テラーノベル
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貰った合い鍵を使って中に入ると、何かの道しるべのようにバッグや帽子が点々と置かれていた。
それらを拾いながらリビングに入り、荷物を端にまとめて置く。
ソファーの上には力尽きたように涼ちゃんが突っ伏して寝ていて、その隣に腰を下ろす。
投げ出された手をそっと握ると、めちゃめちゃ冷たかった。
末端冷え性って言ってたっけ。
「お疲れ様。」
そっと手の甲にキスをすると、ピクリと手が動いた。
「んん・・・。」
涼ちゃんがゆっくり顔を上げる。
「ごめん、涼ちゃん。起こした?」
顔を覗き込めば、数回瞬きした涼ちゃんがこちらを見る。
その瞬間
「夏彦さんだぁ。」
にっこりと目じりを下げて笑うその笑顔に
「・・・・っ。」
心臓が止まりかけた(冗談抜きで)
「起きたとき、夏彦さんいるの、いぃねぇ。」
涼ちゃんはそう言ってふふっと笑った。
あぁ、もうこれだから…
「涼ちゃん。」
「ん?」
「好き。」
「うん。……うん?」
【おわり】
コメント
4件
あー全部神すぎひんか?
新しい扉開いちゃいそうになりました……素敵……🫠