「耳、赤いよ。」
その言葉と共に、彼の指が私の耳たぶをなぞり、今度こそ本当に息が止まりそう。
…..
「もう一回、いい?」
今度はさっきよりも深く、思わず息が止まりそうになるほど。
柔らかい唇がさらに押し付けられ、舌先がそっと触れてくる。
その感触に驚きながらも、抗えない自分がいた。
息継ぎもできないくらい、深く、深く。
全身の感覚が彼の動きに支配されていく。
「ん……っ……」
小さな声が漏れると、彼はようやく唇を離した。
「……苦しかった?」
そう囁きながら私を見つめる彼の瞳に、
何も答えられない。
でも、そんな私の沈黙を楽しむように、
彼は再び顔を近づけてきた。
「……もっとって顔してる」
彼の声が低く響いた瞬間、再び唇が重なる。
今度はさっきよりもゆっくりと、けれど深く。
まるで時間が止まったように感じられるほど、
長くて濃密なキスだった。
キスが終わったと思ったら、
彼はそっと私の額に唇を押し当てた。
その柔らかな感触に、胸がぎゅっと締めつけられる。
「これで、おしまい。」
彼が額から唇を離し、いたずらっぽく笑う。
胸が高鳴りすぎて、言葉なんて出てこない。ただ、息を整えるのに必死だった。
彼は私の様子を楽しむかのように、唇をペロッと舐めると、一言 囁く。
「……これで、俺が一番って事で、確定?」
その言葉に、恥ずかしさで顔が熱くなる。
「もしかして、まだ若井がいいって言う?」
その瞳は、完全に私を弄んで楽しんでいる表情。
「……ずるいです。」
「……最初から………大森さん…………が すき ……
……です。」
小さく呟くと、彼は嬉しそうに笑い、帽子を深く被り直した。
「……そろそろ行かなきゃ」
その一言を最後に、大森さんは私の頭を軽く撫でると席を立って図書館の出口へ向かう。
「あの………っ」
けれど、思わず私は声をかけてしまった。
「……また会えますか?」
振り返った彼は少し驚いた表情を浮かべた後、ふっと口元を緩めて微笑んだ。
「何、会いたいの?」
「……はい。」
正直に答えると、彼は少し考えるように視線を外した後、ニヤリと意地悪そうに笑った。
「…簡単に会えると思う?」
その挑発的な言葉に、少し胸が痛む。
「……そ、そうですよね……」
けれど、彼は帽子のツバを指で軽く触れながら続けた。
「でも……そうだな。成人して、大人になったら、またここで会おうか。」
その言葉に、思わず息を呑む。
「成人したら……ここで?」
「そう。それまで、いい子でがんばって。」
彼はそのまま出口へ向かうが、ふと立ち止まり、小さく振り返った。
そして、少しだけ間を置いてから、ニコッと微笑む。
「試験勉強頑張るんだよ。……あと、ミセスもよろしく。」
彼は軽く手を振りながら、ゆっくりと図書館を出ていった。
スマホを見ると、時刻は 9:26
スマホの壁紙に設定されている元貴は、相変わらずの笑顔で微笑んでいた。
End
Dear s
コメント
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✨✨✨
好きすぎてやばぃです、 もう死にそうです、 ッ 、 🫧さんが神様に見えてくるし、 大森さんをもっともーっと 好きになっちゃうし... 、