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「・・・ん、」
爽やかな初夏の朝・・・とは言いがたく、昨夜のお酒が残っているからか少し頭が痛む。
目を覚ますためにリビングへいき、カーテンを開けようとソファの後ろを横切ったところで、ソファからずり落ちた少年を見つけた。
( あーそうだ、拾ったんだった )
海行くって言ってたなそういや、と昨夜の会話を一通り思い出して頭が痛くなったのは、二日酔いか、これからの事を考えてか。
まぁ確実に後者だろうが、悩んでいたってどうしようもないので彼を起こすことにする。
「ルフィくん起きて。
海に行ってお仲間さん探すんでしょ」
「ん゙~、」
「おーきーて。朝ご飯抜きにするよ」
「メシィィ!!!」
「単純か」
まだ寝ぼけている彼を鼻で笑いながら、朝食の準備をする。
味噌汁とご飯、卵焼きと、鮭が冷蔵庫にあった気がする。
誰かにご飯を作るのなんて久しぶりだからか、気合が入っている自分に苦笑が洩れる。
「・・・あ、ルフィくんコーヒー飲める?」
出来るまでの間、眠気覚ましにでも飲んで待っててもらおう。
「サンジが淹れたやつなら飲めるぞ」
「・・・プロじゃん」
昨夜聞いた、彼の船のコックさんの名前。
粉をお湯で溶かしただけのインスタントがプロの淹れるコーヒーに勝てるわけないし。
甘いココアを淹れて、彼の前に出しておいた。
──
─
「いただきまーす!」
どーせプロの料理で舌の肥えたルフィくんには美味しくないだろうし、と半ばヤケになりながら鮭をほぐしていると
「・・・うんめェ!」
「・・・!」
予想外の一言が。
「なぁこれなんて料理だァ?
すんげェうめェぞこれ!」
「味噌汁、っていうの」
「ミソシル、だな!よォし覚えた!
今度サンジにも教えてやろーっと!」
別になにか特別な隠し味を入れたわけでもないのに。
こんなにも自分が作ったものを美味しいと言ってもらえるのなんて初めてで、不覚にも泣きそうになった
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