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私はかれこれ数時間、執務室で書類達とにらめっこをしていた。
部下に仕事を押し付けてでもサボってやろうかな?と、組織の首領が思考を巡らせていると──
──コンコン
「首領、報告に参りました。」
「…いいよ、這入って。」
ノック音とほぼ同時に、声が聞こえたので 了承して執務室に這入るよう施す。
──ガチャ、
「失礼します、首領」
「やぁ中也、違法配達業者の処置は如何なったのかな?」
ポートマフィアの傘下の配達業者が、違法取引をしていたことが発覚したので、すぐに中也の部隊に向かわせた。
一通り制圧して、地下の監禁施設に監禁し、情報を吐き出すよう施したら なんの躊躇も無く、易々と情報を吐き出した。
「その件についてですが───」
「──と、云う感じです。」
「そうかい、ご苦労様。」
「報告は以上で──」
一通り報告は完了した──が、中也の退場はまだだ。
「中也、一寸此方に来て。」
「…?はい、何でしょうか。」
ガサゴソと机の下を漁る。中也が報告に来ると判っていて、態々用意したのだよねぇ。
「………これ、は?」
私が手にしたものを見、眉間に皺を寄せる。
「うふふ、見て判らないかい?」
私が取り出したものは──
そう、私が取り出したものは、黒いロングワンピースに 白くフリルのついたエプロンを掛けてある──
まぁ、所謂 メイド服と云うものだ。
「そうさ、メイド服さ!!」
「…それが、どうかしたのですか?」
「うふふ、君に着てもらいたいのだよ。ちなみに、拒否権は無い。首領命令だよ♡」
はたまた眉間に皺を寄せ、訝しげに問うてくるので、自信満々に答えてやった。
中也は迚厭そうな表情をする。うふふ、その表情も今となっては最高に唆るね。
ここで中也が声を上げないのは、反抗できないように私が沢山躾てあげたからだ。
「さぁ、彼処で着替えておいで。待っててあげる。」
「……………。」
中也は黙りこくった侭だ。余程厭なのだろう。
「ほら、如何したの?疾く。」
「……………。」
「…云い方を変えた方がいいかな。……之に着替えて来い。今すぐだ。分かるね?」
「…チッ、」
云い方を変えた途端、黙りこくっていた中也は、堂々と舌打ちをし、メイド服を奪い取って 隣の部屋へ向かった。
これで聞かなかったら無理矢理にでも脱がせて着せてやろうと思っていた。………否、良いかも。今度やってみよう。
うふふ、楽しみだな。
近い内、中也には女装任務でもさせようか、などと思考を巡らせていると──
「………着替えてきました。」
眉間に皺を寄せ乍らも、スカートを履いているからなのか、頬処か、耳迄紅くした中也が戻って来た。
此方を睨んでいる…のであろうが、身長差がある為 どうしても上目遣いになってしまう。
嗚呼、ここまで可愛いとは思わなかった。今すぐ食べたい。
固まって一言も言葉を発さない私を不審に思ったのか、近付いて顔を覗き込んできた。
……ほら、君って奴はすぐそうやって…、!
「…ちゅうや………、」
「…はい?」
「すっごく可愛い!とても似合っているよ!!」
私は中也の肩を両手で掴み、大声で感想を述べる。
「ぁ…そ、そう……ですか。」
「中也の可愛さに免じて、今日はもう上がっていいよ。」
私がそう云うと、中也は少し顔を明るくした。分かり易い犬だなぁ。
然し、折角着てもらったのに、この侭脱いでしまうのは勿体ないよね。
「……あぁでも、勘違いしないでね。仕事が終わったからと云って脱がないでね。」
「………はい?」
「嗚呼、もう畏まらなくて佳いよ。」
「………はぁ、手前は先刻から何がしてェンだ?」
急に口調変わるじゃん、恐いなぁ。でも、今の格好でその口調は中々唆るものがある。
「んー…うふふ、その前に、取り敢えず……寝台、行こっか。」
「………チッ、この変態主人め。」
己の格好に合わせて云っているのだろうか。うふふ、その強気な態度、今日はいつまで保つかな?