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バンッ!!
ひそひそ声が一瞬にして静寂に代わり、道の真ん中にはバラバラになった肉片が血に浸かっている。
「ゼンティ大丈夫か? 」
足元に転がっている目玉にこえをかた。
「うん!大丈夫だよ〜」
散らばった肉片のどれかからゼンティの声が聞こえる。
「おい、君。その銃を離すんだ。ほら。」
冷静に男の子を落ち着かせようと試みている。
「ぁ”あ”あ”あ”」
男の子はがっくりと腰を落とし白目を向いた。
「はぁ〜い皆さん大丈夫ですよ〜!びっくりさせちゃってごめんなさいね~!! 」
ゼンティはあっという間にすっきり元の姿に戻り心配そうに見ている民衆に声掛けをしている。
そっと男の子を抱き抱えた。
「…異常なほど軽いな…」
羽織っている隊服の上着で男の子を包んだ。
「ヴェンシュンさん!ゼンティさん!」
ざわついている人々を切り抜けキリッとした声で呼びかけられた。
「あっレヲ〜!いいところにぃ!」
「おかえりなさい。随分とお久しぶりな気がしますね。」
レヲと呼ばれたスラッと身長が高く中性的な見た目をしている青年は同じ軍隊チームで僕と主にゼンティの部下だ。
「久しぶりだな。何かあったんだな。」
「お久しぶりです。はい。口外できない事ですので城でお話します。その少年とユウジン様について。」
「…わかった。行こうかゼンティ。」
「はぁーぃ」
ー・ー・ー
「ユウジン様がお亡くなりになりました。」
「え!?」
「そうか。」
少しの間沈黙が続いた。
城に来てから男の子を兵士に預け騎士団部屋に来た。天皇はユウジンの弔問へ行かれたそうだ。
「僕たちもユウジンの所に手を合わせにいこう。」
「そうしたいのも山々なのですが、直ぐには行けない理由がありまして。」
「うーんあの男の子まさかユウジンちゃんの隠し子だったり??」
「っ、はい。そのまさかです。」
「隠し子?そうかなるほどな。」
祭司は神の声を聞くとして、金色の髪を持ち人目は真っ黒だという外見をもって産まれた赤子を祭司として育てる。
純白でなければならないので隠し子なんてあってはならない話だ。
「イヴァン公爵は?関わってんの~?」
「それが不甲斐ない事なのですが、極めて黒に近いグレーゾーン…というところです。」
「ユウジンはどこで?」
「神殿の祭壇の上で傷1つなく寝かされていました。器具を使った跡は見られず魔法による殺人だと調査しています。」
「うーんイヴァン公爵当たりはルミナ神信仰だからなぁ、隠し子の存在が許せないから消しちゃおってそー」
ダンジェス国の双子神は正義の光の神ルミナと自由の闇の神シャドウが存在し、国の中でも信仰している者が大きく別れている。天皇は双子の中立の立場エコー神のご加護があり2人の神のバランスを取っているような形だ。
「そんなすぐバレるような事するバカじゃないだろ。源魔は?」
「闇魔法です。」
「おっとーっわかんなくなっちゃったー!!」
「イヴァン公爵の源魔は光魔法だ。だから調査が苦戦してるんだな。」
「はい。そしてあの隠し子も命が狙われる可能性があるので厳重保護命令が天皇様から頂きました。」
「じゃあなんで巡回騎士の銃持って僕たちを狙ったんだ。」
「客間で使いとおもちゃで遊んでた様ですが、使いが飲み物を取りに行き戻ってきた所姿を消したそうです。部屋の扉の前にも巡回騎士が番を張っていたそうですが、出ていくところを見ていないそうです。」
「突然消えたか…魔法使いなのか誰かに連れ去られたか。にしても行動がおかしいな。」
「母親を亡くして憎しみがこもってるように見えたよね〜。おもちゃで遊ぶなんておかしくなあい?」
「そうですよね。直ぐに国中探しましたが、かなり距離がある門まで一般人が短時間で移動できるとは思いません。探し初めて10分ほどで銃騒ぎが起きましたから。銃もどこで手に入れたのか…」
「とにかく天皇陛下にも意見を聞いてみよう。そして男の子の身体調査もだ。」
「はい。承知しました。」