コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
※誤字脱字・nmmn・微不穏?・下手注意
ご感想お待ちしております。誰のセリフかわからない等、質問はいつでもお答えします。(訂正も加えます。)
Luminous Dytica
伊波side
星導ショウが姿を消した。外は雪で真っ白で朝寒に震えながら自室を出る。頭を起こしたいから暖かい飲み物作ろうと思いメンバー共通の机に向かうと机の上は「探さないでください 星導」と落ち着いた字で書かれていた紙が一枚置いてあった。
「…なんやそれ、」
メモ用紙を片手に呆然としていとしていると寝起きでぴょんぴょん跳ねている髪を抑えながらカゲツが俺の横から持っている紙を凝視するように出てきた。
「いや…分かんない…。」
手が小刻みに震える。これは怒りなのか心配なのかまた別の感情なのか…。前にも今回と同様に姿を消したことがある。まぁその時はすぐ帰ってきたし大丈夫だろう…。でも何だろう…前回とは違う不安が押し寄せる。仲間としての意識が高まったからだろうか。いや、きっと大丈夫。すぐ帰ってくるはず…。
「…伊波」
俺の感情を察したのか、カゲツが優しい声で心配そうに俺を見る。カゲツに心配させちゃ駄目だろ…しっかりしろ俺…。
「大丈夫、大丈夫!前にもこんなことあったもんね~。きっとすぐ帰ってくるよ!」
手にしていた紙をゆっくりと机の上に戻し、足早にドアノブに手をかける。ドアを開ける動作と一緒に色々な感情が俺の中をぐるぐるする。俺はさっきどんな顔をしていたのだろうか、ちゃんと笑えてた?いつも通りだった?心配させるような表情はしてない?またも手が震えている。なんだろうこの感情は。今までの俺にはない感情。こんなの俺じゃないみたい…。
*
叢雲side
あれほど心を締め付けられるような表情を見たのは何時振りなんやろ。今朝のことを思い出しながら腕を袖に通す。歪んでいる表情やった。人の大体の感情は顔に出る。だから分かる、自分はどんな対応をすれば相手を傷つけんで済むのか、それにはどんな気遣いをすればええのか。そうやって生きてきたから。けどさっきの伊波の表情は何にも感情が読み取れんかった。嘘みたいな顔が一瞬だけ見えた。歪んでいる顔、色々な感情が混ざり合っていて正直怖かった。
「僕には何が出来るんやろ。」
ふと口から出た言葉は誰の耳にも届かず、消えていくばかりだった。
「…いや知らねぇよ。自分で何とかしろ。」
竹林が生い茂る一本道、今朝の出来事を横にいる小柳にぼやくと素っ気ない返事が返ってくる。
「なっ…なんやぁ…」
何も言い返せない、この感情は自分の勝手なエゴなのか、何かできることはないか。この行動は自己満足なのか。
「……でも…何か起こってからやと遅いやろ…。」
なんだろういつもは絶対にしないモヤモヤが引っかかる。
「…大丈夫だろ、だって星導だぞ?」
小柳は少し考えてから言った。…小柳の言う通りだ、確かに星導はライや僕とは違って人間ではない。一人でも身を守れるほどの力を持っている。…じゃあそれとは関係ない何かが、自分の心をモヤモヤさせている…。
「ぅん…でも…」
言いたいことがはっきりせず、言葉が詰まる。僕は何を思って、何を小柳に伝えたいんやろ…僕は何を気にしてるんやろ…。
「…はぁ…どいつもこいつも…」
小柳はため息を吐きながら言った。面倒くさい。そう思ったいるのだろう。
「なっ…仲間の心配くらいしたらどうなん…?」
咄嗟に出た言葉だった。小柳が星導と旧友でそこそこ仲が良かったのは宇佐美達から聞いたことがある。でも、いくら何でも心配しなさすぎや。そう思った。でも、小柳は僕や伊波が知らない本当の星導のことを知っているかもしれないから、それ以上は何も言えなかった。
「あのな、もし星導が本気で隠れたとして、それを俺たちが見つけられると思うか?」
「……それは…多分…無理…やと思う…」
否定したくないけど、否定するしかなかった。宇宙やら、未知の世界と繋がりを持っている星導が本気で隠れたとして、それを見つけようなんて無理がある。
「…なら、信用して待つしかない。それだけだ。」
「……」
”信用”この言葉が小柳から出てくるのは珍しいと思った。だから、それ位星導が消えるのは大きな出来事なんだと改めて感じた。
「でも、あの伊波の暗い顔はどないしたら治るん?」
声に出てたか分からないくらいだった。小柳の言葉を聞いてやっと自分の言いたかったことが分かった気がする。でも…なんでそう思ったかそこまでは分からなかった。
*
小柳side
あれから少し任務を行い、俺とカゲツは解散した。カゲツは「拠点に戻る」って言ってたけどどうせ星導を探しに行く。で、伊波と合流して2人で探し始める。…確実にそうだ。絶対そう。100%。これは俺でも分かる。
どいつもこいつもさ…。星導が消えて大丈夫かなの心配→星導が消えて戸惑っているお互いの心配→一人でやらなきゃっていう責任感 なんだよな。そんで二人とも同じ空回りしてんの。伊波は今まで見たことない機械使って、カゲツも術使い始めたし…。いや、あいつらにとって…人間にとって仲間ってそんなもんなのか?まぁ今のあの二人に確実に星導は見つけられない。なんでって?この前消えた時もそうだったから。今回の方が空回り力は増してるけどな。
(結局俺がやんねぇといけねぇんだよな…。)
そう小さな決心をし、森の奥へと進んだ。
*
先ほどまで任務でカゲツと歩いていた竹林を抜けると、大きな林森へと繋がっていた。俺は竹林と森林の境目で魔力探知を行う。
しばらく魔力の世界に集中していると、妖魔がうじゃうじゃいる森林の中にポツンと小さな穴が開いていた。つまり、魔力が無に等しい状態の何かが存在しているのだ。
…あいつ等がここに来るまでも時間の問題か…ちょっと急ぐか…俺は足早に森林の中に足を踏み入れ魔力のない存在まで歩いた。
「あっ小柳くんじゃないですか~。どうしたんですか?こんな所で~」
魔力のない存在は…薄紫色の髪をなびかせた…
「どうしたんですか?じゃねぇよアホしるべ。」
星導ショウだった。大木に寄りかかっている星導の顔面は左半分が砕けて未知の空間と化していた。きっと何らかの原因で自身の能力操作が出来ていないのだろう。前回と同様に…。
「なんだ、助けに来てくれたんじゃないんですか?」
そうヘラヘラしながら星導は言うが、きっと本人は辛い状態だ。星導の周りには暴走を抑えるために自身で切ったであろう触手が散らばっていた。そして普段から白い肌の色が少し青白くなっている。
「…そういうのはいい、早くしろ。」
俺が呆れ半分に言うと「よろしくお願いします」と星導は微笑み、自身の右腕を俺の前へと差し出す。その右腕は何とも奇妙なものだった。何処へ繋がっているのか分からないくらい深い藍色をしていて、その周りにはその世界へと引きずり込むために使いであろう無数の歯が付いていた。
(今回が初めてじゃないけど…慣れねぇな…)
いや…慣れてもいいものなのか?そう自身へ半信半疑になる。そうして俺は未知の世界へと足を踏み入れた。
ご一読いただきありがとうございます。後編は出来次第、前偏とまとめて再度投稿します。今年度中には投稿できるように頑張りますので楽しみにしていただけると幸いです。返信が遅くなってしまう可能性がありますがコメントや♡、フォロー等待っています。是非行って下さると、とっても嬉しいです。_希