テラーノベル
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ギプスが外れて、しばらく経った頃。
阿部と目黒は二人揃って事務所に呼ばれていた。
「映画のお話が来ています」
マネージャーの言葉に、二人は顔を見合わせる。
「映画?」
「はい。お二人での共演です」
目黒が嬉しそうに阿部を見る。
「あべちゃんと?」
「そうみたい」
それだけでも嬉しかった。
けれど。
机の上に置かれた資料を見て、阿部は首を傾げる。
「……多くない?」
一冊や二冊ではない。
まだ企画段階のものまでいくつも並んでいる。
「これ、全部?」
「全部です」
「……嘘でしょ」
そこへ脚本家がやって来た。
この人は普通の作品を書く人ではない。
幸せな恋愛映画だと思わせておいて、最後にはサイコホラーへひっくり返したり。
作品の世界観が急に変わるような、ぶっ飛んだ話を書く人だった。
二人も台本を受け取るたび、
「これ、大丈夫そ?」
と疑うようになったくらいだった。
「お久しぶりです」
挨拶をすると、脚本家は早速たくさんの企画書を広げた。
「単刀直入に言うと、お二人でもっと色々なジャンルを撮ってみたいんです」
「こんなにですか?」
阿部が笑う。
「まだ増えると思います」
「増えるんだ」
目黒も思わず笑った。
「お二人を見ていると、筆が進むんですよ」
脚本家は楽しそうだった。
「恋人にもできるし、夫婦にもできる。幼馴染でもいいし、敵同士でも面白い」
「敵同士?」
目黒が阿部を見る。
「あべちゃんと戦うの嫌だな」
「最後仲直りします?」
「それはまだ秘密です」
「怖いなぁ」
阿部が笑う。
脚本家はさらに資料をめくる。
「お二人って、幸せそうに並んでいるだけでも画になるんですけど」
「たまに、そこから全部壊してみたくなるんですよね」
「怖い怖い」
阿部がすぐに止める。
「前もそれでサイコホラーになったじゃないですか」
「楽しかったでしょ?」
「楽しかったけど!」
目黒は楽しそうに笑っていた。
もちろん。
全部がすぐ映画になるわけではない。
スケジュールもある。
作品ごとに内容を確認する必要もある。
それでも。
二人で挑戦できる作品が、こんなにも考えられている。
阿部は企画書を眺めながら嬉しくなった。
少し前まで。
骨折して。
自分の仕事が減って。
目黒の仕事まで減っていくことが怖かった。
ギプスが外れたら。
二人でいられる時間も減ってしまうと思っていた。
でも、戻ってきた仕事の中に。
こんな未来もあった。
「めめ」
「ん?」
阿部は小さく笑う。
「楽しみだね」
「うん」
目黒も嬉しそうだった。
「あべちゃんとずっと一緒に仕事できる」
「ずっとかは分かんないけど」
「全部やろうよ」
「スケジュール死ぬよ」
「じゃあできるだけ」
「それなら」
二人で笑う。
___________
帰り道。
目黒が阿部の手を握った。
「ギプスなくても一緒にいられるね」
阿部は一瞬驚いて。
その意味に気付くと笑った。
「……ほんとだ」
怪我をしていた時みたいに。
一日中そばにいる理由ができた。
でも今度は。
痛みも。
罪悪感もない。
「めめ」
「何?」
「二人での仕事、楽しみだね」
「うん。すごく楽しみ」
目黒が手を握り直す。
阿部もその手を握り返した。
怪我が治ったら終わると思っていた二人の時間は。
形を変えて。
今度は二人で新しい物語を作る時間として、また始まろうとしていた。
コメント
7件

没にならなくて良かった😌😁

おはようございます☀ 一気に読みました。 出たしはやっぱりウルウル🥹💦 🖤も同じこと思っていたそれを聞いて やっと安心する💚 怪我はよくするし よく落ち込むし 本当にいろんな天才だね💚は でもそれを献身的に必死に心配して側にいる🖤尊い🥰
💚ちゃんは何時もハラハラさせて🖤を心配させるけど、その度に2人の絆は強くなる。 今度❤️💙の共演も良いかも、💙が照れ屋だから共演の話が来てもOKさせるの大変かも🤣
kaede🍁
8,845
おその★
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#❤️💙
みら

13,722