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2話
ESFPがソファに倒れ込んで、天井を見ながら言った。
「なあ……ESTPとENTPってさ」
ENFPは床に座って、ペンをくるくる回している。
「うん、似てるよね。うるさいし、テンション高いし、話止まらないし」
「そうそう、それそれ!」
ESFPは勢いよく起き上がる。
「でもさ!
一緒に騒いでると、なんか違うんだよ!」
ENFPは目を輝かせる。
「わかる!
空気の“跳ね方”が違う!」
二人はしばらく沈黙して、同時に言う。
「……どこが?」
まずESTPについて。
ESFPは即答だった。
「ESTPは“今ここ”!」
腕を広げる。
「この場!この瞬間!面白かったら正解!失敗?あとで考える!」
ENFPが頷く。
「うん。ESTPって、場のテンポそのものだよね。走りながら道を作るタイプ」
ESFPは笑う。
「てかさ、ESTPは考える前に体が動くじゃん。喧嘩売られても、とりあえず立ち上がる」
ENFPは少し考えてから言う。
「ESTPって、 “選択肢が一つしか見えない”んじゃなくて、 “今選べる一番派手なやつ”を迷わず取る感じ」
二人の視線が、遠くで笑っているESTPに向く。
ESTPは誰かと腕相撲していた。
「うん、あれESTPだわ」
ESFPが満足そうに言う。
次にENTP。
空気が少し変わる。
ENFPが先に口を開く。
「ENTPは……なんて言えばいいかな」
ペンを止める。
「動いてるけど、
一回、頭の中で全部並べてから笑ってる感じ」
ESFPは眉をひそめる。
「わかる!あいつ、ノリで喋ってるように見せて、たまに“え、今それ考えてたの?”ってなる」
ENFPは身を乗り出す。
「そう!ENTPってさ、今の場に“別ルート”を重ねてるんだよ」
ESFPは首を傾げる。
「別ルート?」
「うん。この場がこうなったら、こう崩れて、こう転がる、みたいな」
ENFPは空中に見えない線を描く。
「ESTPは一本道を全力疾走だけど、ENTPは地図広げながらスケボーしてる」
ESFPは爆笑する。
「例え雑だけど合ってる!」
少し間が空く。
ESFPが真顔になる。
「なあ、ENTPってさ、騒いでる時でも、たまに急に冷めた目するよな」
ENFPは静かに頷く。
「する。あの目、“あ、今これ一周したな”って時の目」
「そうそう!ESTPはずっと全力なのに!」
二人はまたESTPを見る。
ESTPは今度、負けて悔しそうに叫んでいた。
「うん、全力」
ENFPが微笑む。
「ENTPはね、“楽しんでる自分”も一緒に観察してる気がする」
ESFPは腕を組む。
「それちょっと怖くね?」
「怖いけど……だから話してると急に刺さること言う」
ESFPは思い出したように言う。
「そういえばさ、ENTPって、喧嘩っぽくなっても一線越えないよな」
ENFPは目を見開く。
「それ!ESTPは越える!」
二人で声を揃える。
「越える」
ESFPは笑う。
「ENTPは越えそうで、寸前で方向変える」
ENFPは指を鳴らす。
「それってさ、勝ち負けじゃなくて“面白いかどうか”で舵切ってるからじゃない?」
ESFPはしばらく考えて、ぽつりと言う。
「……あいつ、勝ちたいんじゃなくて、“展開”が見たいんだな」
ENFPは嬉しそうに頷く。
「そう。だからESTPと並ぶと、同じ騒がしさなのに質が違う」
遠くで、ESTPとENTPが同時に笑う。
でも、
ESTPの笑いはまっすぐで、
ENTPの笑いは少し屈折している。
ESFPは立ち上がって伸びをする。
「なるほどなー」
ENFPも立ち上がる。
「似てるけど、ESTPは“今を殴る人”で、ENTPは“今を弄ぶ人”だ」
ESFPは一瞬考えて、ニヤッとする。
「ENTPの方が、頭悪そうに見せるの上手いよな」
ENFPは笑う。
「うん。たぶん一番ズルい」
二人は顔を見合わせて、同時に言った。
「……でも、なんか憎めない」
その瞬間、
ENTPが振り返って声をかける。
「ねえねえ、今さ、俺の話してたでしょ?」
ESFPとENFPは一瞬固まってから、
「してない!!」
「してないよ!!」
全力で否定した。
ENTPは肩をすくめて笑う。
「ま、いいけど」
そして、
また騒ぎの中心へ戻っていった。
ESFPは小声で言う。
「……やっぱあいつ、違うわ」
ENFPは静かに同意する。
「うん。ESTPとは、同じ“騒音”でも周波数が違う」
二人はその違いを、
まだ完全には言語化できないまま、
でも確実に理解していた。
ESTPは今を生きる。
ENTPは今を使う。
だから一緒にいると、
似てるのに、
どこか落ち着かないのだと。