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「“風夜”ですか……失礼ですが……一体何歳なんです?」
「……ふ……ふふっ……何歳に見える?」
風夜と名乗った少年は心底面白そうに笑いながら問いで返す。
「見た目は私達と同じですが……中身がまるで人間では無いようですので……」
風夜はキョトンとした後より一層楽しそうに笑った。
「あっはっはっはっ!すごいねぇ!君!こんな短時間で僕が人間じゃないって気付くなんてさ……君、気に入ったよ!」
ブラックは爆笑する風夜にドン引きしてしまった。風夜はまだ笑いの治まらぬようで、クスクスと笑いながら続ける。
「なーんてたいそうなこと言ってるけどさ、実際僕自身も僕が何者なのかよく覚えてないんだよね。だから『じゃあ人間じゃないなら何なの?』って聞かれても答えられない」
風夜は足をパタパタさせながらそう言う。
「そうですか……じゃあ……なんでここに来たんですか?人間でないのでしたらここ以外の所に居たのではないですか?」
ブラックがそういうと風夜はピタッと笑うのをやめた。ブラックがまずい事を聞いたかと身構えていると、風夜は首を傾げた。そして
「“覚えてない”」
とたった一言だけだった。
「は?」
「だから覚えてないんだって。酷いなぁ、そんな引く事でも無いだろうに」
風夜は心底嫌そうな顔をした。
「とっても暗くて深くて静かな所。それしか覚えてないよ」
そのまま風夜はブツブツと呟き始めた。
「ずっと、ずっと、僕は一人で……人が来る事なんて何千年かに一回……やって来た人は僕に気付かず消えるか……僕と出会った記憶が記された“ページを破り捨てて”消えるか……」
いつしか風夜の目は深い闇に沈んでいた。
「貴方“も”一人だったのですね」
ブラックは自分でも知らず知らずの内にそう零していた。
「……僕……“も”……?」
風夜は顔を上げてブラックを見る。
「私達の“先生”も……ずっと一人だったらしいです……」
「……なんでそんな伝聞調なの……」
「私と会った時はもう既にレッドやブルー、銀さんやバナナ達と居ましたから」
「ふーん……“先生”、ね……」
意味深に呟く風夜にブラックは問う。
「何か心当たりでも?」
「いいや、全く。でも懐かしい気はする。君の言ってる“先生”は“教師”という職業種の“先生”で良いんだよな?」
「ええ……」
風夜はぼーっとしているようで何かを考えているようだった。
「僕ね……昔……ずーっと昔“先生”って人に会ってると思うんだ……もしかしたら合ってるどころじゃなくてもっと深く関わってるのかもしれない……何故かそんな気がするんだ」
風夜がそう静かに呟いた。
「……来ますか?」
ブラックは自分が目の前の会ったばかりの人外にそう言った事に驚いていた。風夜もポカンとしている。
「……ど、どこに?」
ブラックは口を噤もうとしたが言ってしまったが故にもう後戻りは出来なかった。
「……私達の“先生”の所にです」
覚悟を決めてそう言った。
「……良いの?」
____期待に満ちた声に目を向けると
風夜が目をキラキラさせていた____