12話
その日の夜目を覚ますと拘束は解かれていて確蝶がベッドの端に座っていた。
確蝶「目が覚めたか?」
九井「確蝶……?」
確蝶「蘭の思い付きですまなかった…」
九井「うわ…手首真っ赤になっちまってる」
ずっと縛られていたからかめっちゃ痛い。
確蝶「食欲はあるか?」
九井「あー…なんか腹減ってる……変なことされたからかな」
確蝶「すぐに持ってくるから大人しくしてろよ」
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九井「美味い…」
確蝶「それにしては箸の進みが遅いな」
九井「なぁ……聞きたいことがある」
確蝶「なんだ?」
九井「そのさーー」
俺があることを聞くと確蝶は眉を潜めた。
確蝶「イザナに聞けばすぐにわかるが…聞いてどうするつもりだ?」
九井「どうしても…どうしても知りたいんだ!頼む!」
確蝶「すぐに確認してくる…待っていろ」
確蝶は部屋を出ていき部屋は静かになる。
うまくやれば大丈夫なはずだ。
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確蝶「イザナ…九井から知りたいことがあると」
イザナ「何だって?」
確蝶「カメラはずっと付けっぱなのかって話だ」
イザナ「それを知って何になる?」
確蝶「わからない、だが知りたいらしい」
イザナ「行為前の15分間だけ電池の取り替えと録画に切り替えるから切れるけど…何するつもりだ」
イザナの顔か険しくなっていき俺は表情を変えずに言う。
確蝶「何か考えることがあるんだろう」
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確蝶「行為前の15分間だけ電池替えと録画の切り替えでカメラが切れるらしい」
九井「そうか…」
俺がそう答えると確蝶は声を潜めて聞いてきた。
確蝶「お前…ここを抜けようとしてるだろ…それで友人のもとへ行こうとしてるんじゃないのか?」
九井「お前にはバレていたか……」
確蝶「どうしても出ていきたいか?」
九井「イヌピーの安全を確認したらすぐに戻る…だから手を貸してくれないか?」
本当はこんなこと頼む方が間違いだ。
けど今ここで頼れるのは……
九井「確蝶…お前にしか頼めないんだ」
確蝶「わかった……できる限りの最善を尽くす」
そして行為が始まる15分前ーー
確蝶が部屋の前にいて声をかけてくれる。
確蝶「必ず…帰ってこいよ」
九井「当たり前だろ…行ってくる」
俺は窓から抜け出し夜の街を走っていく。
九井「待ってろよ、イヌピー……今会いに行くからな」
次回へ続くーー
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