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ある日の昼休み
ハクがサヤと談笑しながら廊下を歩いていると、サヤがふと何かが落ちているのを見つけた。
サ「ん?これは・・・?」
拾い上げるとそれは、ピンク色のベルトのデジタル腕時計だった。
ハ「誰のかしら?」
サ「わかんない。こんな時計持ってた子いたっけ」
サヤが少し考えていると、横から声がした。
「あれ?紫村さん?とそちらは・・・?」
1年生の担当教師だった。
ハクは自己紹介をして、サヤは腕時計が落ちていたことを説明した。
「あっ!この時計ならうちの学年かも。悪いけど二人とも下に届けてくれない?」
予想通りの質問に二人は快く頷き、すぐに1年の教室に向かった。
時計の持ち主は、車椅子の女子だった。
彼女の名は尾藤舞鈴。生まれつき下肢に障害のある少女である。
舞「先輩、ありがとうございました。」
サヤから時計を受け取った舞鈴は二人の顔を見てお礼を言った。
それを聞いてハクはくくくっと笑うと改めて舞鈴に自己紹介をした。
ハ「いきなり笑ってごめんなさいね。あたし、この前隣町からここに転入してきたの。」
それを聞いた舞鈴は、すみませんと一言言って微笑み、そしてこう続ける。
舞「お二人とも、良ければどこかの放課後一緒にお食事しませんか?今日のお礼ということで」
ハ「ええ、もちろんいいわよ。」
サ「よろこんでお受けします。」
二人は期待に胸を踊らせて教室を出た。この日の放課後のハクの足は踊るようだった。