予鈴がなる。
あぁ、始まった。
始まってしまったのだ。
学校での一日が。
「じゃあまず自己紹介から。名簿番号順でいくわね。浅井さんお願いします。」
新しい担任の聞き慣れない声。新学期だからだろうか。真空になったかのように静まり返ったこの3年4組の教室にそれが響き渡る。
「はい。」
私はこの瞬間がとても苦手だ。この世の誰が名簿番号なんかで1番になりたがるのだろうか。そんなことを考えながら立ち上がる。
「浅井 純です。1年間よろしくお願いします。」
全く。名前の通り”浅い”自己紹介を終わらせる。1分程度の時間を与えられていたが、私は10秒もしないうちに席に座った。それで怒られる事はまずない。なぜなら私は不登校気味だから。これ以上来なくなったら困るから。どうしたらいいか分からないから。
どうもしなくても別にいいから。
担任の心情といえばこんな感じだろう。きっとクラスの人たちも。
実際、私は別に不登校をかっこいいと思ってしている訳でも、いじめられているからしている訳でもない。合わないのだ。徹底的に。何から何まで。”学校に通う”という決められたルーティンに従う毎日が。好ましくない。楽しくない。
でもみんなはこれを受け止めて我慢した上で毎日通っている。まるで、機械みたいに。全部が計画されているかのような日々。だけど____
だけど、この出会いはきっとイレギュラーだ。私の中の学校という固定概念が狂った音がした。
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