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「護衛についてはいかがいたしましょう」
必要な手配を書き留めていたセドリックが問いかける。
「エルダン駅から国境までは、それなりの距離がございます。ましてや、それだけの荷を伴うとなれば、相応の人数が必要になるかと」
「ああ。人数は揃えろ」
「うちの騎士団から選抜いたしますか?」
「いや」
ランディリックは即座に否定した。
「ヴァン・エルダールの兵は使わない」
「……よろしいのですか?」
わずかに意外そうな顔をしたセドリックへ、ランディリックは視線を向ける。
「国境を守るための兵だ。一人の花嫁を送り届けるために、こちらの守りを薄くする必要がどこにある」
「それは……おっしゃる通りでございますが」
「領内から募れ。元兵士でも、商隊の護衛経験者でも構わん。腕に覚えのある者を集めればいい」
「臨時で編成なさると?」
「ああ」
ダフネが望む儀礼馬車が完成するまでには、それなりの日数が掛かる。
その間に必要な人数を揃えることは難しくないだろう。
「人数だけは不足させるな。装備もこちらで用意する」
「承知いたしました。ただ……」
セドリックが若干言い淀んだ。
「急ごしらえの護衛となれば、普段から行動を共にしている兵たちに比べ、連携に不安が残ります」
「だろうな」
あっさりと認めたランディリックに、セドリックが口を閉ざす。
「だが、護衛としての経験がある者を選べば問題はない。何より、国境警備を疎かにするわけにはいかないからな」
「……はい」
「必要な人数は揃える。護衛も付ける。街道の情報も事前に確認させろ」
そこまで言って、ランディリックは机の上の書簡へ目を落とした。
金目のものを大量に運んでいると分かれば、賊の目を引く。
ウィリアムの懸念は正しい。
彼からもダフネにはそう伝え、やめるよう説得を試みたとも書かれていた。
だが、それを承知した上で華美な馬車を望んでいるのはダフネ自身だ。
こちらは護衛まで用意してやるのだ。
それ以上のことまで気に掛けてやる義理はない。
「それで十分だ」
「……畏まりました」
セドリックが深く一礼する。
「では、そのように手配いたします」
「ああ。それとウィルへの返書と一緒に、この香印を送っておけ。今後は彼とのやり取りにも雪鷹を使う」
「承知いたしました」
セドリックが退室すると、執務室には静けさが戻った。
ランディリックは一人、椅子へ深く身を預ける。
ダフネがマーロケリー国へ嫁げば、リリアンナをセレノ王太子へ差し出す必要はなくなる。
それだけでいい。
無事に辿り着けるかどうかまで、自分が心を砕いてやる必要などないのだから。
コメント
2件
わー、なんかもうダフネのことどうでもいいっていうのが滲み出てるやん(^◇^;)
うわあ、ランディリックの冷徹さがひしひしと伝わってくる回だったね…!「国境警備を疎かにできない」って建前の奥に、ダフネに対する愛情のなさが透けて見えて、なんだか切ない気持ちになったよ😢 それにしても、臨時の護衛で本当に無事に着くのかな…ウィリアムはちゃんと説得できてるのか気になる〜!続きが待ち遠しい😭💕
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