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都市伝説が生まれた。
今度は信憑性が少なく幼稚なもの。
しかし その話は短期間で一気に広まり、実際に「それ」を見た というニュースにまでなるほどだった。
「本当かねぇ…幸せになる紐」
「幸せになる紐?」
仕事の休憩中、同期と食堂にてその話になる。
「亮介 知らない? 今流行ってるんだ、どこかに幸せになる紐があって手に入れると願いが叶うって 」
スマートフォンを片手でいじりながら同期の嶋田は言う。それを調べているのかツイツイと指を動かしている。
「聞いたことはあるけど…」
実際あまりそういうのは信じない方で、
自然とその話題は聞き流してしまっていた。
「どこにあるかは分からず、岩や木、建物に紐が生えるようにぶら下がっていると報告があり──」
興味津々に書いてあることを読み上げている。
(嶋田は流行りに敏感だからなぁ)
流行りの話になると止まらなくなる性分らしい。
「っと、そろそろ休憩終わるぞ」
壁にかかっているアナログ時計を見て嶋田に伝える。
「ほーい」
食器を片し早々に食堂を後にした。
時間が流れ仕事が終わり 帰路に着く。
辺りは暗く電灯と建物の光のみ。
(少し遅くなったな)
人がよく通る道でも夜になれば静かなもので、周りには早歩きで家に急ぐ人達が絶えない。
「あ! 見てみてー!」
少し遠いところからこちらにもはっきり聞こえるような大きい声で男女が騒いでいる。
(こんな時間に迷惑な声だな)
「紐! あれ紐じゃない!?」
女性がぴょんぴょんと跳び跳ねながら公園の方を指差している。
「誰かが着けたんだよ、最近子供もその話知ってるし」
男性は興味がなさそうに言う。
男女は少し話をしたあと指を指した方には行かず、反対に歩いていった。
「…」
いつもはスルーする事柄のはずが、その日はやけに紐のことが気になっていた。
昼にその話を聞いたからかも知れない
公園に足を踏み入れ、辺りを軽く見渡す。
周りが暗い為 所々にある電灯が反対に眩しく見辛い。 しかし何故だか目にとまる遊具が一つ。
鉄棒に…紐がぶら下がっているのが見えた。
「…」
その紐はミサンガ程度にしかならないような短い黄色の紐。
シンプルなデザインで特別なことは何も感じられない。
「…?」
しゃがみこみ 下から覗きこむ形で紐を見る。 ふと嶋田が言っていたことを思い出した。
「生えるようにぶら下がっている…本当に?」
紐を見ても 鉄棒にくくりつけたような形跡がなければ接着剤のようなものでつけた跡もない
どうやってついているのか検討がつかなかった。
幸せになる紐
半信半疑で紐に手を伸ばす
──ただの好奇心だった。
ブチッ
雑草を抜いた時のような音と共に鉄棒から紐が離れる。
その瞬間、目の前が暗くなり 意識を失った。