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『今日来るか?』
珍しく、中也から電子手紙が来た。
之は、ただ単に来るや否かを訊いている…が、私には この後来て欲しい、と読み取れた。
『仕方ないから行ってあげる。』
明らかに返答ではない返信をし、素直に残りの書類整理を終わらせる。
その様子を見た国木田君が物凄く驚いていたが、それ程に中也に対する私の想いが強いと云う事なのだよ。うふふ。
漸く書類整理を完終させた私は、すぐさま愛しの恋人のセーフハウスへ、文字通り飛んで行くかの如く 高速で向かった。
「はあ〜い、中也ぁ!!君の大好きな太宰が帰って来たよ〜!」
壊す勢いで扉を開け、大声を上げてセーフハウスへ侵入する。
その先には──
「………………ん、ぁ?だざい…?」
その先には、酔いが回っているであろう我が愛すべき恋人の姿が。
なんだあの可愛い生物は。ふわふわしてんじゃないよ こんちくしょう。
よく見ると、食卓の上にはおつまみと葡萄酒が……。はぁ、また飲んでるのかこの蛞蝓。
「な〜に一人で飲んでるの。晩酌をするなら云ってくれれば良かったのにぃ。」
「…あァ?手前と同席するよか、一人で飲むほうが 余程有意義だぜ。」
前言撤回。全くもって可愛くない!なんなのこの蛞蝓!!
「なにそれ!?全ッ然可愛くない!!…ッてか、君 私の恋人なのだよ!判ッてるの!?」
「……………あァ、そうだな。」
私の怒号とは裏腹に、適当にあしらうような回答が返ってきた。
は?もっと干渉してよ!え!?
と、思ったのも束の間──
──ぐい、
至近距離まで引き寄せられ、一瞬静まり返ったセーフハウス内に、リップ音が響き渡る。
「…判ッて無かッたら、此奴は出来やし無ェよ、莫迦。」
「………〜ッ、!…はぁ、君って奴は本当に………、」
可愛い所だけかと思えば、男らしい所もある。うふふ、矢ッ張り私の恋人は最高だなぁ。
だが、この侭 この蛞蝓に好き勝手してもらったら、流石に私の理性が持たないだろう。
そう思い、私は中也が用意したワイングラスに葡萄酒を注ぐ。
注ぎ終わった直後、勢いの侭 葡萄酒を飲み干す。
「………素面じゃやっていけない…。」
私が零した一言を聞いた中也は、己も晩酌を愉しむ勢いで 葡萄酒を飲み干した。
私達の夜はまだ終わらない。