ。
昼休み。少し思い足取りで食堂へ行き、1番安い生姜焼き定食を注文する。そして席につき食べていると…
「お、奇遇じゃん」
「嘘でしょ…」
目の前には田中先輩が。思わず嘘でしょ、と漏らしてしまう。
「嘘でしょってなんだよ笑なんか悲しいわ笑」
「あ、すみません」
「1人なの?」
「はい、いつもはもう1人いるんですけど今日休みで。先輩こそ1人なんですか?」
「まあな、基本的に仲いいヤツみんな弁当なんだよ。ここの飯は不味いってさ」
「なかなかグルメなご友人ですね」
って!なんで私が田中先輩と仲良く話してるわけ?
「ははっ、確かにそうだな笑つか、隣いい?」
「え、」
「嫌ならいいけど。」
「あ、や、そういう訳じゃ…」
「んだよ、素直じゃねーな笑」
そう言いながら隣の席に腰掛け、田中先輩も食べ始めた。
「あの、田中先輩」
「ん?」
「その…なんで私なんですか?」
「は、?」
田中先輩の手が止まる。私今何か気に障ること言ったかな…
「答えたくないなら大丈夫…です」
「いや、びっくりしただけだわ。急に彩歌がそんなこと言うから」
「え」
「なんで彩歌かって?そりゃ…」
「そりゃ…?」
「…」
「先輩、?」
「ッ、なんでもねぇ」
「なんですか、それ」
それから田中先輩は一言も話さず完食し、
「じゃあ、俺行くわ。隣ありがとな」
とだけ言って教室に戻って行った。
「もう、なんなの…?!」
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