「…なんだよ。そういうセリフは、俺から言わせろよな…」
ちょっとすねたような口ぶりで言う銀河に、「ふっ…」と、笑みがこぼれる。
「だって、たまには私だって、銀河にやり返したいもの。いつも、銀河にはやり込められて、ドキッとさせられてばっかりだし」
笑いながら言うと、銀河は視線をそらして、
「なんだよ…」
と、もう一度くり返した。
それから、
「俺の方が、おまえのこと好きだし…絶対」
低くボソッと口に出した。
「何ムキになってんのよ…もう」
笑いをこらえながら言う。
「子どもみたいなんだからホント」
と、笑ったまま付け足すと、
銀河は、ちょっとムッとしたような顔つきになって、
「ムキになってもねぇし、子どもみたいでもねぇから」
ふっと顔を横にそむけた。
「ごめん、銀河……怒ったの?」
本気で怒らせたのかもしれないと、あわてて謝ったけれど、
銀河は顔をそむけて、何も言ってはくれなかった。
「ねぇ…銀河…」
思わず泣きそうになって、名前を呼びかけると、
「……。バーカ、怒ってなんかいねぇよ」
銀河が顔を向き直らせ、私に目を合わせた。その目がどことなく楽しげなようにも映って、
「え……じゃあ、もしかしてまた、私の方がやり返されたってことなの?」
まさかの思いで尋ねてみると、銀河が口角を上げニヤリと笑って見せた。
「そうだって。けど、おまえのちょっと泣きそうな顔、……かわいかったぜ?」
「何よ、それもうー」
口をとがらせる私の頭を、手の平でポンポンとなだめるように叩いて、
「ごめんて、理沙。じゃ、もう飲み終わったなら、そろそろ出るか、ここ」
先にイスを立った銀河が、私の背中を軽く押して促した。
コメント
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初々しい会話😊 仲が良いって素敵だな💓