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緑星ふうま
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後日談4 黄金の果実、あるいは甘美な依存
神殿の奥、柔らかな光が満ちる寝台の上で、fuは所在なげに寝返りを打っていた。
悪魔としての魔力も記憶も、rmの白さで上書きされた身体は、今や一点の曇りもない純白の衣服に包まれている。何もすることがない退屈な日常。けれど、rmの腕の中にいられるだけで、胸の奥は満たされていた。
「お待たせ、fu。今日は君のために、少し珍しいものを持ってきたよ」
扉が開く音と共に、rmが穏やかな微笑みを湛えて入ってきた。その手には、白磁の皿に乗せられた小さな黄金色の果実がある。まるで太陽の光をそのまま閉じ込めたかのように、瑞々しく輝いていた。
「……なぁに、これ。すごくいい匂いがする」
fuがベッドから身を乗り出すと、ふわりと蜂蜜と白檀を混ぜたような、甘く神聖な香りが鼻腔をくすぐった。これだけで、喉の奥がキュッと鳴る。
「天界の最上層にだけ実る『抱擁の果実』だよ。本来なら、悪魔の身体を内側から焼き切る猛毒なんだけれど……」
rmはベッドの端に腰掛け、fuの白い羽の先端を愛おしそうに指先でなぞった。
「すっかり俺の光に馴染んだ今の君なら、きっと誰よりも美味しく食べられるはずだ。食べてごらん?」
「うん、ちょうだい……っ」
fuが手を伸ばそうとすると、rmは皿を少し遠ざけ、悪戯っぽく目を細めた。
「手を使っては駄目だよ、fu。可愛い小鳥のように、口だけで受け取って?」
その言葉に、fuの頬がぽっと赤く染まる。恥ずかしさに身をすくませたが、果実の甘い香りと、rmに逆らってはならないという本能が身体を突き動かした。fuはゆっくりと四つ這いになり、rmの膝の上へ顔を近づける。
rmが果実を小さく切り分け、自身の唇に挟んだ。
意図を理解したfuは、心臓を激しく脈打たせながら、rmの唇へと吸い付いた。
「ん、ぅ……っ」
重なる唇の隙間から、果実の濃厚な果汁がfuの口内へと溢れ出す。
その瞬間、fuの背筋に、昨夜の激しい「浄化」の最中に感じたものと全く同じ、頭の芯が痺れるような強烈な熱が走った。
「は、あ、ぁ……っ! 身体が、あつい……っ!」
ごくり、と果汁を飲み干した途端、体の中からrmの魔力が爆発したように広がっていく。悪魔の身体が天使の味覚に完全に書き換えられ、ただの果実を一口食べただけなのに、腰が砕けそうなほどの極上の快感に襲われた。
fuの白い翼がバサバサとシーツの上で暴れ、黄緑色の瞳が熱に浮かされてトロンと濁っていく。
「ふふ、本当に素直な身体だ。一口でこんなに蕩けてしまうなんてね」
rmは手袋を外した白い指先で、fuの濡れた唇を優しく拭った。その指を、fuはもっと光を乞うように、自ら舌を出して縋り付くように舐めとってしまう。
「rm、さま……っ、もっと……もっとちょうだい、あつくて、おかしくなっちゃう……っ」
「いいよ。君が俺なしでは、食事の味さえ満足に感じられない体になるまで、いくらでも注いであげるからね」
rmは満足げに瞳を細め、今度は果実を持たずに、fuの唇を深く、深く塞いだ。
味覚さえも、生活のすべてを天使の白さで侵食されていく。fuはもう、この甘い地獄から自ら抜け出すことなど、一生できないのだと確信しながら、その心地よい熱にどこまでも溺れていった。