神殿の中に重苦しい沈黙が漂う中、突然、静寂を破るように重い足音が響き渡った。神々が振り返ると、そこにはマデスがゆっくりと歩みを進めてくる姿があった。彼の目は冷静で、しかしその中に隠しきれない何かを感じさせた。
「マデス…!」アレスが声を震わせながら言葉を紡いだ。「お前が本当に…?」
マデスは歩みを止め、静かに神々を見渡した。そして、ゆっくりと深く息を吸い込むと、その目をマドレシスに向けた。
「そうだ」とマデスは低い声で言った。その言葉は神殿の壁に反響し、神々の心を鋭く貫いた。
「私が18の厄災だ。長い間、お前たちに隠し通してきたが、今ここに、その真実を認める。」
神々は一斉に息を飲んだ。彼らの間に信じられないという表情が広がり、マドレシスでさえ、その瞬間に感じた衝撃から目を逸らすことができなかった。
「何故だ、マデス!」アレスが叫んだ。「我々はお前を信じ、共に戦ってきたというのに…なぜこんなことを…?」
マデスは静かに目を閉じ、一瞬の間を置いてから答えた。
「お前たちには理解できないかもしれない。私はこの世界を守るために、18の厄災の力を手に入れる必要があったのだ。」
「守るために?」マドレシスが問いかけるように繰り返した。
「そうだ。」マデスは苦渋に満ちた表情を浮かべながら続けた。「世界は常に危機に晒されている。外敵、内紛、そして我々自身の傲慢さが、この世界を滅ぼしかけている。私は、ただそれを止めたかったのだ。」
神々は互いに顔を見合わせ、何が真実で、何が嘘なのかを見極めようとしていた。しかし、マデスの言葉には何の揺らぎもなく、彼の決意は鋼のように固かった。
「しかし、お前の行為は…」マドレシスが言葉を選びながら続けた。「この世界を救うためとはいえ、命を犠牲にしてきた。」
「その代償は、私自身が最も重く背負っている」とマデスは厳しい声で言った。「私は、これからもその責任を果たすつもりだ。お前たちが私を止めることができるならば、それもまた運命だろう。」
その言葉が放たれると、神殿に再び静寂が戻った。神々は動けず、ただその場で立ち尽くしていた。マドレシスもまた、兄の言葉に答えを見つけることができず、ただ黙っていた。
「覚悟を決めるのだ、マドレシス」とマデスは最後に言った。「お前が望むならば、私と戦うがいい。しかし、その先にあるのは勝利でも敗北でもなく、この世界の未来なのだ。」
そう言い終えると、マデスは再び静かに歩みを進め、神殿の奥へと消えていった。彼の姿が見えなくなった後も、その言葉の余韻は神殿に残り続け、神々の心に深く刻まれていた。
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