『1人の夜は』
『ごめんね いふくん ちょっと お仕事長引いちゃって…… 先に 寝てて大丈夫だから』
風呂上がり スマホに 留守電が残ってあった。
ダイニングテーブルに ラップをかけてある 2人分の食事。
目の前が 滲んで霞む。
『さみし、くなぃもっ……』
赤い目を隠そうと 必死に 涙を堪える。
朝 、 彼が言っていた 麻婆豆腐を 折角作ったのにと 悶々とした 気持ちを抱えながら スプーンを持ち上げる。
『一緒に 食べたかったっゃんっ……』
ぽたぽたと 零れ落ちる 涙は 白米に 溶けていく。
麻婆豆腐は 涙の味がした。
1人の夜はこんなにも 寂しいものなんだね。
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