テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
気分で書きます。
妄想です。
リクエストは一応受け付けます。
INTJは、EPという存在を一括りにしていた。
うるさい。
動きが多い。
声量が無駄。
感情とノリで世界を進める、計算不能な生き物。
視界の端で、今日も例の四人が騒いでいる。
ESTPはもう説明不要だった。
足が先に動き、口がそれを追いかけ、思考はだいぶ後ろ。
今この瞬間がすべてで、勝てばよし、楽しければ正義。
INTJの中の分類では
「観測対象A。危険度は低いが近寄ると疲れる」
ESFPは、存在自体がノイズだった。
感情がジェット噴射。
笑い声がやけに長い。
人を巻き込む力だけは異様に高いが、論理は置き去り。
「観測対象B。視界に入れないのが最適解」
ENFPは一見マシに見える。
話題は多いし、理想も語る。
だが途中で感情が割り込んで、結論が毎回変わる。
「観測対象C。話が長い。結論が来ない」
ここまでが、INTJの中で完成していたEP理論。
そして最後に、ENTP。
ENTPも騒がしい。
声も大きいし、話題も飛ぶ。
一見、他のEPと何も変わらない。
……はずだった。
最初の違和感は、会話の“音量”ではなく“間”だった。
ESTPとESFPが盛り上がっている横で、ENTPは一拍、黙る。
ENFPが感情で話を広げている時、ENTPはその広がり方を眺めている。
参加しているのに、少しだけ引いている。
INTJは、無意識にENTPの言葉を拾ってしまう。
「それ、今は面白いけど三手先で詰むよね」
一瞬だけ空気が止まる。
ESTPは笑って流す。
ESFPは気にしない。
ENFPは「え、どういうこと?」と聞く。
ENTPは、説明する。
軽い口調で。
冗談を混ぜながら。
でも内容は、異様に筋が通っている。
INTJの思考が、わずかに反応する。
……論理がある。
しかも即興で。
しかも楽しそうに。
INTJは不快になる。
自分のテリトリーに、勝手に入ってきた感じがしたからだ。
ENTPは、気づいていないふりをしてINTJを見る。
正確には、見ていない。
INTJの反応を“観測”している。
視線が合った一瞬。
ENTPはニヤッと笑って、こう言う。
「今の話、君はもう結論まで行ってるでしょ」
INTJの内側で、何かがズレる。
なぜ分かる。
なぜ今、それを言う。
なぜ確認する。
ESTPなら気にせず話を続ける。
ESFPなら空気で流す。
ENFPなら共感を求める。
ENTPだけが、INTJの思考の“位置”を指でなぞってくる。
その日から、INTJはEPを見る時、ENTPだけを別枠に入れ始める。
ENTPは騒がしい。
だが無秩序ではない。
ENTPはふざけている。
だが考えていないわけではない。
ENTPは人の感情を使う。
だが同時に、構造も理解している。
INTJは気づく。
こいつ、
EPの皮を被った思考型だ。
しかも厄介なことに、
自分と違って、それを楽しみながらやっている。
INTJは内心で毒づく。
「……やっぱり騒がしいのは嫌いだ」
一拍置いて、続ける。
「でも、あいつは例外かもしれない」
ENTPがまた笑って、誰かをからかっている。
その裏で、全体の流れを操作している。
INTJはもう、目を逸らせなくなっていた。
騒がしいEPの群れの中で、
一人だけ、思考がこちら側を向いている音がするから。
そしてINTJは、絶対に口には出さないが、
こう思ってしまう。
「……面倒だな。
でも、ちょっとだけ、話してみたい」
EPは嫌い。
騒がしいのも嫌い。
なのにENTPだけ、
うるさいのに、静かに侵入してくる。
INTJはそれを、
最も厄介で、最も興味深いバグだと認識するのだった。