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捨て猫と毒蛇

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捨て猫と毒蛇

13 - 第13話:もう一人の商人

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2025年05月12日

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部屋に入ると2人はぐっすり眠っていた。俺も布団に入り寝るまでの時間で明日のことについて考えていた。明日侯爵に会うのは恐らく俺だけだ。その間2人をどうするか、ノルディアからの武具はいつ頃にどこに届くのかなどいろいろ考えているうちに深い眠りに落ちていた。朝目が覚めても2人はぐっすり眠っていた。部屋の扉に取り付けられた手紙入れの中には手紙が2通入っていた。1通目はノルディアの輸送者からの手紙で、今朝ドランシアに到着しこれから手続きが終わり次第こちらの宿まで武具を届けてくださるというものだった。2通目は役所からで侯爵からの面会許可証と許可時間が書かれたものだった。侯爵と話せるのは正午の鐘がなってから日が落ちるまでの時間らしい。これなら午前中に武具を回収し契約書を持って時間に余裕のある状態で侯爵のもとへ出向くことができる。俺は机の上に小銭と”お昼代”と書いた紙を置いて外に出た。しばらく待つと馬車が数台こちらに向かってやって来た。先頭の馬車から降りてきた男が声をかけてきた「こちらの宿にハヤセル・ゼルディア殿がいるとお伺いしたのですか?」「私がハヤセル・ゼルディアです」「そうでしたか!」「こちらに来た際に役所で証明書と契約書のコピーを貰っていると思うのですが確認させていただいても宜しいでしょうか?」「もちろんです。こちら証明書と契約書と控えでございます」「はい。確かに。では正午の鐘がなってから要塞地区グレイスヴァルドの領主、ザヴェル・ロメッカ侯爵の館まで持ってきて頂けますか?」そういうと男は一瞬心配そうな表情を浮かべたもののすぐに「かしこまりました!」といって後ろの馬車の者たちにも説明し宿を後にしていた。次は役所に行って侯爵宛てにいつ頃に伺うかを記す面会時刻申告書を書きに行く。昼まではまだ時間がある。何も焦る必要はない。役所につき手続きはあっという間に終わっていた。今から行けば書をまでには間に合う。そう思いドランシア北部の要塞地区グレイスヴァルドへと向かった。ドランシアは初めてでは無いものの最後に訪れたのが随分昔のことだったせいか道中何度も道を間違えてしまった。しかしそのおかげでおいしそうな料理屋や新しい情報、街の今の状況などを知ることができた。見たところ街の住民や建物に被害はなく完全に両者がもとから所有していた軍とそれぞれざ味方についた貴族だけで争っているらしい。そんな事を考えながら時間に間に合わないと悟った俺は近くを通り過ぎた馬車にロメッカ侯爵の館まで乗せていってもらった。「いやぁ助かりましたよ。まさか運よく侯爵の家へ贈り物をしに行く馬車だったとは。」「私も届きましたよ。まさか旅のお方が侯爵に会いに行きたいとおっしゃったのだから。」「いや、なに。私は侯爵殿を支援しておりましてね?武具の支援などはいかがかと思いまして。」「奇遇ですね。実は私も侯爵側の者で今日は敵の拠点の警備状態や警備の交代時間、城の間取りなどを記したものを献上する予定でした」「それほどの貴重な情報、一体どのようにして手に入れられたのですか?」「何私はしばらくここにとめてもらっていましてね?そのうちにいろいろな事に出くわすのですよ。そしてその機会をチャンスと見なし仲間を作るわけです。そうすると自然と情報網も広くなりますからね」「なるほど。長期間滞在している人の特権ですね」「考え方の問題だと思いますよ?」そんな日常会話や金儲けの話をしている間は時間が恐ろしいほど早く進んだ。そして正午の鐘が鳴る前に侯爵の館に着くことができた。

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