テラーノベル
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とある大昔『一澤 栄八郎』と言う刀作りの達人が7年に渡り作り上げた
『死』そのものを宿す刀 その刃に触れた肌は痛み無くして血が垂れ
ほんの少しでも刀に力を込めると 肌は切り裂け二つとなる
そして…
その刀は危険が故に、長年に渡り今も護り続けられている
第1話 《零財団の執行》
とある田舎町の山奥にある神社《三ヶ原 神社》にて…
黒く整ったスーツを着た50人の男たちが、ドッ…ドッ…ドッ…
と重たい足音を鳴らしながら、鳥居を抜け歩き進む
そして、男たちは神社の前で足を止め一人の男が口を開く
石橋 十三『戸を開けんか、来客だぞ…貴様ら』
石橋 十三 白く長い髭を蓄え、顔面には無数の大きな傷がある男
すると…
ドガシャンッ!!
一人のスキンヘッドの男が、賽銭箱を蹴り飛ばして一撃で粉砕する
地面にはチャラチャラ…と転がる、大量の小銭たち
スキンヘッドの男『ワイら石橋組に、喧嘩売っとんか?あぁ?』
スキンヘッドの男は、神社の中へ続く古びた階段を
ギィ…ギィ…ときしませながら上がり始める
スキンヘッドの男『こっちは時間がないんや…はよう出さんかい』
そして男は神社の扉に手を掛け、ガラガラーッ…と開けた次の瞬間
何かが簡単に斬れたような、そんな音が神社内に響き渡る
スキンヘッドの男『んっ………?』
周りの石橋組の一同は唖然とし、後ずさりをする
石橋 十三『お、お前っ…う、腕…腕がっ!』
スキンヘッドの男『あ?腕がなんすか組長…』
ゴドッ!ゴロゴローッ…
スキンヘッドの男『ッ…!?ぐぁ!?う゛あ゛ぁ゛ッ!!』
スキンヘッドの男は急にその場に倒れ、自分の右肩を強く掴む
男の右腕は…
知らぬ間にして何者かに斬られ、地面に落ちていたのだった
その時
一人の真っ黒なロングコートを着た男が、石橋組らの背後に着地
石橋 十三『ッ…!?き、貴様…何者だ!』
ロングコートの男はゆっくりと立ち上がり、長身で全員を見下す
白叉 黒子『お前らが呼んだんじゃねぇか…来客なんだろ?』
白叉 黒子 黒いボサボサの髪の毛に、鋭く赤い眼を持つ容姿端麗の男
そして石橋組らは隠し持っていた拳銃をすぐさま懐から取り出し、
チャキンッと、銃口を白叉に定める
石橋 十三『う…撃てお前ら!蜂の巣にしちまえっ!!』
その瞬間
ドンッドンッドンッと、組員らは一斉に発砲を始める
白叉 黒子『ほんっと容赦ねぇな…ヤクザってのは』
ビュ ズザッ
白叉は次々と銃弾を避けながら、鞘に納めた刀をグッと握りしめる
石橋 十三『なぜ当たらねぇッ…!?お前ら!もっと狙え!』
さらに組員たちはブルブル…と震える手で、拳銃を撃ち続ける
そして、白叉はいつの間にか石橋組の目の前から姿を消し去る
石橋 十三『ッ!?…い、今の内に、逃げるぞお前らっ!!』
石橋は冷や汗をダラダラと流しながら、急いで出口へと振り替える
そこには…
右手に刀を持ち、煙草を燻らせる白叉の姿と…
真っ二つになり倒れ込む、血だらけの組員らの姿があった
白叉 黒子『アンタなら知ってるか?ウチの零刀を狙う連中を…』
ビッと刀に浸る赤い血を払い、白叉は石橋へゆっくりと近づく
石橋 十三『い、いやだッ…殺さないでくれぇ!!』
石橋は腰をぬかし、ドダッと尻餅をついて白叉から逃げようともがく
白叉はタバコの煙をふーっ…と吐き、刀を石橋の首に突き付ける
白叉 黒子『質問に答えてくれりゃあ、殺さねーよ…』
森がガサガサーッと風に怒り、カラスが群れとなって曇り空を飛ぶ
石橋 十三『お…俺は…ただッ!零刀が欲しかっただけだ!』
白叉 黒子『あっそ…』
白叉は、はぁー…と溜め息をついて吸い殻をピンッと地面に飛ばし…
石橋 十三『ッッッ…!!!?』
石橋の首を、痛みを与える隙もなく撥ね飛ばす
白叉 黒子『どっちにしろ、生かす気なかったけど…な』
白叉は頬に飛び散った血を裾で拭い、死体を適当に脚でどけ
ギギッ…と軋む階段を上がって扉をガラガラガラーッと開く
白叉 黒子『ったく、死体掃除めんどくせ~んだよな…』
白叉はふと、部屋の中心にある零刀が入った木箱に目をやる
白叉 黒子『………は?』
一方 その頃
昨夜の大雨で土が湿り、泥となっている神社の近くの森の中…
商人の男『はぁー…はぁー…!!』
一人の商人が『木箱』を両腕に抱え、泥まみれになりながら走る
ドチャ ドチャ と、泥に足を取られながら商人は森を駆け抜ける
商人の男『や、やった…!!零刀…零刀を手に入れたッ!!』
商人の男は涙を流し、ギューッと木箱を大切に抱き締める
その瞬間…
急に現れた謎の女が、バサッとマントを靡かせ商人の前へ着地する
商人の男『ッ…!?だ、誰だ…零財団か!?』
黒いマントの女『御託は良いから、それ寄越しな…』
女の顔は、黒いマントに隠れよく見えないが…
その黒いマントによって、綺麗なボディラインがくっきりと見える
黒いマントの女『死にたく、ないだろう…?』
女はジュルリ…と舌舐めずりをし、猫のように低い構えを取る
雲が晴れ、真っ赤な夕日が差し込む中…
女はギラリと光る、真っ白な長い牙を剥き出しにする
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